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報告と……

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私は侯爵家の邸前へと転移した。
そして中に入ると、メイド達が待っていた。


「「「おかえりなさいませ、お嬢様。」」」

「ただいま。」

「お嬢様。侯爵様よりお嬢様へ、『書斎にいる。』と言付かっております。」

「分かったわ。ありがとう。私は書斎に行ってくるわね。」

「はい。」


書斎へと向かい、扉を叩く。
許可を得て中へと入る。
父は優しい顔をしている。


「おかえり、リフィ。」

「ただいま戻りました、お父様。」

「それで、会談はどうだった?」

「はい。皇帝陛下が条約を提案し、ツィレイル王国とコールシヤ皇帝の間で、『相互不戦条約』が締結されました。締結の際、エフェン様が条件を加えられ、内容は『皇帝陛下と陛下の臣下の者が私やエフェン様に接触しない』というものです。」

「流石はエフェン令息だな。」

「探りを入れることなどもってのほかです。しかしそれでは不公平な為、もう1つの条件を加えました。私やエフェン様が国王陛下に、帝国の情報を一切お伝えしないというものです。」

「なるほど。しかしそれでは……。」

「お父様の考えていらっしゃる通りです。互いに探ることは可能ですが、戦争はしないというのが今回の条約です。ですがこの条約を結んだことは、良かったと思っています。」

「何故だい?」

「私とエフェン様に接触しない、関わらないということは、家族の安全は保証されたも同然ですから…。」

「……リフィはいつも、私達のことを考えてくれているね。ありがとう。」

「私の力が原因と言えますから……。」

「それでも、だよ。本当にありがとう。」


その言葉に、私は笑顔で返す。
こんなにも良い家族だからこそ、守りたいと思う。
私のせいで不幸にはさせたくない。
そんな私の気持ちを感じ取ったかのように、父は少し悲しいような顔をした。


「リフィは1人で何でもやろうとし過ぎだよ。もう少し、私や国王陛下を信じてくれないか?」

「え…?」

「国王陛下は秘密裏にこの邸の周辺を見張り、私達に付いている護衛は国王陛下より派遣された者達だ。」

「……。」

「知っていたが、不安と言ったところか…。リフィが安心出来る方法で構わないよ。でも、私やフェリアを頼ってほしいんだ。」

「……善処します。」

「そうしてくれ。」

「会談の報告は以上になります。」

「分かった。夕食を食べてきなさい。」

「はい。失礼します。」


私は書斎を出た。
邸の廊下を歩きながら、父に言われたことを思い出す。


(『頼ってほしい』……か…。心配…してくれてるんだよね……。)
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