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Chapter-04
Log-052【秘匿された謀】
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時を同じくして、イングリッドは足早にとある回廊を進んでいた。そこは、王城の背部に設置された、総合的な行政を所管する総務省の庁舎内。政務を円滑に進めるため、あらゆる行政機関の報告や記録が収められ、同時に行政における包括的な執行権を有する。宰相ハプスブルクも、厳密には総務大臣に位置していた。
イングリッドは紙資料を入れて少し膨らんだ茶封筒を片手に、庁舎の奥まった場所に設けられた記録資料室へと入っていく。そこには、過去の記録資料も含めた書類を収めた書棚が、部屋を埋め尽くすほど連なっていた。
総務省と書かれた札の掛かる棚間通路に入り、行動計画欄と業務欄の資料を降ろした。続いて、法務省、外務省、大蔵省、文部省、農商務省、厚生省、国土省、国防省、と足を運んでいく。
二種類の資料を脇に抱えて、資料室の端に置かれた木造の作業机に資料を並べる。机上には、年間の予算書と決算報告書とともに、総務省を中心として各省庁の行動計画書および業務報告書を比較するように並列してあった。
イングリッドは次々と各省庁の資料を斜め読みしては総務省の資料と見比べ、更に予算書と決算報告書とを照らし合わせる。
「……やはり、おかしい」
粗方の資料を読み漁って、イングリッドが呟く。資料に落ち度はなかったが、内容に疑問が残った。
「総務省の各組織に割り当てられた例年通りの資金繰りが、魔物関連の調査業務に偏り過ぎている……」
総務省が管轄する魔物の調査とは、魔物の行動傾向やそこから導かれる動向予測などといった要旨に限定されている。細かな調査や分析となると、対魔物戦術の理論構築や対魔物兵器などの研究開発は国防省に、魔物の生態系や身体的機構といった学術的な分野は文部省から各研究施設に回される。それらの研究結果を基に、総務省が動くという段取り。
それらを差し置いて、総務省主導の下に行われた魔物の調査に費やした資金が、各機関の研究開発費を大きく上回っていたのだ。
「対魔戦略局の相次ぐ増員、パスクへの度重なる調査団派遣、そしてわざわざハプスブルク自らが調査に参列している。表向きは対魔戦略の強化……しかし、調査報告には例年と比較しても、目立ったものはない。アナンデール卿が語った話を鵜呑みにするなら、公にできない秘匿された事実が存在する、ということ」
ゴドフリーの語った、魔物が魔石を体内に宿し、その結果として魔物全体に集団意識が構築され、単独行動から群体行動へと生態系が変化したという事実。これは未だに、国民はもとより政府関係者でも、対魔戦略に深く関わる一部の高官以外には周知されていなかった。
無用な混乱を避けるため、という理由は百歩譲ってまだ納得できる。だが、イングリッドが何よりも腑に落ちないものは、ハプスブルクの動向だった。
「ハプスブルク卿は私達を利用するにあたり、魔物の説明は一切しなかった。なら、アナンデール卿と合流させたのは、説明の手間を省くため……? いや、それこそ手間というもの。自らの意のままに操るため、アナンデール卿を利用したのであれば――」
イングリッドは目を見開いた。
「魔物の生態変化、人魔大戦の再来、当然ハプスブルク卿なら既知のこと。だから表向きの対策として、アナンデール卿ほか、軍部さえ動かした。だけどこれがもし、己の動きを抑止する要人を排除する為の手段だとしたら――何らかの目的の為に国内の実権を掌握する必要があったとしたら――陛下から事実上の国権を委任されているハプスブルク卿ならば、可能」
そう言って、しかしイングリッドは再び頭を抱えた。
「だけれど、肝心の目的は何? 幾度となくパスクを調査する目的は? アナンデール卿はそこに気が付いていた? やはり、彼に直接確認する以外に方法は――」
突然、記録資料室の扉が開いた。
「誰!?」
イングリッドが振り向くと、そこには頭を覆い隠すほど積み上がった書類を抱えて、覚束ない足取りで入室する女性職員だった。
彼女はその女に歩み寄り、積み上がった膨大な資料の一部を持ち上げて肩代わりする。
「あ、す、すみません! ありがとうございます!」
「まあ、大変な量の書類ですわ。貴女一人でこの量を捌くつもりでして?」
「はい……ハプスブルク様から頼まれたんです」
「――ハプスブルク卿から……? 直接……?」
イングリッドはこの女の言葉に違和感を抱いた。宰相であるハプスブルク自ら、わざわざ一般職員に対して、何よりも尋常ではない書類の山の整理を言い渡した点についてだった。
本来であれば、宰相――総務大臣という立場が自ら書類作成を行うことはない。大臣の主導により省内で議論された決定事項を、各局長以下が精査し、作成された書類に判を押すのが本来の務め。最終的に記録資料として落とし込まれた書類は、各局が処理する。
それをハプスブルク自らで処理する必要がある書類など、国家緊急権の発動といった極めて例外を除けば該当するものがなく、イングリッドには見当がつかなかった。
