反逆の姫君と異界の住人

yuushi

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覚悟

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 そう、いつからかだろうか。

”セヒィロトの樹より落ちモノにご慈悲を”

 この世界に意味を感じられないようになったのは。

”セヒィロトの樹より高きモノのご寵愛を”

 いつか人は死ぬ。俺はこのまま終わるのか。

”セヒィロトの樹の言の葉を紡ぐ”

 そう、ただただ数日で終わるゲームの世界のように。

”我、女神アリシアの名により願う”

 ・・・いつかは・・・終わる・・・始まりがあるかぎり・・・

”Dears who win seven"

リサが両の手を合わせ、天を仰ぎ見ると雲間から天使の一団が舞い降りる。

その七つの光が紅く染まりつつあるユウゴをやさしく包み込む。

「そうか、、、わかった、、、、、元々意味などない。」

手を地から引き剥がし、天の空を力の限り握りしめる。

「ただ終わりを待つより、俺は生きる!!」

「ユウゴ、弱い!!」

寝そべるユウゴを苦い顔を浮かべのぞきこむリサ。

「そう言うなよ、それよりも2倍くらいの速さで動けるような魔法ないか?」

「あるにはあるけど、誰も使わないよ。」

「どうしてだ?」

「だって、動けるけど感覚がついて来ないから、自分自身が制御できなくなる。」

「なんだそんなことか、それなら・・・」

”インフィニティーシステム起動準備中・・・インフィニティーシステム起動準備中・・・”

「大丈夫だ。」

「大丈夫じゃない。俺様を無視するな。」

地に着けた頭を起こすと、長身の赤髪の男が立っていた。

「お前だれだ?」

「オカジラ様だ。」猫背の野盗の一人がしゃがれた声を発する。

「オガシラ様や。」モヤシのように細い野武士が細い声を発す。

「お菓子様。お菓子大好きジーク。」噴出すかのようにリサが発する。

「センセイと呼べと何度言ったらわかるんだお前ら。ふざけやがって!!?」

どこかで、血管の切れる音がした。おそらくジークなんたらのだろう。

”黄昏よりも暗きもの・・・”

「リサ、なんかあいつぶつぶつ言い始めたけど。」

「最悪、このあたり一帯を蒸発させるつもりだわ。」

凶暴のジークたるゆえん、ただ切れると敵味方なく問答無用で吹き飛ばす。

”血潮より紅きもの・・・”

「なに、やばい。早く俺に魔法かけろ。」ユウゴは飛び起きる。

「もう、かかってるよ。七つの加護のうちのひとつだから。」

「早く言え。」ジークに向かって風のように走り出すユウゴ。

視界が狭まる、体の上下運動だけで酔いそうになる。

”我は魔王サンタマリアの盟約者なり・・・”

「オガジラザマをお守りするんだ。」シミターを振りかざしユウゴに襲いかかる。

”インフィーちゃん、行っきま~す!”視界が開ける、頭が冴える。

「なにが、いっきまーす、だ。バーストモード、オン。」

かざされたシミターの軌道をくぐり、柄の部分を裏拳ではじく。青いエフェクトがはじける。

「痛くない、さすが神様の加護はすげ~。」

”生贄の祭壇をもって、血肉を捧げる・・・”

また一人野盗が走線上に飛び出す。

「お前らも、こんなとこで終わっていいのか!邪魔するな!!」

先の裏拳の回転を利用しそのまま回し蹴りで下段をなぎ払う。

ジークが見えた。が、上段に構えた無骨な武士がさらに塞ぐ。

左右からも来る、抜けるラインがない。

”門を開きて貪りつくせ”

「詠唱が終わる・・・」後方からいくつもの青いエフェクトを見るリサが呟く。

また、俺は届かないのか、自分がやりたいことに。

世界に意味を求めるんじゃなくて、自分の意志を成す事にかけると誓ったばかりなのに。

「イヤ、まだだ!俺はこんなとこで終わらない!終わってたまるか~~~!!フルバースト!!!」

”インフィニティー、フルバーストだにゃ!”

地を蹴り、跳躍する。加速した想いをのせて。

”The Gate of Hell"
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