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しおりを挟むティアルティナの言葉に護衛二人は難色を示し、ミルフェンも驚愕の表情を浮かべる。
ロナルドは表情を変えることなく、続きを促すように首を傾ける。
「やったことないし、危険が伴うことは分かっているの。でも、魔物狩りなんて普段なら見学も許されないし、狩るなんてもっと難しいと思うの......王女たる私が危険を伴うくらいなら、お父様もまわりの人も、他の人間にやらせるだろうし。だけど、私は......やって、みたいの......」
狩りをやらないで見学を続ける、それが王女としての正解だと、ティアルティナは心得ている。ロナルドにも諭したのだから。でも、実際に目にしてしまったら、好奇心と探究心をおさえられない。
ティアルティナだって分かっている。いくら色んな分野を学び、優れていたとしても実践に行くことはあまり無いのが王女だ。魔術師だとしても、それは危険の及ばない王都や要請がありやむを得ない時に、最終手段として手を伸ばされるくらいのもの。
ロナルドにも反対されるだろうか。ティアルティナはぎゅっと目を瞑り、ロナルドの返答を待つ。
「僕は、ティアルティナ姫が魔物狩りをやってみたいと言うなら、とめないよ。お願いされたしね。願われたら、叶えないわけにはいかないよね?」
「ロナルド殿下!」
ロナルド側の護衛が咎めるよに名前を呼ぶ。
「姫には魔物狩りをこなせる能力はあるし、危険が及ぶような魔物はいないよ。それに、いたとしても必ず僕が狩る。......せっかく来たんだから、嫌な思い出にはさせたくない」
ロナルドの発言に護衛組は口を噤む。ミルフェンも反対したい気持ちと、ティアルティナの気持ちを優先すべきかで悩むような仕草を繰り返していた。
そしてやがてティアルティナの期待の眼差しに負け、溜息をつきつつも許可を出す。
「姫様がしたいなら、仕方ないですね......。危険になる前に狩ればいいですしね」
「ミルフェン!」
「じゃあ、決まりだね。ティアルティナ姫も大丈夫だとは思うけど、危険だと思ったら迷わず撤退だよ。守れるね?」
「わかってる!ありがとう、ロナルド殿下!」
満面の笑みでロナルドにお礼を言う。ロナルドはティアルティナの微笑みに顔を赤らめて後ずさる。
「破壊力がありすぎる......!」
ロナルドがぼそりと何か呟いているが、よく聞こえなかった。
「ロナルド殿下?」
「なんでもない、大丈夫だよ。じゃあティアルティナ姫はこの辺にいる魔物を狩ろうか?奥に行けば行くほど魔素を溜め込んでいる魔物がいるから。初めてだし、無理しない程度にしようね」
ティアルティナは文句などなく、何度も頷く。危ない行為だとは理解しているが、胸の高鳴りが止まらない。
それは魔物に対する危険か、それとも別にも理由があるのか──。
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