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帰郷 農業者編
大人達の事情?
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それは日の光が真上に来るちょっと前。
僕が今日の夜ご飯を何にしようかと考えながら、裁縫スキルで端切れを布巾に作り替えている時だった。
そこは街道がちょっとした林の中を抜ける様に敷かれている場所。その林の中から1人また1人と木の陰から現れる大人の男達。
荷車を引く女の子達もその人たちに気づいて足を止める。何せ男達の目は若干殺気だっていて、その手にはクワや斧、木の棒が握られているのだ。
「あ~、何か御用でしょうか?」
一縷の望みに掛けて聞いた僕の問いかけに、男達から返ってくる答えは――
「金と荷物を置いていけ!」
はい。予想と違わず追い剥ぎさん達でした。
*
どうしてこうなったんだと自答する。
「金と荷物を置いていけ!」
何度も練習をして、そして待ち伏せ場所に初めて通ってしまった旅人に俺達が言った言葉。
どうしてこうなったんだと自答する。
始めは普段の生活の気晴らし程度だったはずの賭け事。
だが気づけばその金額はいつの間にか大きく膨れ上がり、気づけば家の金も持ち出していた。
買って負けてを繰り返し、時に儲けが出たことに気をよくして気が大きくなり、気づいた時には首が回らなくなっていた。
明日食べる食事すら金に換えてしまっていたので食うにも困る事態。
そんな俺達に悪魔が囁いた。
『盗賊になりましょう』とその悪魔が言う。
『なに、ちょっとその懐から分けてもらうのです。旅をする余裕がある人達から』
それはさすがにと誰かが言った。だが悪魔の言葉に負けた。
『ならばあなた達が奴隷落ちしますか?』
借金奴隷。
しかも俺達の返さなければいけない金額はとても多い。到底返せるような金額ではなかった。
そうして俺達は悪魔の提案に頷き返すしかなかった。
*
「追い剥ぎかぁ。う~ん、みんなどうする?」
僕は念のため女の子達に問いかける。
まあ、僕の答えは決まっているのだけれども。
だけどもその女の子達の様子がいつもと違っていた。
みんな顔の表情が硬い?
そして男達も僕達も返事をせずに数十秒。
どちらもどうするか悩んで動けない状態。
それはアサが発した言葉で変わりをみせる。
「……お父さん?」
そう言われた男達と僕達は、お互い動揺といった形で動き始めた。
僕が今日の夜ご飯を何にしようかと考えながら、裁縫スキルで端切れを布巾に作り替えている時だった。
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荷車を引く女の子達もその人たちに気づいて足を止める。何せ男達の目は若干殺気だっていて、その手にはクワや斧、木の棒が握られているのだ。
「あ~、何か御用でしょうか?」
一縷の望みに掛けて聞いた僕の問いかけに、男達から返ってくる答えは――
「金と荷物を置いていけ!」
はい。予想と違わず追い剥ぎさん達でした。
*
どうしてこうなったんだと自答する。
「金と荷物を置いていけ!」
何度も練習をして、そして待ち伏せ場所に初めて通ってしまった旅人に俺達が言った言葉。
どうしてこうなったんだと自答する。
始めは普段の生活の気晴らし程度だったはずの賭け事。
だが気づけばその金額はいつの間にか大きく膨れ上がり、気づけば家の金も持ち出していた。
買って負けてを繰り返し、時に儲けが出たことに気をよくして気が大きくなり、気づいた時には首が回らなくなっていた。
明日食べる食事すら金に換えてしまっていたので食うにも困る事態。
そんな俺達に悪魔が囁いた。
『盗賊になりましょう』とその悪魔が言う。
『なに、ちょっとその懐から分けてもらうのです。旅をする余裕がある人達から』
それはさすがにと誰かが言った。だが悪魔の言葉に負けた。
『ならばあなた達が奴隷落ちしますか?』
借金奴隷。
しかも俺達の返さなければいけない金額はとても多い。到底返せるような金額ではなかった。
そうして俺達は悪魔の提案に頷き返すしかなかった。
*
「追い剥ぎかぁ。う~ん、みんなどうする?」
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