同い年が母になりました。

家族らしい生活

６

「ごちそうさまでした。」
「...うっす。」

頭に乗せられたのは、お椀だったのか...。
俺はお椀を手に取ると部屋を出ようと立ち上がった。

「雄貴。」
「...ッ！？」

そのかすれた声に振り返ると、智世さんは急にファイティングポーズをとった。

「私、元気になった！！シュシュッ！！」
「」

そして見えない敵に対してパンチを繰り出した。
智世さんはたまに不可解な行動をとる。


俺は半ば呆れながら部屋を出た。

そしてキッチンで洗い物を済ませてシンクに背を向けた。

「...ん？」

すると、棚の隅に見覚えのない紙が畳まれていた。

智世さんが置き忘れたのか...。
にしても畳みすぎじゃね？

4重くらいになってる...。
こういうのってなんか気になってくる。

俺はその紙を手に取ってゆっくり拡げた。

「ッ！？」

は！？

...なんでこんなところに...これが...。








婚姻届があんだよ...。

これって普通提出するもんなんじゃねぇの！？

その婚姻届には父親と智世さんの名前と印がしっかり記されていた。

証人の欄も間違いなく埋められ、あとは提出すれば万事解決という状態になっていた。