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曾祖父とゼロ戦
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正月なので、祖父母に会ってきました。
そのとき、ゼロ戦の話が出ました。
そうです、日本海軍の零式艦上戦闘機です。
北海道の山の頂上にあったものです。
しかも、軍事に詳しい方が言うには、マニアックな「三二型」とのことです。
以下、祖父母の話。
戦争中の冬に軍の人たちが来て、曾祖父たち地元の農家の人に、「お前たち、馬を出せ!」と命令があったそうです。
分解された飛行機を山の頂上に上げるそうな。
馬の背中や馬橇に載せて山の麓まで運んで、そこから先は人力で橇を引っ張り上げ、山の頂上で分解された飛行機を組み立てる。
それでもって作業終了後。
「これは軍事機密であるから、絶対にしゃべってはならん。しゃべったら、どうなるかわかってるんだろうな。」
と言われたらしい。
北海道大学の先生たちが行った航空機の着氷実験に用いたもので、けっこう知られていた施設らしいです。
戦意高揚のための言葉だったのでしょう。
そんなこととは知らない田舎者の曾祖父と仲間の農家さんたちは、戦後もこの話題を出さなかったそうな。
終戦時に、米軍に見つかるとまずいということで、山の裏側へ突き落としたらしいです。
目先の利く地元の人がこっそり金属を回収して売ったりもしていたそうですけどね。
これが平成初期に発見されて新聞なんかにも載ったのですが、当時存命だった曾祖父に祖母が、
「山の上に海軍の戦闘機があったって、知ってた?」
「知ってたよ、俺、山に上げるの手伝ったもん。でも、絶対にしゃべるなって命令だったから。」
ゼロ戦が山の上にあったことよりも、50年も前に言われたことを守り続けた曾祖父の方に驚いたそうです。
話題に出さないうちに、年を取って忘れてしまったのが真相かもしれませんけどね。
その後、機体の一部が回収されて展示されてます。
さらに、その山は、今は外国人で溢れ返ってます。
スキーを楽しんでいる外国人は、昔、あなたたち外国人を打ち負かすための戦闘機がここにあったことなど知るはずもないのでしょう。
「日本のため、外国を打ち負かすため」と、必死に戦闘機を引っ張り上げた斜面は、今では笑顔の外国人がひしめいている。
歴史は面白いですね。
50年も昔の約束を守るという朴訥さは、私はとっても好きです。
そのとき、ゼロ戦の話が出ました。
そうです、日本海軍の零式艦上戦闘機です。
北海道の山の頂上にあったものです。
しかも、軍事に詳しい方が言うには、マニアックな「三二型」とのことです。
以下、祖父母の話。
戦争中の冬に軍の人たちが来て、曾祖父たち地元の農家の人に、「お前たち、馬を出せ!」と命令があったそうです。
分解された飛行機を山の頂上に上げるそうな。
馬の背中や馬橇に載せて山の麓まで運んで、そこから先は人力で橇を引っ張り上げ、山の頂上で分解された飛行機を組み立てる。
それでもって作業終了後。
「これは軍事機密であるから、絶対にしゃべってはならん。しゃべったら、どうなるかわかってるんだろうな。」
と言われたらしい。
北海道大学の先生たちが行った航空機の着氷実験に用いたもので、けっこう知られていた施設らしいです。
戦意高揚のための言葉だったのでしょう。
そんなこととは知らない田舎者の曾祖父と仲間の農家さんたちは、戦後もこの話題を出さなかったそうな。
終戦時に、米軍に見つかるとまずいということで、山の裏側へ突き落としたらしいです。
目先の利く地元の人がこっそり金属を回収して売ったりもしていたそうですけどね。
これが平成初期に発見されて新聞なんかにも載ったのですが、当時存命だった曾祖父に祖母が、
「山の上に海軍の戦闘機があったって、知ってた?」
「知ってたよ、俺、山に上げるの手伝ったもん。でも、絶対にしゃべるなって命令だったから。」
ゼロ戦が山の上にあったことよりも、50年も前に言われたことを守り続けた曾祖父の方に驚いたそうです。
話題に出さないうちに、年を取って忘れてしまったのが真相かもしれませんけどね。
その後、機体の一部が回収されて展示されてます。
さらに、その山は、今は外国人で溢れ返ってます。
スキーを楽しんでいる外国人は、昔、あなたたち外国人を打ち負かすための戦闘機がここにあったことなど知るはずもないのでしょう。
「日本のため、外国を打ち負かすため」と、必死に戦闘機を引っ張り上げた斜面は、今では笑顔の外国人がひしめいている。
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50年も昔の約束を守るという朴訥さは、私はとっても好きです。
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