「失礼、これらの資料はどのような案件に関連するものなのかしら? 私は本国に戻って間もない新人のような者で、過去の事例を追って学び直しているところですの」
「そんな! 貴女様は主計官のイングリッド様……ですよね? 外交官と主計官という二足の草鞋を難なく履きこなす逸材だと、聞きしに及んでますよ! 内と外の関係を冷静に見定め、正しい筋道を数字で弾き出す、大変麗しい方と。やっぱり、噂に違わない方です!」
「あら、私ごときをご存知で。大変光栄ですわ」
舌打ちをしたい気持ちを押し殺すイングリッド。優秀を装い上昇志向を示し続けるのも、時と場合によっては動き辛くなるのだと痛感する。
「しかしながら、私も外交官としての歴の方が長かったため、やはり国内で働いていらっしゃった方々と比べると、現場の情報に疎くありまして。ところで、これらの資料はどのような内容で?」
「あ、この資料なんですけど、私も詳しくは教示頂けてないんですよ。魔物に関することってだけで」
「そう……でしたか。いや、何はともあれ、この量では整理も骨が折れますわ。私も手伝わせて下さるかしら?」
「そ、そんな、滅相もありませんよ! イングリッド様の手を煩わせるわけには……」
「私のことなら構いませんわ。困った時はお互い様でしょう」
イングリッドは女に有無を言わさず、抱えていた記録資料を持って、魔物関連の資料が収められた棚へと向かう。
「貴女は棚に収めていって下さるかしら。私は漏れがないか、簡単に精査しますわ」
「は、はい! 光栄です!」
二人は書類の束を床に置いた。イングリッドは一束の資料を手に取り、素早い手つきでページを捲っていく。速読術と言っても差し支えない速さで、イングリッドは要点だけを掻い摘んでいった。
(魔物に関する過去の研究成果の振り返り……今のところ既知の事実ばかりね)
次々と読み進めていき、一束、もう一束と棚に収められていった。
全体の半分を読み終えた頃、魔物に関する記述は目新しいものへと遷移していく。そこには、ゴドフリーの語った、魔物が新たに獲得した身体的機構や生態系についても綴られていた。
(アナンデール卿が語った事象の裏付けは取れた。おおよそ信用に足るもののようね)
だがそこに、ゴドフリーが語った事実以上の事柄は記されていなかった。既知の事柄だけが記述された資料を、更に読み進めていく。そしてイングリッドは、過度な期待を持たずに、最後の一束を手に取った。そこには――
「――!」
「……え? イングリッド様? どうかなさいました?」
「あ……いえ、失礼。単なる不随意運動ですわ、問題ありません」
(……ッ! これは……!)
資料を読み進める。次へ、また次へとページを捲っていく。次第に紙を捲るその指が、小刻みに震えてくる。そこに記されていたもの。それは、目を疑う事実だった。
イングリッドは紙資料を入れて少し膨らんだ茶封筒を片手に、庁舎の奥まった場所に設けられた記録資料室へと入っていく。そこには、過去の記録資料も含めた書類を収めた書棚が、部屋を埋め尽くすほど連なっていた。
総務省と書かれた札の掛かる棚間通路に入り、行動計画欄と業務欄の資料を降ろした。続いて、法務省、外務省、大蔵省、文部省、農商務省、厚生省、国土省、国防省、と足を運んでいく。
二種類の資料を脇に抱えて、資料室の端に置かれた木造の作業机に資料を並べる。机上には、年間の予算書と決算報告書とともに、総務省を中心として各省庁の行動計画書および業務報告書を比較するように並列してあった。
イングリッドは次々と各省庁の資料を斜め読みしては総務省の資料と見比べ、更に予算書と決算報告書とを照らし合わせる。
「……やはり、おかしい」
粗方の資料を読み漁って、イングリッドが呟く。資料に落ち度はなかったが、内容に疑問が残った。
「総務省の各組織に割り当てられた例年通りの資金繰りが、魔物関連の調査業務に偏り過ぎている……」
総務省が管轄する魔物の調査とは、魔物の行動傾向やそこから導かれる動向予測などといった要旨に限定されている。細かな調査や分析となると、対魔物戦術の理論構築や対魔物兵器などの研究開発は国防省に、魔物の生態系や身体的機構といった学術的な分野は文部省から各研究施設に回される。それらの研究結果を基に、総務省が動くという段取り。
それらを差し置いて、総務省主導の下に行われた魔物の調査に費やした資金が、各機関の研究開発費を大きく上回っていたのだ。
「対魔戦略局の相次ぐ増員、パスクへの度重なる調査団派遣、そしてわざわざハプスブルク自らが調査に参列している。表向きは対魔戦略の強化……しかし、調査報告には例年と比較しても、目立ったものはない。アナンデール卿が語った話を鵜呑みにするなら、公にできない秘匿された事実が存在する、ということ」
ゴドフリーの語った、魔物が魔石を体内に宿し、その結果として魔物全体に集団意識が構築され、単独行動から群体行動へと生態系が変化したという事実。これは未だに、国民はもとより政府関係者でも、対魔戦略に深く関わる一部の高官以外には周知されていなかった。
無用な混乱を避けるため、という理由は百歩譲ってまだ納得できる。だが、イングリッドが何よりも腑に落ちないものは、ハプスブルクの動向だった。
