（R-18）オークに転生した俺は女神の下僕らしい？

2話

2話


そんなこんなで
こんな卑しい生活を送り続けて
もう俺も5歳らしい。
オークの寿命なんて俺は知らないが、
5歳で一応成人となる様だ。
群れのボス的存在のオークが知らせてくれた。
この仕事を任命したのも彼だった。
そうだとすると、人間の1/4程度が目安なんだろうか？
だとするとどんなに頑張って生きても精々15年程度が限界だろうか？

物心着いた頃から迫害されていたし、無視されていたので、ひたすら”ここでの”知識が無い。
オークにはそんな余計な知識は知る必要も、学ぶ必要もないのかもしれないが・・・。
彼らと言っても俺もだが、
基本的には獲物を狩る、寝る、食う、繁殖と、
群れとはなっているが、本能のまま生きている様で、知性的な行動はとっていない様に感じる。
この世界の人間にとってはやはり下等生物って感じなんだろうか・・・？

不幸か幸いか、この群れに人間が襲撃をかけてきた事は無い筈だ。
少なくとも俺がこの仕事をしはじめてからは・・・。
せめてどうやってかコミュニケーションを取ることが出来れば
色々知ることが出来るかもれないんだが・・・。

そのせいかこの5年全く生きている実感が無い。
完全に群れの為にのみに生かされている。
だったら何故俺は前世の記憶を保持しているのだろうか。
こんな記憶があるお陰で、苦しみ続けている。
おぼろげだが、平凡な人間生活が酷く懐かしい・・・。
こんな記憶が無ければある意味恵まれた一生を送れたのではないだろうか。
とりあえずはこの仕事をし続けていれば食い物には困ることは無いし、戦いによって命を落とす可能性も無い。
仲間達からはガン無視されているだけだが、
生きてさえいれば一応治療もしてくれるようだし、
死ねる要素が全く無い。

そんな事をボンヤリ考えながら休憩ていたら、
ボス的存在が現れ、「今夜の宴に参加しろ」と伝えてきたのは正直驚いた。
まともな会話をしていなかったので、
頷くことしか出来なかったが・・・。

俺もまともな飯にありつけるのだろうか？
それとも群れにとって重要な何かあるのだろうか？

今は目の前の仕事を片付け、夜に備えよう。

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ーーー夜。
開けた広場で、
キャンプファイヤーをだいぶ大きくした様な炎を中心に仲間で囲む様に座っている。
俺はなるべく端の誰も座っていない目立たない所を見つけると席を確保した。
勿論、治療の時に被せられたら袋を被るのも忘れていない。

思えばここ５年でこの群れは大分大所帯になった。
ざっと見渡しても１００匹はいるんじゃないだろうか？
物心ついたときには２、３０匹程度だった筈だ。
俺と同世代だけでも１０匹位はいた筈だ。
毎年１０匹以上増え続けていけばあっという間に１００匹程度の大所帯になっていくだろう。
どこまで増えるつもりなんだろうか？
もっと増えると俺の仕事も辛くなっていくんだろうな、
とゲンナリしていると、辺りの喋っていたオーク達が
静かになっていく。

どうやらボスが席に現れた様だ。
オーク達が完全に静まり返ったタイミングでボスが話をはじめた。