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妹と母のアクセサリー作り。
しおりを挟むガオの尻尾で遊ぶローランとのんびり庭で過ごす私の元へ、ロゼとレニーがやってきた。
「奥様、レニーお嬢さまが街に行きたいとおっしゃっています。」
レニーのニコニコした表情を見る限り、ロゼが渋々報告しに来たのがわかる。
ロゼは、子供たちをとても大事にしてくれている。
だからこそ、無下に断ることができなかったんだろう。
「なんで、街に行きたいの?何か、欲しいモノがあるの?」
すぐにどこかへ行ってしまうので、街には基本行かさないことにしてるけど。
レニーが何かを欲しがるのは珍しいし、買ってあげても良いかもしれない。
「昨日お父さまにコレをもらって、うれしかったの。」
イヤーカフを私に見せた。
喜ぶ姿を見ると、罪悪感を感じてしまう。
「それで?」
「お姉さまもじっと見てたから、プレゼントしたいの!」
マリーが?
欲しくて見ていたわけじゃないかもしれないけど……。
今日は、アレクセイもアーティもいないし街に行くのは無理だろうけど、諦めさせるのは難しいかしら。
「ロゼ、ローランを見ていてくれる?」
「かしこまりました。」
「レニー街には行けないけど、プレゼントは贈れるわ。」
不思議そうな顔をしているレニを部屋に連れて行った。
「そこに、座って。」
確か、引き出しの中に……。
あったわ。これならきっといけるわね。
引き出しの中から、宝石やアクセサリーを取り出すとレニーの目がキラキラと光った。
やっぱり女の子なのね。
「どんなのが作りたいの?一緒に作りましょう。」
「どれを選んでも良いの?」
アクセサリーは、昔自分で作ったモノだから……。
「えぇ、どれでも構わないわよ。」
レニーは、アクセサリーと宝石を見ながら真剣に選んでいく。
見る限りマリーとミシェルとダニエルとローランにプレゼントするのね。
最後の1つを選んだ
「5個作るの?」
「ふふっ、お母さまにも内緒。」
まぁ、嬉しそうだし良いわ。
「ちょっと待ってね……。」
確か、これでよかったハズ。
手のひらに術式を書いた。
「何かいてるの?」
「ふふっ、レニーには内緒。」
さっき自分が内緒だと言ったから、言い返せずに手のひらを凝視している。
「どれから、始める?手に取って、これと一緒に握ってみて。」
レニーは、ダイオプサイドのアクセサリーを手に持った。ダイオプサイドは、理性や知性を表すと言われている宝石。
まさにミシェルを表すのに相応しい。
「じゃあ、よく見ててね。」
レニーの手に私の手を重ねて魔法を発動した。
久しぶりだけど、大丈夫かしら……。
「良かった。ちゃんとできてるわね。」
レニーは、驚いてはしゃいでいる。
「お母さまの魔法ってすごいね。」
「レニーのイメージ通りになった?」
「うんっ!」
純粋なこの子が、どう成長するのか楽しみだけど。
お茶会のことが気がかりだ……。
もしかすると、私よりももっと強い魔力を……。
「次は、コレっ!」
ダニエルの為に選んだのは、通称ドラゴンアイと言われているグリーンオパールだった。
チャンスや勝つための運を表す宝石。剣術が好きなダニエルにピッタリ。
ダニエルへのアクセサリーは、イヤーカフになった。
ロニーには、幸運や危機回避のお守りを表すブルーレースメノウ。
あの子を守りたいと思っているレニーは、やっぱりおねえちゃんになったのね。
ロニーへのアクセサリーは、ブレスレットになった。
マリーには、幸運と恋愛運や成功運を表すサファイアを選んだ。
ふふっ、マリーの恋愛運が上がれば、アレクセイが気が気じゃなくなるでしょうけど……。
マリーへのアクセサリーは、石を強調した片方のイヤリングになった。
最後に選んだのは、傷ついた心を癒すと言われているクンツァイト。
あぁ、誰にあげるのかわかっちゃったわ。
アクセサリーは、上品なデザインのバレッタになった。
宝石言葉は知らないだろうけど、まぁ見事に選んだわね。
微力ながら、宝石にはそれぞれ魔力があると言われている。
やっぱり、レニーは力を……。
「お母さま、ありがとう!大好きっ。」
よほど、嬉しかったのか思いっきり抱き着いてきた。
あっという間に、子供たちは大きくなっていくんだろうなぁ。
「楽しそうだね?」
振り向くと、入口にローランを連れたアレクセイが立っていた。
レニーに抱き着かれているのが、羨ましいようだ。
「見て、お母さまと作ったの!」
嬉しそうにアクセサリーを見せるレニーを見て、アレクセイも微笑んでいる。
レニーは、ローランの手に作ったブレスレットを付けた。
ローランも喜んだようで、レニーは満足していた。
レニーは、残りの4つを持って玄関に行こうとする。
「レニー、お父さんには?」
自分ももらえると思っていたアレクセイは、少し寂しそうにレニーを見た。
レニーは、不思議そうな顔をして首をかしげる。
「お父さまは、もう持ってるでしょ?」
それだけ言うと、レニーは行ってしまった。
崩れ落ちるアレクセイの頭をローランが撫でている。
ん?もう持ってるってどういうことかしら。
アレクセイを見ても、アクセサリーは着けていない。
公爵家の指輪は、公の場所以外であまり着けてはいないし……。
ローランに頭を撫でられているアレクセイの後ろに回り込んだ。
あぁ、これのことを言ったのね。
「…まだ、着けてたの?」
「お守りだからね、外に行くときはずっと付けているよ。」
昔、私が贈ったネックレスのことを言っていたのね。
「それよりも、久しぶりに魔法を使った気分は?」
「…正直、悪くはないわ。」
「それにしても、1つは誰のモノだい?」
あっ、レニーのアクセサリーの数をきちんと見ていたのね。
誰のモノかは知っているけれど……。
「ふふっ、内緒だそうですよ。」
アレクセイが動揺しているが、そのうち気づくだろうから面白いし放っておこう。
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