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奮闘⑥
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「おい、お前だって得意科目で数学挙げただけだったろうが。」
「はッ、悠一君と同じ土俵と思われるのは不愉快ですね。僕の得意科目は、できる中で“強いて言えば”の話なんです。」
「じゃあお前が全部教えればいいだろうが。」
「はぁあ?なんで僕に全責任が被るようなことしないといけないんですか!」
「あぁ!?おめぇが言い出したことだろうが、落とし前くらい自分でつけろや!」
「なんて言葉遣い!おぉ怖い怖い。」
「やんのか?!」
「上等ですよ!!」
悠一と透の言い合いに、3人があわあわと動揺し始めた。
……僕以外は。
「2人ともさぁ。」
「「ッ!!」」
「一回着席しようか。」
僕の一言で悠一と透は気まずそうに席に着いた。
「僕が言うのもなんだけど、僕たちで無理なら違う方法を考えたほうがいいと思う。」
「「「それな。」」」
ガチゴチに固まる悠一と透に被さるように3人が声をそろえて頷いた。
「お前ら切羽詰まってるな~。」
すると、教室の後ろの扉から顔がニヤッと笑った。
「加藤先生。」
「聞こえたぞ~。仕方ねぇな~、俺が教えてしんぜよう!!」
「あ、結構です。」
「間に合ってるんで。」
加藤先生の言葉に、悠一と透がぴしゃりと言い放った。
「なんだと?!俺だって教師だぞ。」
「いやいや、あなた担当教科“体育”でしょう。」
「5教科はさすがに無理だろ。」
「お前ら俺のことなんだと思ってんだ。」
「「脳筋。」」
こういうときだけ声が揃うのが悠一と透の凸凹コンビなんだよね……。
確かに加藤先生は僕たちから見ても……あまり期待できるとは思えなかった。
僕たちが悲しい顔をすると、加藤先生ははぁとため息をついた。
「そうか、お前らの気持ちはよぉく分かった。しかし残念だな~、これでもS大出身現役合格なんだけどな、俺。」
加藤先生が肩を落としてそっぽを向いたとき、僕たちは耳を疑った。
「S大?!」
「ちょっと待ってください!!それって、僕たちの知ってるS大ですか?」
「あぁそうだ。」
「あの“蒼門”ッすか?!」
「そうだが、お前たちには力になれなくて残念だ。」
「「「「「「ちょっと待ったぁぁあああ!!!!」」」」」」
僕たちは、慌てて加藤先生の背中や腕、脚に縋りついた。
「あの、加藤大先生。これはご相談なんですけど。」
「……何だ?」
「勉強を教えてください、加藤大先生!!」
「俺は役立たずだからなぁ。」
「大せんせぇぇえええ!!!!」
僕たちは必死に説得を続けると、加藤先生はやっと足を止めてくれた。
「購買のデラックス激うまお好み焼き1ヶ月。」
「「「「「「乗った!!!!」」」」」」」
「はッ、悠一君と同じ土俵と思われるのは不愉快ですね。僕の得意科目は、できる中で“強いて言えば”の話なんです。」
「じゃあお前が全部教えればいいだろうが。」
「はぁあ?なんで僕に全責任が被るようなことしないといけないんですか!」
「あぁ!?おめぇが言い出したことだろうが、落とし前くらい自分でつけろや!」
「なんて言葉遣い!おぉ怖い怖い。」
「やんのか?!」
「上等ですよ!!」
悠一と透の言い合いに、3人があわあわと動揺し始めた。
……僕以外は。
「2人ともさぁ。」
「「ッ!!」」
「一回着席しようか。」
僕の一言で悠一と透は気まずそうに席に着いた。
「僕が言うのもなんだけど、僕たちで無理なら違う方法を考えたほうがいいと思う。」
「「「それな。」」」
ガチゴチに固まる悠一と透に被さるように3人が声をそろえて頷いた。
「お前ら切羽詰まってるな~。」
すると、教室の後ろの扉から顔がニヤッと笑った。
「加藤先生。」
「聞こえたぞ~。仕方ねぇな~、俺が教えてしんぜよう!!」
「あ、結構です。」
「間に合ってるんで。」
加藤先生の言葉に、悠一と透がぴしゃりと言い放った。
「なんだと?!俺だって教師だぞ。」
「いやいや、あなた担当教科“体育”でしょう。」
「5教科はさすがに無理だろ。」
「お前ら俺のことなんだと思ってんだ。」
「「脳筋。」」
こういうときだけ声が揃うのが悠一と透の凸凹コンビなんだよね……。
確かに加藤先生は僕たちから見ても……あまり期待できるとは思えなかった。
僕たちが悲しい顔をすると、加藤先生ははぁとため息をついた。
「そうか、お前らの気持ちはよぉく分かった。しかし残念だな~、これでもS大出身現役合格なんだけどな、俺。」
加藤先生が肩を落としてそっぽを向いたとき、僕たちは耳を疑った。
「S大?!」
「ちょっと待ってください!!それって、僕たちの知ってるS大ですか?」
「あぁそうだ。」
「あの“蒼門”ッすか?!」
「そうだが、お前たちには力になれなくて残念だ。」
「「「「「「ちょっと待ったぁぁあああ!!!!」」」」」」
僕たちは、慌てて加藤先生の背中や腕、脚に縋りついた。
「あの、加藤大先生。これはご相談なんですけど。」
「……何だ?」
「勉強を教えてください、加藤大先生!!」
「俺は役立たずだからなぁ。」
「大せんせぇぇえええ!!!!」
僕たちは必死に説得を続けると、加藤先生はやっと足を止めてくれた。
「購買のデラックス激うまお好み焼き1ヶ月。」
「「「「「「乗った!!!!」」」」」」」
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