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しおりを挟む本当に今まで会っていたロナルドなのかという疑問は残るが、見た目は本人だ。魔術に関する質問は沢山したいが、無礼な質問は控えたい。
「では、まずお伺いしたいのですが。ロナルド殿下に発動している魔術は、意図的に自ら展開しているものですか?......それとも他者から掛けられているものですか?」
ロナルドの返答によっては対応も変わる。
「なんと答えたらよいものか悩みますね......」
ロナルドは悩ましげに告げる。
ロナルドの答えにティアルティナも色んな憶測が過ぎる。
他者から掛けられた魔術ならば、それを本人が望んでなのかそれとも政治的な要因で無理やり掛けられたのか。無理やりの場合は、王子に魔術を掛けていることは基本的に重罪だ。内容によっては死罪も有り得る。
一瞬で一筋縄ではいかない展開となる。
ロナルドに施されているものは一般的なものではなく、分類するならば呪いの系統であると考えられる。
断言は出来ない。魔術は日々進化し、変化する。それ故に、必要に応じて創り出される魔術は多岐にわたる。だからこそ興味深く、面白いのだが。
「ですが、ティアルティナ姫が思っているようなことはありません」
思考の波に呑まれるティアルティナにロナルドが安心させるように言う。
「というと?」
「ティアルティナ姫は、僕が呪いの魔術を施されたと考えられたのでは?」
ティアルティナは頷く。普通に考えれば、自らそのような魔術を掛けることを望まない。王族が、性別を変換する魔術を望むはずが。
「......掛けられたんじゃないんですか?まさか、自らご所望された..................??」
ティアルティナはロナルドから一歩後ずさる。
「うーん、そこだけを切り取るととんでもない思考の持ち主のような響きを得ますが......あながち間違いでもないような......」
ロナルドは腕を組みながら、呟く。
「えっ!?やはり、自ら......」
ティアルティナが慄き、更に一歩後ろへと下がる。
その仕草にロナルドは思わずティアルティナへと距離を詰める。
「ティアルティナ姫!」
ティアルティナはすかさずロナルドへ制止の声をかける。
「ロナルド殿下!......急に近付くのは、やめて頂けますか」
先程の可憐な姿から上背のある男性となったロナルドは顔見知りの相手であり、嫌悪感のない相手とはいえ、急に近寄られるのは困る。
「......申し訳ありません、ティアルティナ姫」
「いいえ、私もごめんなさい。ロナルド殿下だから、嫌というわけではないんです」
「......分かっています。でも、だからこそ僕はこの魔術を必要としたんですけどね」
ロナルドは寂しそうに笑い、伸ばしていた手をゆっくり下ろした。
「もう少しだけお時間を頂けますか?」
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