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モナリザ、活動開始 ③

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 ひと月の準備期間を経て、ついにモナリザは活動を開始した。
 
 最初はとうぜん試運転である。女性として通用するかどうかの最終チェックを兼ねて、観光客としてジョナサンとともに日本へ来て、札幌、小樽、ニセコを見て回った。

 日本の北海道は近年、中国、韓国、台湾からの観光客でにぎわっており、街中を歩いていても奇異な目で見られることは全く無かった。

 ジョンジュンは現在、オランダに滞在していたが、やはり白人が多いところなので、アジア人は目立ってしまい、普通の生活が送れなくなっていた。それはやはり、20代の若者にとっては、不幸なことだった。
 次の安全な潜伏先を、ジョンジュンを護るものたちは探していた。

 モナリザの最終チェックは、ニセコの外国人であふれかえるバーで行われた。
 外国の富裕層が集まるニセコのバーは、オ―ストラリア人、フランス人、オランダ人、ニュージーランド人、そしてシンガポール、台湾からの富裕な華僑も多く集まっていた。そのバーは日本語よりも英語が多く飛び交う場所だった。

 美少年スターは海外でも顔の知られたアイドルだったのだが、女装の彼を見て、目の前にいる美女が美少年スターだと気付くものは、誰ひとりいなかった。誰もが目の前の美女を、女性だと信じて疑わなかった。

 仲間たちは、少し離れた場所から、モナリザの様子をうかがっていた。
 モナリザはひとりバーを訪れ、ひとりでお酒を飲んでいたのだが、そんなモナリザに興味を示した白人男性3人組みのグループがいた。そしてそのうちの一人が、モナリザに声をかけ、ダンスに誘った。そのバーは、ダンスも踊れるバーだったのだ。

 モナリザは男とダンスを踊った。酒が入っていることもあり、男は時間が経つにつれ、だんだん馴れ馴れしくなり、大胆になっていった。そしてついにモナリザに迫ってきた。そしてモナリザに無理やり口づけをしようとした。ここにいたりモナリザは仲間の方を振りむき助けを求めようとした。そしてジョナサンがすでにそばに来ていたことを初めて知った。次の瞬間、モナリザはジョナサンに頬をひっぱたかれていた。

「私が少し遅れたぐらいで、何なんだ!」
と、ジョナサンは、モナリザを男から引きはがし、手をつかんで引き寄せながら言った。

「すみません。彼女は私の婚約者なんです。ちょっと喧嘩をしてしまいまして・・・」
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