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帰郷 農業者編

今後の計画を話す

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 女の子たちを連れて、僕は一つの店を訪ねた。

 それは何種類もの布が置いてある店だった。正確には布で作られた服。
 古着屋である。

「こんにちわ~」
「はいはい。何かお探しかね?」

 店の奥から出てきたのは、若干腰の曲がったおばあさんだった。

「この子達が着られるサイズの服を探してるんですけど」

 そういって僕は後ろに居た女の子たちをおばあさんの前に出す。
 気遅れしていたのか、背中に手を当てて前に進むようにしなければなかなか一歩を踏み出してくれなかったが。

「おやおや、ずいぶんと小さな子も居るんだね? の子かい?」
「ははは。実は全員、なんですよ」

 驚いた表情のおばあさんと女の子たち。

「おやまあ。それは随分とあんたの親は頑張ったんだねぇ」

 おい。さすがに小さい子もいる前で「親が頑張った」とか言うんじゃない。
 特に小さい子を含めて何人かが「?」といった顔でこっちを見ることになっちゃったじゃないか!

 とりあえず僕は苦笑してその場を誤魔化すと、おばあさんが「それならこっちに子供サイズがあったはず……」といって店の一角に向かうのについて行くように女の子たちを促した。

「いいの? ふく」

 躊躇いがちに僕へ聞いてきた女の子が居た。
 他の子も似たような表情をしているということは、同じことを心配しているのだろう。

「さすがに着の身着のままって訳には行かないからね。……あ~、着替えが無いと服を洗う時に困るでしょ? だから遠慮しないで、自分達が着る服だからちゃんと選んできなさい」

 僕の言葉でようやく服を買うのが問題ないと理解できたのか、「わっ!」と喜びの声を上げて女の子たちがおばあさんの後を追う。

 だが1人、それとは別の行動を取った女の子が居た。
 前に荷車を直すときにも声を掛けてきた子だ。

「君も服を選んできていいんだよ?」
「――わ、私達にここまで施しを与えて、あなたは何をさせるつもりなんですか!?」

「……いや、普通に実家の農業を手伝ってくれればいいんだけど?」

 なんだろう? めちゃくちゃ警戒されてないか?

 僕の返答に一瞬言葉を無くしていた女の子は改めて言葉を発する。

「あ、あなたも農業をしたことがあるのなら、もっと力持ちで、ずっと動ける人を雇おうと思うはず! 私達みたいな女の子だけの農奴を買うなんて、何かがあるんじゃないですか!?」

「理由……、理由かぁ。まあ1番は安かったことかな? 2番目は人数が居る事。畑を広くしたとしても、やっぱり人手が多くないと維持も出来ないしね。後は――」
「わ、私達を本当に農奴として買った。ってことですか?」
「さっきそう言ったはずなんだけどなぁ……。あ、でもさっき言いそびれたんだけど、ちょっと考えてることがあるからには付き合ってくれるかな?」

 僕が最後に付け加えたに、女の子は再度身を守るように両腕で体を抱きかかえる。

 そんな警戒することない事なんだけどなぁ。

「自分達でも分かっていることだとは思うけど、やっぱり疲れにくくてずっと動ける方が畑仕事に向いていると思うよね? だから僕は実家に向かうまでの道すがら君達を
「……え?」
「具体的にはを覚えて貰おうと思ってる」
「ええ~!?」

 女の子が驚き絶叫を上げる。
 そのあまりの大声に、服を選んでいた子やおばあさん、通りを歩いている人達すらも立ち止まってこちらを見てきた。

 驚き顔で固まってしまった女の子を見ながら、早く服を選んでほしいなぁと僕は思った。
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