22 / 23
21話
しおりを挟む
21話
ツァイトの頬を摘まんでいた俺の手は手持ちぶさたになってしまった。
俺はツァイトの刺すような視線に耐える事が出来ず、
思わす当たり障りの無いことを聞いてしまった。
「・・・目は覚めたか?」
「ええ、最悪な形で(ぜっったいに責任は取ってもらいますからね)」
俺を刺す様な視線は変えずに、
何故か顔を赤くして何かとてつもない事を呟やかれた様な気がする。
残念ながらこっちの俺の能力では聞き取る事はできなかった。
気まずくなった俺はツァイトの死角に入ると、
ササッと着替え、出掛ける準備を終えた。
俺はツァイトに今日も出掛ける事を伝えると、颯爽と部屋を出た。
ツァイトの着替えを終わるのを待つ間にスマホで下調べをしておく。
暫くすると、着替えが終わったツァイトが部屋から出てきた。
今日は昨日と大分イメージが変わって、
ダメージジーンズとTシャツというラフっぽい格好だった。
髪型も引き続き黒のウィッグをポニーテイルにしており、
褐色の肌と相まって非常に活発そうなイメージを受ける。
「そういう服装もなかなか似合っているな」
思わず自然に言葉が出てしまった。
「そうですか、ありがとうございます」
口調こそ平静を保っているようだが、
どこか嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。
俺は先程の気まずい雰囲気が解消されて、
とりあえず安堵した。
今更だが昨日の夜から俺達は何も食べて無かった。
俺は別に2食位抜いても問題ないが、
ツァイトがいるからそうもいかない。
ビジネスホテルの近くにあったファミレスに入ると、
メニューを広げてツァイトに食べたいものを選ばせようとした。
しかし、真剣な顔でメニューを見つめていたが、
申し訳なさそうに、
「すみませんご主人様・・・文字が読めないので教えてもらえませんか」
と俺を上目使いで見てくる。
なるほど、会話はできてもやはり文字は理解出来ないのか。
俺が異世界に行ったときも、何故か会話は出来たが文字は一切読むことが出来なかった。
何か法則でもあるのだろうか?
メニューなんて文字が読めた所で、こっちの食文化を知っていなければ、
いくら写真が載っていたとしても
どんな料理かなんてうまく想像も出来ないだろう。
案の定、俺がツァイトの気になった料理の名前を伝えても、よく分かっていなさそうだったので、
具体的に説明をしてやると、なんとなく理解しているようだった。
・・・追々日本語も教えてあげないとな。
ツァイトはオムライスが気になった様で、それを注文してあげた。
俺は適当に日替わり定食を頼むと、用事を済ませに一旦ファミレスを後にした。
捨てられた猫みたいな視線を俺に送り続けるツァイトの頭を優しく撫でると
素早く店を後にした。
今日だけは俺だけ朝飯前に済ませておきたい事がある。
ツァイトの頬を摘まんでいた俺の手は手持ちぶさたになってしまった。
俺はツァイトの刺すような視線に耐える事が出来ず、
思わす当たり障りの無いことを聞いてしまった。
「・・・目は覚めたか?」
「ええ、最悪な形で(ぜっったいに責任は取ってもらいますからね)」
俺を刺す様な視線は変えずに、
何故か顔を赤くして何かとてつもない事を呟やかれた様な気がする。
残念ながらこっちの俺の能力では聞き取る事はできなかった。
気まずくなった俺はツァイトの死角に入ると、
ササッと着替え、出掛ける準備を終えた。
俺はツァイトに今日も出掛ける事を伝えると、颯爽と部屋を出た。
ツァイトの着替えを終わるのを待つ間にスマホで下調べをしておく。
暫くすると、着替えが終わったツァイトが部屋から出てきた。
今日は昨日と大分イメージが変わって、
ダメージジーンズとTシャツというラフっぽい格好だった。
髪型も引き続き黒のウィッグをポニーテイルにしており、
褐色の肌と相まって非常に活発そうなイメージを受ける。
「そういう服装もなかなか似合っているな」
思わず自然に言葉が出てしまった。
「そうですか、ありがとうございます」
口調こそ平静を保っているようだが、
どこか嬉しそうな雰囲気が伝わってくる。
俺は先程の気まずい雰囲気が解消されて、
とりあえず安堵した。
今更だが昨日の夜から俺達は何も食べて無かった。
俺は別に2食位抜いても問題ないが、
ツァイトがいるからそうもいかない。
ビジネスホテルの近くにあったファミレスに入ると、
メニューを広げてツァイトに食べたいものを選ばせようとした。
しかし、真剣な顔でメニューを見つめていたが、
申し訳なさそうに、
「すみませんご主人様・・・文字が読めないので教えてもらえませんか」
と俺を上目使いで見てくる。
なるほど、会話はできてもやはり文字は理解出来ないのか。
俺が異世界に行ったときも、何故か会話は出来たが文字は一切読むことが出来なかった。
何か法則でもあるのだろうか?
メニューなんて文字が読めた所で、こっちの食文化を知っていなければ、
いくら写真が載っていたとしても
どんな料理かなんてうまく想像も出来ないだろう。
案の定、俺がツァイトの気になった料理の名前を伝えても、よく分かっていなさそうだったので、
具体的に説明をしてやると、なんとなく理解しているようだった。
・・・追々日本語も教えてあげないとな。
ツァイトはオムライスが気になった様で、それを注文してあげた。
俺は適当に日替わり定食を頼むと、用事を済ませに一旦ファミレスを後にした。
捨てられた猫みたいな視線を俺に送り続けるツァイトの頭を優しく撫でると
素早く店を後にした。
今日だけは俺だけ朝飯前に済ませておきたい事がある。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
騎士志望のご令息は暗躍がお得意
月野槐樹
ファンタジー
王弟で辺境伯である父を保つマーカスは、辺境の田舎育ちのマイペースな次男坊。
剣の腕は、かつて「魔王」とまで言われた父や父似の兄に比べれば平凡と自認していて、剣より魔法が大好き。戦う時は武力より、どちらというと裏工作?
だけど、ちょっとした気まぐれで騎士を目指してみました。
典型的な「騎士」とは違うかもしれないけど、護る時は全力です。
従者のジョセフィンと駆け抜ける青春学園騎士物語。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる