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第135話 愛した者が狼になる、ですか
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「この呪いはね、神代の禁呪。もう失われた魔法の一つ、呪いにかけられた相手の、真実愛した者を、狼の魔物に変えてしまうというものなの」
「真実愛した者を、狼の魔物に……?」
「そう。そして、最後は呪いにかけた相手も、狼の魔物に変わってしまった者も、どちらも呪殺してしまうのよ。
この手の呪いは、呪った相手だけでなく、その関わる人々にも呪いの効果を及ぼすから、間接呪詛とも言うわ。
効果は絶大、私はこうして残り僅かな命、ルカは、呪いの効果で狼に変じて、死にかかってる」
ああ、確かずっと前に、ルカも言っていました。これは間接呪詛という呪いだと。
「そう……あなたは、本当にルカが好きだったんですね」
「そうよ。ずっとそう言っているじゃない。
ふふ、多分、オズワルドは、私が夫のアライス殿下を愛すると思ったのでしょう。
そうなれば私も、王位の第一継承者の王兄アライスも呪いにかかって死に、オズワルドの大好きな現陛下に玉座が転がり込むって寸法だったんでしょうね」
ああ、ルカは……そんなことに巻き込まれてしまったんですね……。
いい人が報われるとは限らないとは言いますが、ルカはただとばっちりで、死にかけているのだとしたら……。
私はたまらなくなって唇をかみました。
「ルカにはいわないでね。彼はこのことを知らないから。
……まぁ、オズワルドは思惑を外した。ああでも、アライスは恐れて隠居して、結局王座は陛下のものになったのだから、まぁ上手くいったといえばいったのかしら」
悪びれずに言うと、エルザ妃はため息をついて微笑みました。
「それにしても、美人は無能と決まっているものだけれど、私とあなたに関しては例外みたい。
ルチル、あなたが彼の呪いを薄めたのは大したものだわ。誰にも、どうにもできないくらい強い呪いだったのだから。
そもそもこれがただの呪いだったら、術者を殺せばそれで呪いは解けるから、オズワルドを殺してしまえばそれでよかったのだけれど。これはいにしえの禁呪、術者が死んでも解けないのよ」
「……昔、神殿で学んだことがあります。
今は失われた神代の魔法に、術者の魂を使った、術者が死んでも解けない呪いがあったのだと……これはその類なのですか?」
「ええ。だからこの呪いは、オズワルドを殺しても意味がないの。まぁ殺してやりたいのは山々なんだけど。
オズワルドは誰にも解呪できない、自分が殺されても解けない呪いを私にかけた。
自分の命をかけて、いにしえの魔術を解き明かし、禁呪にまで手を出して」
「もう失われた技のはずなのに、オズワルドはどうやって……」
「真実愛した者を、狼の魔物に……?」
「そう。そして、最後は呪いにかけた相手も、狼の魔物に変わってしまった者も、どちらも呪殺してしまうのよ。
この手の呪いは、呪った相手だけでなく、その関わる人々にも呪いの効果を及ぼすから、間接呪詛とも言うわ。
効果は絶大、私はこうして残り僅かな命、ルカは、呪いの効果で狼に変じて、死にかかってる」
ああ、確かずっと前に、ルカも言っていました。これは間接呪詛という呪いだと。
「そう……あなたは、本当にルカが好きだったんですね」
「そうよ。ずっとそう言っているじゃない。
ふふ、多分、オズワルドは、私が夫のアライス殿下を愛すると思ったのでしょう。
そうなれば私も、王位の第一継承者の王兄アライスも呪いにかかって死に、オズワルドの大好きな現陛下に玉座が転がり込むって寸法だったんでしょうね」
ああ、ルカは……そんなことに巻き込まれてしまったんですね……。
いい人が報われるとは限らないとは言いますが、ルカはただとばっちりで、死にかけているのだとしたら……。
私はたまらなくなって唇をかみました。
「ルカにはいわないでね。彼はこのことを知らないから。
……まぁ、オズワルドは思惑を外した。ああでも、アライスは恐れて隠居して、結局王座は陛下のものになったのだから、まぁ上手くいったといえばいったのかしら」
悪びれずに言うと、エルザ妃はため息をついて微笑みました。
「それにしても、美人は無能と決まっているものだけれど、私とあなたに関しては例外みたい。
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「ええ。だからこの呪いは、オズワルドを殺しても意味がないの。まぁ殺してやりたいのは山々なんだけど。
オズワルドは誰にも解呪できない、自分が殺されても解けない呪いを私にかけた。
自分の命をかけて、いにしえの魔術を解き明かし、禁呪にまで手を出して」
「もう失われた技のはずなのに、オズワルドはどうやって……」
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