同い年が母になりました。

詐欺師の誤算

４(前ページに同じ)

そして泣き止んだころ、雄介さんの実家に案内された。

「急がせて悪いが...守るものがない中、智世さんを家に返したくないからな。」
「ッ...。」

そんな心配してくれてるだけのセリフが、おじ専の私にはキザに聞こえている事は...雄介さんは気が付かないのだろうな...。

そして雄貴さんと私が座った頃に、雄介さんのお義父さんとお義母さんが部屋に顔を出した。

「おお、客人か！若い子が珍しいな！！」

そう喜びの声を上げてくれるお義父さんに対して、お義母さんは冷たい目で私を見据えていた。

すると、雄介さんは正座の脚の上に手をついた。
「父さん、母さん...この子と、智世さんと結婚しようと思う。」

「ッ！？」
「...。」

雄介さんの告白に、お義父さんは驚いた顔で固まり、お義母さんは鼻でため息をついた。

数表の沈黙を、ぶちりと破ったのはお義母さんの強かな声だった。

「男たちは退室してちょうだい。女同士で決着をつける。」
「決着って...母さん...。「早く出ていきなさい！！」...。」

お義母さんの剣幕は凄まじく、私は喉が震えないようにどうにか呼吸を整えた。


お義父さんと雄介さんが退室すると、お義母さんは私の目をもう一度見た。

「智世さん。」
「はいッ...。」

返事ができたはいいものの声が裏返り、ブワッと体から汗が吹き出た。

「あなたに聞くわ。なんで息子と結婚する気になったの？」
「...息子さんの心に救われたからです。」

私が正直に答えると、お義母さんははぁとため息をついた。

「若い子があんなおじさんを相手するとは考え難いけど。それにあの子には別に多額の財産なんかないバツイチよ。物件としては良くないと思うんだけど。」

「ッ！！なんてこと言うんですか！！」

あまりにつらつらと自分の子供のことを悪くいう姿に、私はつい感情を締めていた細い糸が切れた。