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第145話 妖精王を招きます
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ララは何も言わず、私に言われた通りのものを用意してくれました。
もしかしたら、私が悲しみでどうにかなったと思ったのかもしれません。
我ながらバカバカしいとも思います。なんでもいい、わずかな希望にもすがりたかったのかもしれません。
私は月明かりの下で、薔薇園の東屋の円卓にミルクとお菓子を並べ、準備を整えました。
晴れた深夜の満月が、煌々と薔薇園を照らしています。
もう、夜も更けて、誰もいません。ララにも、部屋に戻るようにいいました。
誰かに私のこんな姿を見られたら、気でも狂ったのかと思われそうです。
『美しく華やかなる妖精王、弱きものの庇護者、寛大なる愛の守り手よ。いと高きかぐわしき風の御子、輝ける髪の気高き王』
妖精たちの夏至祭りに現れるという、妖精王をたたえる詩の一節を口にして、私は祈りました。
妖精たちが来るのか、自分でもわかりませんでした。
前に妖精たちにあったときは、月が昇る前に妖精たちへの贈り物を用意して準備していたし、今日なんて、ずいぶん夜も更けてから贈り物を用意したところで、彼らは別の場所で、自分たちのお祭りを楽しんでいるのかもしれません。
誰もいない東屋の縁台には、ミルクのツボと、砂糖菓子が並べられ、月明かりが差し込んでいました。
ルカ。
前の妖精の夜は、楽しかったな。
ほんのこの間のことです。手をつないで、ダンスをして、私をきれいだと言った、あの妖精たちのお祭り。でも、私の力じゃ、ルカのこと、助けられなかった……。
ポツリ、と私のそでが濡れました。
「妖精王たる僕を招き、どうして泣く、女神に祝福されし乙女」
まるでこの世のものではないみたいな。穏やかで、涼やかな、魅惑的な声が、ごく近くでしました。
気が付けば、ふわふわと甘くかぐわしい香りが漂っていました。
もしかしたら、私が悲しみでどうにかなったと思ったのかもしれません。
我ながらバカバカしいとも思います。なんでもいい、わずかな希望にもすがりたかったのかもしれません。
私は月明かりの下で、薔薇園の東屋の円卓にミルクとお菓子を並べ、準備を整えました。
晴れた深夜の満月が、煌々と薔薇園を照らしています。
もう、夜も更けて、誰もいません。ララにも、部屋に戻るようにいいました。
誰かに私のこんな姿を見られたら、気でも狂ったのかと思われそうです。
『美しく華やかなる妖精王、弱きものの庇護者、寛大なる愛の守り手よ。いと高きかぐわしき風の御子、輝ける髪の気高き王』
妖精たちの夏至祭りに現れるという、妖精王をたたえる詩の一節を口にして、私は祈りました。
妖精たちが来るのか、自分でもわかりませんでした。
前に妖精たちにあったときは、月が昇る前に妖精たちへの贈り物を用意して準備していたし、今日なんて、ずいぶん夜も更けてから贈り物を用意したところで、彼らは別の場所で、自分たちのお祭りを楽しんでいるのかもしれません。
誰もいない東屋の縁台には、ミルクのツボと、砂糖菓子が並べられ、月明かりが差し込んでいました。
ルカ。
前の妖精の夜は、楽しかったな。
ほんのこの間のことです。手をつないで、ダンスをして、私をきれいだと言った、あの妖精たちのお祭り。でも、私の力じゃ、ルカのこと、助けられなかった……。
ポツリ、と私のそでが濡れました。
「妖精王たる僕を招き、どうして泣く、女神に祝福されし乙女」
まるでこの世のものではないみたいな。穏やかで、涼やかな、魅惑的な声が、ごく近くでしました。
気が付けば、ふわふわと甘くかぐわしい香りが漂っていました。
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