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「大変だけれど、自らが望んだことだからね」



デザートを食べ終えたロナルドがティアルティナを見つめながら言う。



その意図が分かるだけに、ティアルティナは言葉につまる。



だがロナルドは答えを求めてはいないのか、ティアルティナが視線を逸らしても何も言わなかった。



「魔力の消費は食事で補えるとして、魔素の方はどうしているの?」



「魔素は、魔物を狩ってきて使用してるよ」



ロナルドはあっけからんとしているが、あまりの事実にティアルティナは戦く。



「魔物を!?それって、ロナルド殿下が狩ってるんじゃないわよね?」



ティアルティナは恐る恐る訊ねる。



魔物とは、魔を含む動物をさす。魔素を蓄え、魔石を生み出す。魔物は元は普通の動物であったものが、空気中に漂う魔素を人間のように自ら排出することが出来ず、成る。



魔素を蓄える魔物と、魔力を蓄えることの出来る魔石は併せて使えば、恐ろしく便利で、使い勝手の良い資産となった。その為、魔物を狩ることを生業としている人間もいる。



とはいえ、魔物も無限に存在するわけではないので、ある程度の生態系を保つやり方が法で決められており、破れば罰則を与えられることになる。




法を定める機関は、独立しており、どんな国にも侵されない権利と権威を持つ。その名も魔素石独立機関まそせきどくりつきかん。名前の通りあらゆる国から独立していて、魔についての熟練者たちばかりで、知識も技術も豊富。その為、この機関が精査し狩る許可を出している。




構成される人員は各国から選ばれている。だが、所属する事が決まれば、国に属さない。これは遥か昔、国々が出来ると同時に決まっていたといわれている。




魔物とは凶暴な生き物である。大きさによって得られる魔素と魔石の大きさや量、質も異なるため、人は良いものを手に入れよと無理をする傾向にあった。



ロナルドは実力に見合わないものを狩ろうとする程、無鉄砲ではない。王子としても心得ているはず。



だがティアルティナの願いも虚しく砕ける。



「僕が狩に行ってるよ」



あっさりと放たれる言葉に、ティアルティナは深いため息をつきそうになり、急いで息を飲み込む。



「それが、どれだけ危険な行為か、わかっているの」



「わかっているよ。わかっているし、僕以外に頼んで怪我をされても面倒だから、自分で狩ってるんだ」



ロナルドは何なら、今の女性の姿でも狩りは可能だと豪語する。



「ちなみに狩った時、許可は得ているわよね......?」



大事なことなので、すかさず確認する。



「もちろんだよ。流石に今回は許可を得ているよ」



「今回は......?」



言い回しの不穏さにティアルティナは眉を寄せるが、追求は控える。藪をつついて蛇を出す趣味はない。



今の表現は、許可を得ていない場合もあると捉えられる。



「機関に少し伝手があるからね。だから、多少の無茶も通るよ。ティアルティナ姫さえよければ、狩りをするところを見に行く?」









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