232 / 255
両想い!?
しおりを挟む
2ヶ月が経った。
学園生活も、残り1週間である。
この3年、様々なことがあった。
友が増え、自分の研究棟が建ち、国……国王陛下直々の依頼を受けたりなど…。
そして、今がある。
「リフィ。リフィ…!」
「…!殿下、どうかなされましたか?」
「それはこちらが聞きたいよ…。何度呼んでも反応しないし、考えている感じもない。本当にどうしたんだ?」
「いえ……この3年を振り返っていました。とても濃い日々だったなと……。」
「確かに、かなり濃い3年だったね。まぁそれもこれも、君とエフェンが色々していたからだけれどね?」
「……二つ名をつけたのは、国お……いえ、これ以上は言わないでおきましょう。不敬罪になってしまいますからね。ですが、結果的には戦争を回避できたのです。さらには、この国に手を出す愚か者もいなくなったはずです。」
「そうだな…。それについては、本当に感謝しているよ。」
休日の今日、私はディルジアに呼ばれ王城に来ていた。
今は2人きりなので、殿下の口調は軽いものになっている。
「おや、ディルジアにヴァリフィア。」
「こ、国王陛下!ご機嫌麗しゅう。」
「まぁ、そうかしこまるでない。通りすがっただけのこと。余が居ては邪魔になるだろう。ではまたな。」
そう言うと、国王陛下は去っていった。
私は気を緩める。
「ふぅ……驚きました。」
「いくら僕しか居ないからって、気を緩めすぎじゃないか…?」
「そんなことはありませんよ。しかし、残り1週間か……。」
「ええ…。そういえば、メイナの好きな人……聞くのを忘れていましたね。」
「気になっていたのか?」
「当然です。女性にとっては、誰でも気になることなのですよ。」
「そうなのか……ああ、彼女はエールズに関することを聞きに来たことがあったな。」
「えっ!?それは本当ですか!?」
「お、おお……近いぞ。」
「あっ、申し訳ありません。」
「いや、それはいいが……。エールズも彼女のことを聞いてきたぞ?僕はヴァリフィアに聞いた方が早いだろうと答えたけれどね。」
「そう言われてみれば……私にメイナのことを聞きに来ましたね。つまりは両想い……ふふっ。」
「そういうことなんだろうね。」
恋の予感に、私は嬉しくなる。
それと同時に、1つ思い出してしまった。
(え、ちょっと待って…。エールズとヒロインであるメイナが結ばれると、悪役令嬢である私は国外追放になるよね!?)
かなり大変な事になると思ったが、きっと大丈夫だと、心を落ち着かせる。
私には、心強い友人と殿下がいるのだから……。
学園生活も、残り1週間である。
この3年、様々なことがあった。
友が増え、自分の研究棟が建ち、国……国王陛下直々の依頼を受けたりなど…。
そして、今がある。
「リフィ。リフィ…!」
「…!殿下、どうかなされましたか?」
「それはこちらが聞きたいよ…。何度呼んでも反応しないし、考えている感じもない。本当にどうしたんだ?」
「いえ……この3年を振り返っていました。とても濃い日々だったなと……。」
「確かに、かなり濃い3年だったね。まぁそれもこれも、君とエフェンが色々していたからだけれどね?」
「……二つ名をつけたのは、国お……いえ、これ以上は言わないでおきましょう。不敬罪になってしまいますからね。ですが、結果的には戦争を回避できたのです。さらには、この国に手を出す愚か者もいなくなったはずです。」
「そうだな…。それについては、本当に感謝しているよ。」
休日の今日、私はディルジアに呼ばれ王城に来ていた。
今は2人きりなので、殿下の口調は軽いものになっている。
「おや、ディルジアにヴァリフィア。」
「こ、国王陛下!ご機嫌麗しゅう。」
「まぁ、そうかしこまるでない。通りすがっただけのこと。余が居ては邪魔になるだろう。ではまたな。」
そう言うと、国王陛下は去っていった。
私は気を緩める。
「ふぅ……驚きました。」
「いくら僕しか居ないからって、気を緩めすぎじゃないか…?」
「そんなことはありませんよ。しかし、残り1週間か……。」
「ええ…。そういえば、メイナの好きな人……聞くのを忘れていましたね。」
「気になっていたのか?」
「当然です。女性にとっては、誰でも気になることなのですよ。」
「そうなのか……ああ、彼女はエールズに関することを聞きに来たことがあったな。」
「えっ!?それは本当ですか!?」
「お、おお……近いぞ。」
「あっ、申し訳ありません。」
「いや、それはいいが……。エールズも彼女のことを聞いてきたぞ?僕はヴァリフィアに聞いた方が早いだろうと答えたけれどね。」
「そう言われてみれば……私にメイナのことを聞きに来ましたね。つまりは両想い……ふふっ。」
「そういうことなんだろうね。」
恋の予感に、私は嬉しくなる。
それと同時に、1つ思い出してしまった。
(え、ちょっと待って…。エールズとヒロインであるメイナが結ばれると、悪役令嬢である私は国外追放になるよね!?)
かなり大変な事になると思ったが、きっと大丈夫だと、心を落ち着かせる。
私には、心強い友人と殿下がいるのだから……。
1
お気に入りに追加
1,108
あなたにおすすめの小説
継母の心得
トール
恋愛
【本編第一部完結済、2023/10〜第二部スタート ☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定☆】
※継母というテーマですが、ドロドロではありません。ほっこり可愛いを中心に展開されるお話ですので、ドロドロ重い、が苦手の方にもお読みいただけます。
山崎 美咲(35)は、癌治療で子供の作れない身体となった。生涯独身だと諦めていたが、やはり子供は欲しかったとじわじわ後悔が募っていく。
治療の甲斐なくこの世を去った美咲が目を覚ますと、なんと生前読んでいたマンガの世界に転生していた。
不遇な幼少期を過ごした主人公が、ライバルである皇太子とヒロインを巡り争い、最後は見事ヒロインを射止めるというテンプレもののマンガ。その不遇な幼少期で主人公を虐待する悪辣な継母がまさかの私!?
前世の記憶を取り戻したのは、主人公の父親との結婚式前日だった!
突然3才児の母親になった主人公が、良い継母になれるよう子育てに奮闘していたら、いつの間にか父子に溺愛されて……。
オタクの知識を使って、子育て頑張ります!!
子育てに関する道具が揃っていない世界で、玩具や食器、子供用品を作り出していく、オタクが行う異世界育児ファンタジー開幕です!
番外編は10/7〜別ページに移動いたしました。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
継母の心得 〜 番外編 〜
トール
恋愛
継母の心得の番外編のみを投稿しています。
【本編第一部完結済、2023/10/1〜第二部スタート☆書籍化 2024/11/22ノベル5巻、コミックス1巻同時刊行予定】
【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます
宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。
さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。
中世ヨーロッパ風異世界転生。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
深窓の悪役令嬢~死にたくないので仮病を使って逃げ切ります~
白金ひよこ
恋愛
熱で魘された私が夢で見たのは前世の記憶。そこで思い出した。私がトワール侯爵家の令嬢として生まれる前は平凡なOLだったことを。そして気づいた。この世界が乙女ゲームの世界で、私がそのゲームの悪役令嬢であることを!
しかもシンディ・トワールはどのルートであっても死ぬ運命! そんなのあんまりだ! もうこうなったらこのまま病弱になって学校も行けないような深窓の令嬢になるしかない!
物語の全てを放棄し逃げ切ることだけに全力を注いだ、悪役令嬢の全力逃走ストーリー! え? シナリオ? そんなの知ったこっちゃありませんけど?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる