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1-13 大人たち
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夜は更けていき、来月のゴルフコンペが話題になっていた。
カウンターには常連客を気遣った優子が立ち、悟られ難いつくり笑顔で矢部に対応していた。
雫ママは遥と一緒にテーブル席でゴルフ談議に夢中になっていた。
勿論、そのテーブルには大志、勝彦、悠一の3人も同席だった。
雫ママとこの3人は皆ゴルフを趣味にしているゴルフ仲間でもあるのだ。
ふと、思い出したように雫ママが
「あっ、そうそう。遥ちゃんもそのうち耳にすると思うけど、この店には、コア5人衆と呼ばれる人達がいるのよ」
???
「そうね、多分1週間くらいで分かるはずよ。その頃、対象が誰か当たったら素敵なプレゼントあげるわよ」
「アーはっはっは、イージー、イージー。遥ちゃん、プレゼントゲットしたも同然だよ」
悠一が陽気な声をかけた。
コア5人衆とはメモリーズの常連客の中の常連客だ。
この時一緒にテーブルを囲っていた、大志、勝彦、悠一と、元ミュージシャンで現在はとある優良企業の理事を暇潰しにやっている秀雄、そして、リーマンしか出来ないが大企業でカリスマ的な存在の啓太。
他の常連客もこの5人のことを、コア5人衆と呼び、なんとか店の中での立ち位置をこの5人のレベルに引き上げたい、と日々切磋琢磨していたのだった。
常連客の座を懸けて切磋琢磨?と思うかも知れないが、真面目に切磋琢磨なのだ。
そう、大変なのだ。
メモリーズの常連客は鬼の結束力を誇り、恋敵であっても、いつも相手を気遣う、少し変わった人達なのだ。
そして、コア5人衆は欠席者がいると、誰かともなく、呼び出しをするのだ。
勝彦は既に携帯を持ち
「ヒデちゃん、何してるの?遅くない?」
横から、悠一が
「理事様は俺達とは飲めないんじゃないの?」
「悠ちゃん、勘弁してよ」
なんか、おかしくない?
そう、メモリーズは客が客を誘う。そして当たり前のように集まり、テーブルを囲み、時を過ごす。
大志は最後の1人、啓太がいつもの時間に来ないことを気にしていた。そうなのだ。大志は常連客が店に来る曜日と来店時間を詳細に記憶していた。
だが、啓太には誰も連絡しようとしない。
何故か?
啓太は呼ばなくても勝手に来るからだった。啓太は出席率が高い代わりに、他のコア勢とは違いセット料金で逃げ切ることを楽しんでいる輩だった。
勝手に来るのが分かっているのに、なぜ大志は気にしているのか?
大志のソフトは非常にデリケートに出来ているのだ。啓太が店に最も遅く来る時間を30分程度オーバーしていたからだ。
武闘派と呼ばれる人達は、外側にはそのまま強面だが、一度認めた仲間には優しい人が多い。大志はその代表格のような存在だった。
チリリーン
「ケイちゃん、何かあったかと思ったよ」
大志の第一声だった。
「タイちゃんは、本当に心配性ね」
「心配?いやいや、来るべき人が来るべき時間に来ないのが気持ち悪かっただけだよ」
大志の照れ隠しを雫ママは優しさいっぱいの笑顔で聞いていたのだった。
あれ?啓太は?
カウンターには常連客を気遣った優子が立ち、悟られ難いつくり笑顔で矢部に対応していた。
雫ママは遥と一緒にテーブル席でゴルフ談議に夢中になっていた。
勿論、そのテーブルには大志、勝彦、悠一の3人も同席だった。
雫ママとこの3人は皆ゴルフを趣味にしているゴルフ仲間でもあるのだ。
ふと、思い出したように雫ママが
「あっ、そうそう。遥ちゃんもそのうち耳にすると思うけど、この店には、コア5人衆と呼ばれる人達がいるのよ」
???
「そうね、多分1週間くらいで分かるはずよ。その頃、対象が誰か当たったら素敵なプレゼントあげるわよ」
「アーはっはっは、イージー、イージー。遥ちゃん、プレゼントゲットしたも同然だよ」
悠一が陽気な声をかけた。
コア5人衆とはメモリーズの常連客の中の常連客だ。
この時一緒にテーブルを囲っていた、大志、勝彦、悠一と、元ミュージシャンで現在はとある優良企業の理事を暇潰しにやっている秀雄、そして、リーマンしか出来ないが大企業でカリスマ的な存在の啓太。
他の常連客もこの5人のことを、コア5人衆と呼び、なんとか店の中での立ち位置をこの5人のレベルに引き上げたい、と日々切磋琢磨していたのだった。
常連客の座を懸けて切磋琢磨?と思うかも知れないが、真面目に切磋琢磨なのだ。
そう、大変なのだ。
メモリーズの常連客は鬼の結束力を誇り、恋敵であっても、いつも相手を気遣う、少し変わった人達なのだ。
そして、コア5人衆は欠席者がいると、誰かともなく、呼び出しをするのだ。
勝彦は既に携帯を持ち
「ヒデちゃん、何してるの?遅くない?」
横から、悠一が
「理事様は俺達とは飲めないんじゃないの?」
「悠ちゃん、勘弁してよ」
なんか、おかしくない?
そう、メモリーズは客が客を誘う。そして当たり前のように集まり、テーブルを囲み、時を過ごす。
大志は最後の1人、啓太がいつもの時間に来ないことを気にしていた。そうなのだ。大志は常連客が店に来る曜日と来店時間を詳細に記憶していた。
だが、啓太には誰も連絡しようとしない。
何故か?
啓太は呼ばなくても勝手に来るからだった。啓太は出席率が高い代わりに、他のコア勢とは違いセット料金で逃げ切ることを楽しんでいる輩だった。
勝手に来るのが分かっているのに、なぜ大志は気にしているのか?
大志のソフトは非常にデリケートに出来ているのだ。啓太が店に最も遅く来る時間を30分程度オーバーしていたからだ。
武闘派と呼ばれる人達は、外側にはそのまま強面だが、一度認めた仲間には優しい人が多い。大志はその代表格のような存在だった。
チリリーン
「ケイちゃん、何かあったかと思ったよ」
大志の第一声だった。
「タイちゃんは、本当に心配性ね」
「心配?いやいや、来るべき人が来るべき時間に来ないのが気持ち悪かっただけだよ」
大志の照れ隠しを雫ママは優しさいっぱいの笑顔で聞いていたのだった。
あれ?啓太は?
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