23 / 26
1-23 無茶苦茶
しおりを挟む
昨日帰り際に大志は矢部のテーブルまで行きわざわざ
「ゆっくり休んでください」
と、言って帰った。そこには、何んとか問題を起こして欲しくない、という願いがこもっていた。
果たしてその願いは裏切られることになった。
雫ママも初参加の矢部を気にかけて、勝彦と大志が出す車2台をメモリーズが入っているビルの下にある駐車場を待ち合わせの場所にしていた。
日頃の粗野な言動から矢部と同乗することに抵抗感を持つ参加者が多く、結局はお目付け役の達治の車に、矢部、啓太、優子が同乗することになっていたのだが集合時間の6時半になっても矢部は駐車場に現れない。
5分過ぎたところで、大志の車に同乗予定で既に乗り込んでいた悠一と雫ママ、遥が一旦外に出てきた。
勝彦もエンジンを止めて降りてきた。
「矢部さん、店で寝ているんですよね。僕迎えに行ってきます」
啓太が口を開いた。
皆、異論は無く、雫ママから店の鍵を受け取り足早に啓太は5階のメモリーズへ向かった。
ドアを開けた啓太は、一瞬で吐き気を覚えた。どうしたら一晩でこんなに臭くなるんだ、というくらいに悪臭が充満していた。
更に目に飛び込んできたのは、カウンター後ろの扉が開いており、キープボトルのしかも高級なブランデー、ウイスキーの瓶が転がっている光景だった。
冷蔵庫の扉も開けっぱなしのようだ。
やってるなぁ、この人。啓太は動揺することは無く普通に呆れていた。
「矢部さん、行きますよ。起きてください」
啓太は店の片付けは後回しにして、取り敢えずコンペを優先すべきと判断し、ヨレヨレの矢部を連れ出すことにした。
自分の悪行に対して何も触れずやや緊張感のある声で同行を促す啓太の声に、矢部もその場の自分の立ち位置を理解したようで、何とかしっかりした雰囲気をつくって駐車場に到着した。
「みなさん、もうしわけなかった。」
矢部が珍しく自ら頭をさげた。
「時間もあれなんで、出発しましょう」
勝彦が声を掛けてそろりと車は駐車場を後にした。
この間、大志はずっと車の中にいて、あーあ店の中、無茶苦茶になってなければいいけど、、、イライラしながら矢部を何とかしないと、と考えていた。
大志は矢部の日頃の素行からある程度のことを予想して、自分のブチ切れ行動を抑える為にずっと車の中にいたのだった。
啓太は後部座席に乗り込むと雫ママに店の状況を説明する為に携帯を取り出してメールを書き始めた。
この時既に相当程度矢部に振り回されている事実を皆が感じていた。
「ゆっくり休んでください」
と、言って帰った。そこには、何んとか問題を起こして欲しくない、という願いがこもっていた。
果たしてその願いは裏切られることになった。
雫ママも初参加の矢部を気にかけて、勝彦と大志が出す車2台をメモリーズが入っているビルの下にある駐車場を待ち合わせの場所にしていた。
日頃の粗野な言動から矢部と同乗することに抵抗感を持つ参加者が多く、結局はお目付け役の達治の車に、矢部、啓太、優子が同乗することになっていたのだが集合時間の6時半になっても矢部は駐車場に現れない。
5分過ぎたところで、大志の車に同乗予定で既に乗り込んでいた悠一と雫ママ、遥が一旦外に出てきた。
勝彦もエンジンを止めて降りてきた。
「矢部さん、店で寝ているんですよね。僕迎えに行ってきます」
啓太が口を開いた。
皆、異論は無く、雫ママから店の鍵を受け取り足早に啓太は5階のメモリーズへ向かった。
ドアを開けた啓太は、一瞬で吐き気を覚えた。どうしたら一晩でこんなに臭くなるんだ、というくらいに悪臭が充満していた。
更に目に飛び込んできたのは、カウンター後ろの扉が開いており、キープボトルのしかも高級なブランデー、ウイスキーの瓶が転がっている光景だった。
冷蔵庫の扉も開けっぱなしのようだ。
やってるなぁ、この人。啓太は動揺することは無く普通に呆れていた。
「矢部さん、行きますよ。起きてください」
啓太は店の片付けは後回しにして、取り敢えずコンペを優先すべきと判断し、ヨレヨレの矢部を連れ出すことにした。
自分の悪行に対して何も触れずやや緊張感のある声で同行を促す啓太の声に、矢部もその場の自分の立ち位置を理解したようで、何とかしっかりした雰囲気をつくって駐車場に到着した。
「みなさん、もうしわけなかった。」
矢部が珍しく自ら頭をさげた。
「時間もあれなんで、出発しましょう」
勝彦が声を掛けてそろりと車は駐車場を後にした。
この間、大志はずっと車の中にいて、あーあ店の中、無茶苦茶になってなければいいけど、、、イライラしながら矢部を何とかしないと、と考えていた。
大志は矢部の日頃の素行からある程度のことを予想して、自分のブチ切れ行動を抑える為にずっと車の中にいたのだった。
啓太は後部座席に乗り込むと雫ママに店の状況を説明する為に携帯を取り出してメールを書き始めた。
この時既に相当程度矢部に振り回されている事実を皆が感じていた。
10
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
夏色パイナップル
餅狐様
ライト文芸
幻の怪魚“大滝之岩姫”伝説。
城山市滝村地区では古くから語られる伝承で、それに因んだ祭りも行われている、そこに住まう誰しもが知っているおとぎ話だ。
しかしある時、大滝村のダム化計画が市長の判断で決まってしまう。
もちろん、地区の人達は大反対。
猛抗議の末に生まれた唯一の回避策が岩姫の存在を証明してみせることだった。
岩姫の存在を証明してダム化計画を止められる期限は八月末。
果たして、九月を迎えたそこにある結末は、集団離村か存続か。
大滝村地区の存命は、今、問題児達に託された。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる