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64、お前のキスからはじまった (6) side天馬 *

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 「椿……何を……」

 天馬が目を覚ましたことに気付くと、手はソレを握り締めたまま、椿が顔を上げて上目遣いでチロリと見上げた。

「天馬のモノ……立派だわね。顎が痛くなっちゃう。今までの彼女はどうやってフェラしてたの?」

「そんなものは……してもらっていない」
「まあ、みんなお上品なのね」

 そう言いながら、椿は先端にキスをして、ジュッと吸った。

「うっ……! 椿、やめろ!」

 手で振り払おうとしたところで、その両手首が紐のようなもので縛り上げられているのに気付いた。赤と白の斜めストライプ……昨日天馬が忘れていったネクタイだ。
 全裸でベッドに寝かされている。


「椿っ、お前!」

「レストランの入っていたホテルにチェックインしたわ。運ぶのが大変だったのよ。ホテルの従業員が2人がかりで両側から抱えてくれて……」

「どうして……」

「結婚できないって言う天馬の気持ちは分かったわ。だけど私たち、コッチを試したことは無かったわよね。一度寝てみましょうよ。身体の相性が良ければ考えが変わるかも知れないでしょ」

 ツーッと裏筋を舐め上げた。

「あっ!……くっ……」

 身体を必死で捻って抵抗するものの、両腕を上で縛り上げられたうえ、2日連続でどっぷり酔いの回った身体は思うように動いてくれない。

ーーくそっ!女じゃなければ蹴りを入れてやるんだが……。

「ねえ、彼女の名前は?なんていうの?」
「……お前に言う必要はない」

「冷たいのね。……ねえ、私を彼女だと思っていいのよ」
「えっ?」

「だって振り向いてもらえないんでしょ? 苦しいんでしょ? 思いを遂げられないから中途半端に引き摺っちゃうのよ。一度発散させてしまえばきっと忘れられるわ」
「それは……」

「ねっ、私がその彼女だと思いなさいよ。ほら、目を閉じて、彼女の顔を思い浮かべて……」

 口で咥えてヌルッと上下させる。根元の方は右手で扱かれている。ジュボジュボという湿度の高い音と、天馬の荒い息遣いが室内に響く。

「うっ……や……めろ……駄目だ…椿!」

 椿は天馬の言葉を無視し、手と口で愛撫を加えていく。

「凄い……こんなのを挿れたらすぐにイっちゃいそう」
「無理だ……椿……俺ではお前を満足させられない」
「えっ?」


「俺は……経験が無い。……童貞なんだ」

「え……」

 椿が思わず口を離し、天馬の顔を見た。

「嘘でしょ?! あれだけ女に取り囲まれてたくせに…」

「取り囲まれるのと経験値は関係ないだろ。とにかく俺は、百戦錬磨でもなければテクニシャンでもない。分かったらネクタイを解け。満足したいならそういう奴を選べ」

 椿はしばし茫然としていたけれど、口角をニヤッと上げて、再び天馬の漲りを口に含んだ。

「椿……っ!」

「それじゃ私が天馬の初めての女って訳ね。溜まってるでしょ、私が抜いてあげるわ」

「ヤメロっ!」

「何よ、後生大事に取っておくようなものでも無いでしょうに。こんなに立派なモノを持ってるのに宝の持ち腐れよ。ほら、彼女の顔を思い浮かべて」

「うっ……!」

 手で扱きながら、舌でカリをレロレロと舐め、先端にキスをする。両側の袋をさわさわと撫であげ、柔らかく揉む。

「あ……っ…」

「ふふっ、色っぽい声……痺れるわね」
 
 くぐもった声で呟くと、口と手のスピードをアップして行く。

「ああ…っ……やめろ!口を離せ!早くっ!」

「いいのよ、イって」

 顔を上下に動かし、激しい抽送を繰り返す。

「うっ……ああっ…駄……目……もう……」

「天馬……愛してる」


 奥からゾワゾワと快感が迫り上がり、熱いものが出口を目掛けて集まって行く。
 先端がパンパンに膨れ上がり、それが弾けるその刹那……


「くっ………楓花っ!」


好きな女の名前を大声で叫んでいた。
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