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第137話 呪いの発動
しおりを挟む「馬鹿ね、何言ってるのよ。そうじゃないわ。あなたのせいなわけないでしょう。
あなたは見た目通り心が綺麗な人なのね。美女は心が醜いなんていうけれど。
ふふっ、私と同じで」
冗談めかして言うと、エルザ妃は笑いました。
「まったく、こういう人がルカのそばにいるのは、私、本当にいやだわ。
ルカが……あなたのこと、好きになっちゃうかもしれないもの」
彼女は私から視線を外し、ぼんやりと窓の外の月を見ました。
「私がもし王妃に押されなかったら。ルカが私の隣にいたのかしら。ほんとに、今でも好き。私の心は、永久にあの人のもの。
それなのに、どうしてあなたが、ルカの隣に……」
言って、エルザ妃は黙ってしまいました。
しん、と時間が経っていきます。
私が彼女に話しかけようと、口を開いた瞬間でした。
エルザ妃の体が、軽い音を立てて、ベッドにくずれるように倒れこみました。
「誰か!」
私が大声で叫ぶと、侍女たちが扉を開け、バタバタと誰かを呼びに行きます。
「だ、大丈夫ですか!?」
駆け寄った私に返事はなく、その顔は真っ青でした。そして胸、ちょうど心臓のあたりに、黒い霧のようなもやがかかっています。
これは、多分、いえ間違いなく呪いです!
「今、何とかしてあげますから!」
呪いなら、解呪してしまえばいい、と一直線に私は思いました。
そもそも、死の呪いの刻限は、もうすぐ迫っているのだとエルザ妃も言っていました。
このまま彼女も、ルカも死んでしまうかもしれない、と私の脳裏をよぎります。
私は、エルザ妃の手を握り、そのまま解呪の祝詞を唱えていました。
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