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番外編
ヒロイン誘拐事件①
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私は今、ディルジアに呼び出されていた。
頼みがあるとかで、書斎へと足を運んでいる。
「ヴァリフィア。今日は頼みがあってね。」
「噂の花を調査してきてくれ……でしょう?」
「よく分かったな…。」
「当然よ。今王国内ではその噂が絶えないもの。ディアなら既に、暗部を動かしていると思っていたのだけれど?」
「こちらも忙しくてね。暗部には違う仕事を任せている。」
「そうなのね。それと、噂にある花は、存在しないわ。」
「もう調べたのか!?」
「ええ。噂を聞いた時に、エフェンと一緒に見に行ったのよ。彼も、魔法大臣として調査しなければならない、と言っていたから一緒にと誘ったわ。そして結果は想像していた通りね。」
『黄金の花』、それは最近王国内で広がっている噂話だ。
その花を食べると、どんな病気でも治るのだとか。
しかしそんな花が実在しているはずもなく、所詮は噂話だったのだ。
「というわけだから、私は戻るわね。」
「いや、話はまだ終わっていないよ。むしろここからが本題だ。」
「何かしら。」
「メイナが何者かに誘拐された。」
「なっ…!?」
「今朝エフェンからそう告げられてね。休暇でもないのに魔法省に来ていないことを知ったエフェンが、彼女の家を訪ねたそうだ。しかし誰もおらず、行方をくらませてしまった。」
メイナは宮廷魔法師と同等の実力を持っていた。
そんな彼女が誘拐されるとは、犯人がかなりの手練だと予想出来る。
「……痕跡は?」
「一切ない。」
「一切ない…?それはおかしいと思うのだけれど。」
「ああ。だからこそ誘拐だと判断したんだ。家にはメイナの魔力痕跡すら残されていなかったのだからな。」
「何者かが隠蔽したのね…。」
「その通りだ。だからこそ、エフェンと協力して彼女を救ってくれ。」
「私からもお願いします。義理の妹になるメイナを、救ってください…!」
「勿論よ、サールズ。とりあえずエフェンと合流するわ。」
そして背を向けてその場をあとにしようとした時、ディルジアが立った。
その音に私は振り返る。
「言い忘れていた。」
「まだ何かあるの?」
「今回は私も同行するよ。友人であるメイナが心配だからな。」
「遠慮するわ。仕事、まだまだあるのでしょう?」
「いいや、1時間もあれば片付く程度だ。問題ない。」
「サールズ。ディアの言っていることは本当かしら。」
「真実さ、そうだろう?サールズ。」
「……陛下がそうおっしゃるなら。」
「というわけだ。」
「分かったわ。私一人で行くから、ディアはサールズと仕事を頑張って。」
「えっ…!?」
「報告はエフェンと来るから、心配しないでほしいわ。ではこれで失礼するわね。」
「ちょ……えぇ…。」
私はエフェンと合流すべく、魔法省へと転移した。
扉から出ていき、転移する直前に何か聞こえた気がしたが、気のせいだろう……。
--ヴァリフィアが出ていった後の国王の書斎--
「はぁ~。」
「ため息などつかれている暇があるのですか?」
「サールズのせいだと思うけど?」
「何のことでしょう?」
「相変わらずだよねぇ…。」
「文句言わずに、仕事してください。」
「サールズもメイナの行方が気になっているんだろう?」
「それは……まぁ…。」
「だったら!」
「それとこれとは話が違います。陛下はご自分のするべきことをしてください。メイナの件は、エフェン殿とヴァリフィア陛下にお任せしていれば大丈夫でしょう。」
「分かったよ…。」
仕事を嫌々するディルジアなのであった。
頼みがあるとかで、書斎へと足を運んでいる。
「ヴァリフィア。今日は頼みがあってね。」
「噂の花を調査してきてくれ……でしょう?」
「よく分かったな…。」
「当然よ。今王国内ではその噂が絶えないもの。ディアなら既に、暗部を動かしていると思っていたのだけれど?」
「こちらも忙しくてね。暗部には違う仕事を任せている。」
「そうなのね。それと、噂にある花は、存在しないわ。」
「もう調べたのか!?」
「ええ。噂を聞いた時に、エフェンと一緒に見に行ったのよ。彼も、魔法大臣として調査しなければならない、と言っていたから一緒にと誘ったわ。そして結果は想像していた通りね。」
『黄金の花』、それは最近王国内で広がっている噂話だ。
その花を食べると、どんな病気でも治るのだとか。
しかしそんな花が実在しているはずもなく、所詮は噂話だったのだ。
「というわけだから、私は戻るわね。」
「いや、話はまだ終わっていないよ。むしろここからが本題だ。」
「何かしら。」
「メイナが何者かに誘拐された。」
「なっ…!?」
「今朝エフェンからそう告げられてね。休暇でもないのに魔法省に来ていないことを知ったエフェンが、彼女の家を訪ねたそうだ。しかし誰もおらず、行方をくらませてしまった。」
メイナは宮廷魔法師と同等の実力を持っていた。
そんな彼女が誘拐されるとは、犯人がかなりの手練だと予想出来る。
「……痕跡は?」
「一切ない。」
「一切ない…?それはおかしいと思うのだけれど。」
「ああ。だからこそ誘拐だと判断したんだ。家にはメイナの魔力痕跡すら残されていなかったのだからな。」
「何者かが隠蔽したのね…。」
「その通りだ。だからこそ、エフェンと協力して彼女を救ってくれ。」
「私からもお願いします。義理の妹になるメイナを、救ってください…!」
「勿論よ、サールズ。とりあえずエフェンと合流するわ。」
そして背を向けてその場をあとにしようとした時、ディルジアが立った。
その音に私は振り返る。
「言い忘れていた。」
「まだ何かあるの?」
「今回は私も同行するよ。友人であるメイナが心配だからな。」
「遠慮するわ。仕事、まだまだあるのでしょう?」
「いいや、1時間もあれば片付く程度だ。問題ない。」
「サールズ。ディアの言っていることは本当かしら。」
「真実さ、そうだろう?サールズ。」
「……陛下がそうおっしゃるなら。」
「というわけだ。」
「分かったわ。私一人で行くから、ディアはサールズと仕事を頑張って。」
「えっ…!?」
「報告はエフェンと来るから、心配しないでほしいわ。ではこれで失礼するわね。」
「ちょ……えぇ…。」
私はエフェンと合流すべく、魔法省へと転移した。
扉から出ていき、転移する直前に何か聞こえた気がしたが、気のせいだろう……。
--ヴァリフィアが出ていった後の国王の書斎--
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「ため息などつかれている暇があるのですか?」
「サールズのせいだと思うけど?」
「何のことでしょう?」
「相変わらずだよねぇ…。」
「文句言わずに、仕事してください。」
「サールズもメイナの行方が気になっているんだろう?」
「それは……まぁ…。」
「だったら!」
「それとこれとは話が違います。陛下はご自分のするべきことをしてください。メイナの件は、エフェン殿とヴァリフィア陛下にお任せしていれば大丈夫でしょう。」
「分かったよ…。」
仕事を嫌々するディルジアなのであった。
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