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脱出を諦めていた招待客たちはこの展開に最後の希望を託していた。
いいぞっ! やれやれっ! Tに俺たちを助ける気はなくても、怪獣対決シリーズのゴジラみたいに結果的にそうなればいい! Tがジェロニモを斃せば男馬信者たちは玉砕覚悟でTに攻撃するか逃げるだろうからな! それにジェロニモの奴、あんな動きをしていたら無駄にエネルギーを消費して自滅するんじゃないか?
皆一様に期待を込めてそう思うのだった。
「糞雑魚どもが空しい期待をしているようだが、Tよ! おまえはわかっていよう、俺がこの動きを続けるのにまだまだ全然余裕があることを! だがそんなに待たせはせんから安心しろ! 俺が攻撃に移ったら一瞬で終わる! 最後におまえに言っておくことがある! ミマヨのことだ! 俺がミマヨの大ファンなのは本当だ! おまえを食うからミマヨは食わないと言ったがあれは嘘だ! ミマヨだけは殺さず俺の妻にするつもりだった! 俺は前から心に決めていた! Tよ! 俺はこの戦いが終わったらミマヨと結婚するぞ! そして俺とミマヨで神聖男馬帝国を築くのだぁっ!」
全方向から隙間なく数珠繋ぎのジェロニモが津波のようにTを押し包む──そのときジェロニモは緑色に光るTの両目を見た──
全てのジェロニモの残像が消えたとき、Tのいた場所には渾身の右手刀を突ききった姿勢のジェロニモが、攻撃に移る前にジェロニモが形成していた円陣の外にはジェロニモと鏡写しのような姿勢のTがいた。
Tは右掌に何かを掴んでいた。
それは鼓動するジェロニモの心臓だった。
その姿勢を解くや常と変わらぬ表情のTは手品のように一瞬でそれを食った。
「おおおおお!」
Tの口から唸り声が漏れ、その全身がさっきとは比較にならない強さで緑色に発光した。
ジェロニモは手刀突きの姿勢で固まったまま死神に会ったような顔をしていた。
死ぬほどドキドキするはずがドキドキしない。
それで自分の体から心臓がなくなったことに気付いた。
その体には傷一つなかった。
切り口が綺麗過ぎて血が出る間もなく治癒してしまったのか、体が気付きも傷付きもしないほどの精技で心臓を抜き取られたのか。
そんなことはどうでもいい! 一つだけわかったことがある。俺はこいつには勝てない。ヤバい。関わるべきじゃなかった。こいつを狙うくらいならリュウジたち八人を探し出すほうがマシだった、どんなに手間がかかっても! その手間を惜しんだ俺の致命的ミスだっ。あいつらを五人くらい食ったあとなら何とかなったかもしれない。
もはやミマヨと結婚するどころではなかった。
もたもたしてたら食われる。
いいぞっ! やれやれっ! Tに俺たちを助ける気はなくても、怪獣対決シリーズのゴジラみたいに結果的にそうなればいい! Tがジェロニモを斃せば男馬信者たちは玉砕覚悟でTに攻撃するか逃げるだろうからな! それにジェロニモの奴、あんな動きをしていたら無駄にエネルギーを消費して自滅するんじゃないか?
皆一様に期待を込めてそう思うのだった。
「糞雑魚どもが空しい期待をしているようだが、Tよ! おまえはわかっていよう、俺がこの動きを続けるのにまだまだ全然余裕があることを! だがそんなに待たせはせんから安心しろ! 俺が攻撃に移ったら一瞬で終わる! 最後におまえに言っておくことがある! ミマヨのことだ! 俺がミマヨの大ファンなのは本当だ! おまえを食うからミマヨは食わないと言ったがあれは嘘だ! ミマヨだけは殺さず俺の妻にするつもりだった! 俺は前から心に決めていた! Tよ! 俺はこの戦いが終わったらミマヨと結婚するぞ! そして俺とミマヨで神聖男馬帝国を築くのだぁっ!」
全方向から隙間なく数珠繋ぎのジェロニモが津波のようにTを押し包む──そのときジェロニモは緑色に光るTの両目を見た──
全てのジェロニモの残像が消えたとき、Tのいた場所には渾身の右手刀を突ききった姿勢のジェロニモが、攻撃に移る前にジェロニモが形成していた円陣の外にはジェロニモと鏡写しのような姿勢のTがいた。
Tは右掌に何かを掴んでいた。
それは鼓動するジェロニモの心臓だった。
その姿勢を解くや常と変わらぬ表情のTは手品のように一瞬でそれを食った。
「おおおおお!」
Tの口から唸り声が漏れ、その全身がさっきとは比較にならない強さで緑色に発光した。
ジェロニモは手刀突きの姿勢で固まったまま死神に会ったような顔をしていた。
死ぬほどドキドキするはずがドキドキしない。
それで自分の体から心臓がなくなったことに気付いた。
その体には傷一つなかった。
切り口が綺麗過ぎて血が出る間もなく治癒してしまったのか、体が気付きも傷付きもしないほどの精技で心臓を抜き取られたのか。
そんなことはどうでもいい! 一つだけわかったことがある。俺はこいつには勝てない。ヤバい。関わるべきじゃなかった。こいつを狙うくらいならリュウジたち八人を探し出すほうがマシだった、どんなに手間がかかっても! その手間を惜しんだ俺の致命的ミスだっ。あいつらを五人くらい食ったあとなら何とかなったかもしれない。
もはやミマヨと結婚するどころではなかった。
もたもたしてたら食われる。
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