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彼女の正体…

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「どうぞ。」

「ありがとう、イルナ。下がっていて。」

「はい。」


中庭に移動した後、イルナがテーブルに菓子などを用意してくれた。
そして一礼し、下がって行った。


「ヴァリフィア。エーリの魔力量、同年代に敵無しじゃないか?」

「そうね。」

「え…?」

「ああ、驚かせてしまったなネア殿。私はヴァリフィアに、敬称などは要らないと許可してあるのさ。」

「そうでしたか。」

「それで、ありえないほど強いと思うのだが。」

「私の弟だもの。不思議ではないと思うけれど?」

「僕は姉さんみたいに強くなりたいんだぁ!」

「なるほど……。流石は姉弟だな。エーリも姉と同じ道を進みそうだ。」

「あら、酷いわね。そうはならないようにするつもりなのだけれど。」

「頼むぞ。」

「無論よ。私の道を進むのは、絶対に避けさせないとね。茨の道のようなものだから…。」


強さは必要だ。
エイリジュは次期ラーノンス侯爵家の当主となる。
強者であることは重要なことだ。
私が進んだ道は、あらゆる国の者に狙われる。
エイリジュがその道を進むこと、それだけは避けたい。

しばらく雑談を楽しみ、本題に入ろうと思いエフェンを見た。
頷いて返事をしてくれた。


「姉さん?」

「何でもないわよ。気にしないで。そういえばエーリ、そろそろお母様のところへ行く時間じゃない?」

「あっ!そうだった!行ってくるね。ネア先生、また来週!エフェン兄さんは……。」

「後でヴァリフィアと会いに行くよ。」

「うん!」


エイリジュは走り去っていった。
母とお話するのだとか。
内容までは聞いていないが。


「さて、ネア殿。」

「はい…?」

「陛下から、伝言を預かってはいませんか?」

「……流石ですね。全てお見通しというわけですか…。」

「私が誘わなくても、この場所についてきていたでしょう?」

「はい…。」

「では内容をお願いします。王国1位の実力者、ネアス・コルワーヌ様。」

「っ!?」


驚きを隠せていない、ネア改め、『ネアス・コルワーヌ』なのだった。
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