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「初めまして、ティアルティナ姫。どうぞ宜しくお願い致しますね?」



ティアルティナに挨拶をする人は、ティアルティナの婚約者候補だと言う。しかし、目の前で微笑む人が婚約者であるはずがない。




(この人が婚約者!?何かの間違いよね?)



服装はべストにシャツをあわせ、ズボンに磨かれた靴を履き、恭しく跪く。端から見れば貴公子然とした姿であり、文句の付けようのない人である。だが、べストのボタンを飛ばす勢いの膨らみは隠せておらず、非常に窮屈そうである。美しい輪郭、華奢な身体。風に靡く長い髪も、手入れが行き届いており輝いて見える。




そう、婚約者だと名乗る人は女性だった──。




二人っきりの為、誰かに説明を求めることはできない。差し出した手を引っ込めることなく固まるティアルティナの手の甲に、彼女は口付けを落とした。





















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