誘拐記念日

木継 槐

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4、

轍を辿る

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…伝文視点…

「お前と影子は腹違いの姉弟だからに決まってるだろ。」
宗太にわずかな真実を伝えると、呆然と言った顔で席を立ち店の外に飛び出していった。
悠一は俺の顔をものすごい顔で一瞥して後を追いかけていった。
「おぉ、青春青春。」
「わざとですか?」
「ん?」
透は俺の顔を細めて見ていた。
「とぼけるのは癖のようですからそこには触れませんが、もっと言い方はあったのではないでしょうか?」
「癖というよりは仕事だな。躱す方法の一つだ。それにあれ以外にどう言えたっていうんだ?」
「あるでしょう!!もっと……こんなことなら、貴方も影子さんもこんな周りくどいことせずに、我々に粛清の一つでもすれば良かったでしょうに。」
透と共に並んでいる面々も同じ意見なのか、同じような目で俺を睨んでいた。

「じゃあ聞くが、俺たちが直接的に関わったところでお前たちは手を止められたのか?」
「ッ……!」
「俺たちの素性が分かったら宗太は余計に弱みを作ることになる。腹違いの姉弟なんて、一番の癌にもなりうる。特に透、お前はそういうの大好きだろ?」
俺の一言に、透は顔を赤くして、憲司も慌てたように口を開いた。
「そんなッ、あまりに曲解ではありませんか?!」
「そうです!!透はそんな奴じゃ……。」
「今はそんな奴じゃないだろな。悠一の命を奪いかけて、親とも和解して、もうお前に突っかかる理由も必要もない。ただ、あの時に本当に”そんな奴”じゃなかったのか?」
「ッ……。」
「憲司、お前は透が幸せそうならどうでもよかった、違うか?」
「違ッ……それは……。」
流石の憲司でも言葉を濁したか。
でも、ここからの修復は2人でできるはずだからここは構わない。
「悟も、秋大も、そうだ。誰も宗太のことも悠一のことも守るどころか一緒に楽しむような奴らに、わざわざ餌くれる奴なんているわけないだろ。」
俺の言葉に、面々は一気に顔の色を失った。

「特に影子は宗太の傷つくことを恐れていた。そりゃ、犯罪まがいなことされて耐えるなんて、本来馬鹿げてるしな。」
「犯罪だなんて大げさな。」
「まだ言うか。お前らのしたことはいじめじゃねえ、犯罪なんだよ。あれだけのことがあってまだ懲りねぇなら、脳みその検査でもしてもらった方がいい。」
透は悔しそうに顔をゆがめた。
「とにかく、今お前らのできることは、真実を知ることだ。ここまで実力で調査してきたお前らなら、真実を受け止める資格はあるかもな。」
固まる面々を置いて、俺はオーダー表をもって席を立った。
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