「ハプスブルク卿は私達を利用するにあたり、魔物の説明は一切しなかった。なら、アナンデール卿と合流させたのは、説明の手間を省くため……? いや、それこそ手間というもの。自らの意のままに操るため、アナンデール卿を利用したのであれば――」
イングリッドは目を見開いた。
「魔物の生態変化、人魔大戦の再来、当然ハプスブルク卿なら既知のこと。だから表向きの対策として、アナンデール卿ほか、軍部さえ動かした。だけどこれがもし、己の動きを抑止する要人を排除する為の手段だとしたら――何らかの目的の為に国内の実権を掌握する必要があったとしたら――陛下から事実上の国権を委任されているハプスブルク卿ならば、可能」
そう言って、しかしイングリッドは再び頭を抱えた。
「だけれど、肝心の目的は何? 幾度となくパスクを調査する目的は? アナンデール卿はそこに気が付いていた? やはり、彼に直接確認する以外に方法は――」
突然、記録資料室の扉が開いた。
「誰!?」
イングリッドが振り向くと、そこには頭を覆い隠すほど積み上がった書類を抱えて、覚束ない足取りで入室する女性職員だった。
彼女はその女に歩み寄り、積み上がった膨大な資料の一部を持ち上げて肩代わりする。
「あ、す、すみません! ありがとうございます!」
「まあ、大変な量の書類ですわ。貴女一人でこの量を捌くつもりでして?」
「はい……ハプスブルク様から頼まれたんです」
「――ハプスブルク卿から……? 直接……?」
イングリッドはこの女の言葉に違和感を抱いた。宰相であるハプスブルク自ら、わざわざ一般職員に対して、何よりも尋常ではない書類の山の整理を言い渡した点についてだった。
本来であれば、宰相――総務大臣という立場が自ら書類作成を行うことはない。大臣の主導により省内で議論された決定事項を、各局長以下が精査し、作成された書類に判を押すのが本来の務め。最終的に記録資料として落とし込まれた書類は、各局が処理する。
それをハプスブルク自らで処理する必要がある書類など、国家緊急権の発動といった極めて例外を除けば該当するものがなく、イングリッドには見当がつかなかった。
「失礼、これらの資料はどのような案件に関連するものなのかしら? 私は本国に戻って間もない新人のような者で、過去の事例を追って学び直しているところですの」
「そんな! 貴女様は主計官のイングリッド様……ですよね? 外交官と主計官という二足の草鞋を難なく履きこなす逸材だと、聞きしに及んでますよ! 内と外の関係を冷静に見定め、正しい筋道を数字で弾き出す、大変麗しい方と。やっぱり、噂に違わない方です!」
「あら、私ごときをご存知で。大変光栄ですわ」
舌打ちをしたい気持ちを押し殺すイングリッド。優秀を装い上昇志向を示し続けるのも、時と場合によっては動き辛くなるのだと痛感する。
「しかしながら、私も外交官としての歴の方が長かったため、やはり国内で働いていらっしゃった方々と比べると、現場の情報に疎くありまして。ところで、これらの資料はどのような内容で?」
「あ、この資料なんですけど、私も詳しくは教示頂けてないんですよ。魔物に関することってだけで」
「そう……でしたか。いや、何はともあれ、この量では整理も骨が折れますわ。私も手伝わせて下さるかしら?」
「そ、そんな、滅相もありませんよ! イングリッド様の手を煩わせるわけには……」
「私のことなら構いませんわ。困った時はお互い様でしょう」
イングリッドは女に有無を言わさず、抱えていた記録資料を持って、魔物関連の資料が収められた棚へと向かう。
「貴女は棚に収めていって下さるかしら。私は漏れがないか、簡単に精査しますわ」
「は、はい! 光栄です!」
二人は書類の束を床に置いた。イングリッドは一束の資料を手に取り、素早い手つきでページを捲っていく。速読術と言っても差し支えない速さで、イングリッドは要点だけを掻い摘んでいった。
(魔物に関する過去の研究成果の振り返り……今のところ既知の事実ばかりね)
次々と読み進めていき、一束、もう一束と棚に収められていった。
全体の半分を読み終えた頃、魔物に関する記述は目新しいものへと遷移していく。そこには、ゴドフリーの語った、魔物が新たに獲得した身体的機構や生態系についても綴られていた。
(アナンデール卿が語った事象の裏付けは取れた。おおよそ信用に足るもののようね)
だがそこに、ゴドフリーが語った事実以上の事柄は記されていなかった。既知の事柄だけが記述された資料を、更に読み進めていく。そしてイングリッドは、過度な期待を持たずに、最後の一束を手に取った。そこには――
「――!」
「……え? イングリッド様? どうかなさいました?」
「あ……いえ、失礼。単なる不随意運動ですわ、問題ありません」
(……ッ! これは……!)
資料を読み進める。次へ、また次へとページを捲っていく。次第に紙を捲るその指が、小刻みに震えてくる。そこに記されていたもの。それは、目を疑う事実だった。
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