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自由に姿を消したり現したりできると知ったときから、Tの中である決意が芽生えた。
もっと多くの能力が必要だった。
そのための実験ゆえに真剣そのものだった。
毎日、時間があれば実験を繰り返した。
消えろと念じて体が消えたように、若返れ、若返れと強く念じると、数分かかったが確かに見た目が若くなった。
鏡に映るその姿はどう見ても二十歳だった。
躍り上がるほど嬉しかったが、ここで実験を終わるわけにはいかない。
元の姿をイメージすると先程と同じくらいの時間で元に戻った。
手足も同様に伸ばしたり戻したりできた。
指紋や掌紋も消すことができた。
髪も皮膚の変化したもの、ならばこれはできるかと試したら、思った通り豊髪からスキンヘッドに変化させることもできた。
当然に体中の体毛も皮膚化でき、全身脱毛をしたようにつるつるの無毛状態になれた。
手足の皮膚を極薄の手袋のように脱皮することもできた。
もっと大がかりなことも試してみた。
極薄の着ぐるみを脱ぐように、蛹から蝶が羽化するように背中から全身の脱皮もできた。
脱皮した皮膚はオブラートのように軽く薄かったが、普通の力では破れない強度があり、三十分はしっかりとそのままで残るのでまとめて食べることができた。
それらの実験は全てある目的のために必要な能力だった。
実験を人知れず繰り返す日々。
日が経つに連れ普段の肉体も若返ってきた。
髪の毛が高校生の頃のようにふさふさに戻った。
皮膚が綺麗になり、顔の贅肉が自然に削げ落ち、別人のようにはっきりした目鼻立ちになった。
顔のサイズも一回り小さくなった。
手足まで伸びてきた。
反対に胴は短くなった。
Tは自分以外の者の前では以前と変わらぬ姿に〝擬態〟していた。
隕石直撃から三ヶ月経ったとき、擬態していないときのTの身長は百八十センチを超え、ミマヨに話した能力は全て身につけていた。
変化するまでにかかる時間は気分次第、本気を出せばほとんどは一瞬で、かかっても数秒で変化できるようになっていた。
満を持してTはある計画をを実行することにした。
言うまでもなく向かいのキチガイ一家の殺害だ。
間違いなく完全犯罪が約束されていた。
決行日はいつでもよかった。
「!?」
ミマヨの中に入っているTのシンボルが熱を帯び激しく脈打ち出し、あっという間にすりこぎの太さに膨張し怒張してきた。
「あっ、ああっ、そんなっ、いきなりぃっ!」
キチガイ一家のゴリラ親父、クソ馬鹿息子、イカれババアを三匹まとめてぶち殺したときの情景を思い浮かべる度、全身を駆け巡る恍惚感でTは感電したようになる。
……あのときオレは人間と決別したんだ。あれでオレは自分が何になってしまったかを知ったんだ……
もっと多くの能力が必要だった。
そのための実験ゆえに真剣そのものだった。
毎日、時間があれば実験を繰り返した。
消えろと念じて体が消えたように、若返れ、若返れと強く念じると、数分かかったが確かに見た目が若くなった。
鏡に映るその姿はどう見ても二十歳だった。
躍り上がるほど嬉しかったが、ここで実験を終わるわけにはいかない。
元の姿をイメージすると先程と同じくらいの時間で元に戻った。
手足も同様に伸ばしたり戻したりできた。
指紋や掌紋も消すことができた。
髪も皮膚の変化したもの、ならばこれはできるかと試したら、思った通り豊髪からスキンヘッドに変化させることもできた。
当然に体中の体毛も皮膚化でき、全身脱毛をしたようにつるつるの無毛状態になれた。
手足の皮膚を極薄の手袋のように脱皮することもできた。
もっと大がかりなことも試してみた。
極薄の着ぐるみを脱ぐように、蛹から蝶が羽化するように背中から全身の脱皮もできた。
脱皮した皮膚はオブラートのように軽く薄かったが、普通の力では破れない強度があり、三十分はしっかりとそのままで残るのでまとめて食べることができた。
それらの実験は全てある目的のために必要な能力だった。
実験を人知れず繰り返す日々。
日が経つに連れ普段の肉体も若返ってきた。
髪の毛が高校生の頃のようにふさふさに戻った。
皮膚が綺麗になり、顔の贅肉が自然に削げ落ち、別人のようにはっきりした目鼻立ちになった。
顔のサイズも一回り小さくなった。
手足まで伸びてきた。
反対に胴は短くなった。
Tは自分以外の者の前では以前と変わらぬ姿に〝擬態〟していた。
隕石直撃から三ヶ月経ったとき、擬態していないときのTの身長は百八十センチを超え、ミマヨに話した能力は全て身につけていた。
変化するまでにかかる時間は気分次第、本気を出せばほとんどは一瞬で、かかっても数秒で変化できるようになっていた。
満を持してTはある計画をを実行することにした。
言うまでもなく向かいのキチガイ一家の殺害だ。
間違いなく完全犯罪が約束されていた。
決行日はいつでもよかった。
「!?」
ミマヨの中に入っているTのシンボルが熱を帯び激しく脈打ち出し、あっという間にすりこぎの太さに膨張し怒張してきた。
「あっ、ああっ、そんなっ、いきなりぃっ!」
キチガイ一家のゴリラ親父、クソ馬鹿息子、イカれババアを三匹まとめてぶち殺したときの情景を思い浮かべる度、全身を駆け巡る恍惚感でTは感電したようになる。
……あのときオレは人間と決別したんだ。あれでオレは自分が何になってしまったかを知ったんだ……
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