同い年が母になりました。

家族の再構築

３

次の日、同じくらいに起きた俺と智世さんはばあちゃんの作る食事を済ませて、自宅に戻った。

智世さんは玄関を閉めると息を思いっきり吸い込んだ。...嫌な予感...。

俺はそっと耳を塞いだ。

「ただいまぁあああ！！！！」
「ッ...。」

俺の勘は当たって、智世さんは家の中に向かって大声を上げた。

「で、おかえりなさい。雄貴。」
そしてくるりと俺の方を向き直りにっこり微笑んだ。

「ただいま。...智世さん。」

俺が返事をすると、智世さんは嬉しそうにキッチンに飛び込んでいった。

「って、まだ風邪治ってないじゃん！今日くらい体休めろよ。」

「やーだ！」
やーだじゃねぇよ！！
智世さんはそう言って冷蔵庫にしがみついた。

...どうしてもこの中の仕事をしたいらしい...。

「...わかった...。」
「やった！今日は何食べたい？」

何食べたいって...一時間前くらいに食べたばっかりで何も思いつかない。

「今日は...まず買い物に行こっか！！」

俺が悩んでいると、智世さんは財布の中を覗いてから、マイ袋をキッチンの棚から引っ張り出した。

俺はその姿を見て買い物よりも前にずっと大切なことを思い出した。
「その前にさ、行って欲しいところがあるんだけど。」
「？」

頭の上にハテナマークを浮かべた智世さんを引き連れて、俺は...。



「...ッここ？」
「うん、ここ。」
俺が引っ張ってきたところ、それは市役所。

さっき智世さんが財布を覗くためにバックを漁っている中に、あの折りたたんだ紙を見つけたのが決め手だった。