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第106話 魔法の月と大切な人 ③
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「……彼女は、王兄アライス殿下の妃だ。
そして、今の王が王になる前、アライス殿下が病気を理由に王位から身を引くまでは、アライス殿下が王になると目されていた。
エルザは、かつて王になるはずの人物の妻だった。その彼女が、いまだにここにきていると知れたら、罰せられるかもしれないだろう?
彼女がここに来ていたと知るものは、極力少ない方がいい」
「……彼女が大事なんですね」
「はは、大事とはまた違うが……。
不幸にはなってほしくないと思っているだけだ」
「彼女のせいで、ルカは呪われたのに?
あんまりお人よしです」
「まぁそうかもな」
私の言葉を、彼は笑って受け流しました。
「でも、エルザ妃の呪いは……誰がかけたんでしょうね。
前に聞いたとき、ルカはわからないって言いましたが、ほんとのほんとに、全然わからないんです?」
一番初めに出会ったとき、ルカは、自分に呪いをかけたのは、もっとも強い魔力を持つ魔術師だといいました。
私は、それで何となく……オズワルドなのかなぁなんて思いましたが、でも、私のこのカンは、当たっているような気がするのですよね。
オズワルドと王は、今の王が王になる前から結託していました。そもそもオズワルドを平民から取り立てたのは、今の王でした。
まだ王が王位についていなかった頃であれば、王位をつぐ予定だったアライス殿下も、魔術局で強い影響力を持っていたエルザ妃も、邪魔だったはずです。それを考えると、オズワルドが呪いをかけるというのも、大いにある気がするんですが……。
「呪いをかけた黒幕は、王か、その側近あたりだろうな。実際にやった人間は別だとしても、命じたのは大方そんなところだろう。
彼女が呪いに倒れた後、王兄のアライス殿下は、王宮での血濡れの争いを恐れて王位を弟に譲った。
そして実行したのは、腕利きの魔術師、しかし宮廷に近いのなら、魔術局の上位の誰かだろうな」
「オズワルドは……その、違うんですか?」
そして、今の王が王になる前、アライス殿下が病気を理由に王位から身を引くまでは、アライス殿下が王になると目されていた。
エルザは、かつて王になるはずの人物の妻だった。その彼女が、いまだにここにきていると知れたら、罰せられるかもしれないだろう?
彼女がここに来ていたと知るものは、極力少ない方がいい」
「……彼女が大事なんですね」
「はは、大事とはまた違うが……。
不幸にはなってほしくないと思っているだけだ」
「彼女のせいで、ルカは呪われたのに?
あんまりお人よしです」
「まぁそうかもな」
私の言葉を、彼は笑って受け流しました。
「でも、エルザ妃の呪いは……誰がかけたんでしょうね。
前に聞いたとき、ルカはわからないって言いましたが、ほんとのほんとに、全然わからないんです?」
一番初めに出会ったとき、ルカは、自分に呪いをかけたのは、もっとも強い魔力を持つ魔術師だといいました。
私は、それで何となく……オズワルドなのかなぁなんて思いましたが、でも、私のこのカンは、当たっているような気がするのですよね。
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まだ王が王位についていなかった頃であれば、王位をつぐ予定だったアライス殿下も、魔術局で強い影響力を持っていたエルザ妃も、邪魔だったはずです。それを考えると、オズワルドが呪いをかけるというのも、大いにある気がするんですが……。
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彼女が呪いに倒れた後、王兄のアライス殿下は、王宮での血濡れの争いを恐れて王位を弟に譲った。
そして実行したのは、腕利きの魔術師、しかし宮廷に近いのなら、魔術局の上位の誰かだろうな」
「オズワルドは……その、違うんですか?」
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