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二人のパンチェン・ラマ11世 ④ 留守の間にジョンジュンすっかり変わっていた。
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リールイが施設を留守にしたのは、ほんの数日だったのだが、その数日の間に、ジョンジュンはガラリと人格が変わっていた。
リールイのいない間に、中断された治療のせいで悪夢を見るようになり、その記憶がジョンジュンを苦しめるようになっていた。
そしてその日のジョンジュンは、とりわけ以前の彼とは違っていた。
ひっきりなしに動きまわり、何かから逃げるかのように、部屋のなかをぐるぐる回っていた。
そして振り返ってはまた違う方向へ歩く。
それが何時間も続いていた。
リールイは見かねて、止めようとした。
そのリールイに対して、ジョンジュンは、
「さわるな!」と言い、華奢な彼のどこにそんな力があったのだろう・・・と思うほど、恐ろしい力でリー・ルイを突き飛ばした。
リールイひとりでは手に負えないのは明らかだった。
リールイは警備室につながっている非常ボタンを押した。
警備員も兼ねる看守たちが、すぐさま4人飛び込んできた。
そしてますます暴れる青年を4人がかりで抑え込み、あっという間に診察室から連れ去って行った。
穏やかなジョンジュンしか見たことがなかったリールイは、じきに落ち着きを取り戻し、戻ってくるものだと思っていたのだが、連れ去られたままジョンジュンは何日も帰ってこなかった。
そして一週間以上経ったある日、傷だらけのジョンジュンがリールイのいる診察室へ運び込まれた。
リールイのいない間に、中断された治療のせいで悪夢を見るようになり、その記憶がジョンジュンを苦しめるようになっていた。
そしてその日のジョンジュンは、とりわけ以前の彼とは違っていた。
ひっきりなしに動きまわり、何かから逃げるかのように、部屋のなかをぐるぐる回っていた。
そして振り返ってはまた違う方向へ歩く。
それが何時間も続いていた。
リールイは見かねて、止めようとした。
そのリールイに対して、ジョンジュンは、
「さわるな!」と言い、華奢な彼のどこにそんな力があったのだろう・・・と思うほど、恐ろしい力でリー・ルイを突き飛ばした。
リールイひとりでは手に負えないのは明らかだった。
リールイは警備室につながっている非常ボタンを押した。
警備員も兼ねる看守たちが、すぐさま4人飛び込んできた。
そしてますます暴れる青年を4人がかりで抑え込み、あっという間に診察室から連れ去って行った。
穏やかなジョンジュンしか見たことがなかったリールイは、じきに落ち着きを取り戻し、戻ってくるものだと思っていたのだが、連れ去られたままジョンジュンは何日も帰ってこなかった。
そして一週間以上経ったある日、傷だらけのジョンジュンがリールイのいる診察室へ運び込まれた。
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