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探求 学者編

柔らかい枕

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 頭を柔らかい枕が包み込む。だが体から感じるのは堅いベットの感覚だ。

 板だけで作られたベットなのか?

 僕は柔らかさが感じられる枕を胸に抱きこむように腕で――

「わ!」
「ふぁ!?」

 頭上から聞こえてきたに寝ぼけ眼のまま、上手く回っていない頭で何か不味いと慌てて起き上がろうと枕を抱えていた腕で床を押し、上体を起こした。

「おおっと! 大丈夫かサボ?」
「……」

 起き上がった僕の目と鼻の先には凄く綺麗な顔立ちの女性が居た。
 あんまりに綺麗なものだからしばし見つめあう僕と女性――?

「エリスさん?」
「私だが? どうしたサボ? まさか母親辺りと勘違いしたか?」
「――僕の母はもう少ししっかりとした体をしています。エリスさんみたいに体じゃないから、間違えようがないですね」

「なんだとぉ!」と僕の言葉にプンスカ怒るエリスさん。
 僕は内心の動揺を隠せたことに、密かにホッと――

「ああ、なるほど! 女性の太ももに挟まれて寝ていた事に、羞恥心を覚えていたという訳だな?」
「誤魔化せなかった!? 残念エルフのエリスさん相手に?!」

「おいサボ。それはいくらなんでも酷すぎないか?」というエリスさんを無視して、僕は真っ赤になった顔を手で隠す。
 そして心を落ち着かせようと現状を振り返り……?

「僕、寝ていました?」

 僕の問いかけにエリスさんはポケットから懐中時計を取り出すと、その盤面を見て教えてくれる。

「およそ2時間といったところだな」

 僕はその言葉を受け、顔を上げると部屋の中の様子をつぶさに観察した。
 ――扉の前の荷物は移動した形跡なし。天井、床を含めて室内にも変化、異常はなし。

「すみませんでした。依頼を受けた冒険者だというのに、依頼主に見張りをさせてしまうなんて」

 そういって僕はエリスさんに陳謝した。
 いくら即席の安全地帯を作ったとはいえ、『冒険者に同行させる』という事はその内容に依頼者の護衛も当然含まれている。僕はそれを含めてエリスさんに話した。
 だがエリスさんは首を横に振って「全然問題ない」と言う。

「ですが」
「私が『良い』と言っている。それに不服か?」

 エリスさんの細い指が僕の口に当てられると、僕はそれ以上何も言えなくなってしまうわけで――指?

「うわぁ!?」

 本日2度目の不意打ちだ。思わず口から出た声に不覚を覚える。

『ますたー達は、仲が宜しいデスね?』
「いや! これは仲がいいとかそういう問題じゃ――?」

 今の声は誰だ?

 僕はその声が聞こえた方向を見る。
 そこには床に調理器具を広げて何かの料理を作っている人型ゴーレムが居た。

「あれ? 君は壊れてたんじゃ?」

 声には反応していたが動けなかったはずのゴーレムは、その壊れていた箇所がなって、僕の目の前で活動をしていた。

「ああ。私が。サボのスキルの?」

 そう言ったエリスさんの方を見ると、先程は気付かなかったがそのエリスさんの頭上で、浮かび緩やかに回転する6個の塊。

「……魔法ですか、ソレ?」
「ああ。サボのサポートスキルが私の知識スキルに教えてくれた、の魔法の塊だ」

 さらりと言われた言葉に、僕は先程かいた汗とは別物の汗が流れるのを感じた。

「さて、この事実をかな~?」

 ニコリと笑う笑顔に僕は恐怖を覚えた。
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