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流石にないよね!?

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--翌朝--


今日は予定がなく、10時頃まで寝ようと思っていたのだが、イルナに大慌てで起こされた。
時刻は9時前だった。


「お嬢様、起きて下さい!」

「ん……?イルナ?どうしたの、そんなに慌てて。」

「呑気にしている場合ではありません!至急王城へと向かわなくてはならないのです!」

「えっ!?王城に?!」


一瞬で目が覚めた。
急いで身支度を済ませ、朝食を摂るために1階へと降りる。
既に父と母が座っていた。
エイリジュはまだ寝ているようだ。
成人するまでの間は、年齢に合わせ、起きる時間を早くしていくのだ。
今のエイリジュが起こされる時刻は9時頃。
王城へと向かうために邸を出るまでは、あえて寝かせたままにしているのだろう。
そして、『王城に向かう』と言っていたことからもだと理解出来る。


「おはようございます、お父様、お母様。遅くなり、申し訳ありません。」

「おはよう、リフィ。」

「おはよう。急だったからな。休んでいるところ、起こしてしまってすまないな。」

「お気になされず。」

「とりあえず、食事を摂りながら話そう。」

「はい、お父様。」


そして、父は話し始めた。

今朝8時半過ぎ、一通の手紙が届いたそうだ。
その手紙には、王家の印が押されており、至急王城へと来てほしいという内容だった。
ただし、父と私のみの呼び出しだ。
コールシヤ帝国と会談をすることが決まり、それについての話がしたいとのこと。


「物分りがいいエーリなら、ついてくるとは言わないだろうが、念の為に寝かせたままにしてある。」

「それが最善かと。あの子にはまだ早いと思いますので……。」

「そう言うリフィも、あの子くらいの時には既に二つ名があったわよ?」

「それは言わないで下さい!」

「ふふっ。可愛いわね。」


(そっか……。私は今18歳で、エーリは11歳。前世でいう小学5年生ってところね。だとしたら、もう少し大人びていてもおかしくわないよね…?)


そんなことを考えてると、私の様子を見て察したのか、母がくすくすと笑いながら言った。


「エーリが甘えるのは、貴女だけなのよ?」

「わ、私だけですか…?」

「ええ。あの子に対する周りの認識は、格好よくて優しく強い、『賢華』様の弟君。という感じらしいわよ。」

「ええっ!?あのエーリが……。冬季休暇中の年明けパーティーで、様子を見てみます。」

「ええ。でも、姉の前で凛々しくいられるかしら。」

「少し離れていれば良いかと。」

「それもそうね。」

「さて、そろそろ向かうぞ。準備を済ませてこい。」

「はい。」

(エーリってもしかしてシスコン…?いやいや、私の弟に限ってそれはないかな。うん、そうだよね……きっとないよね!)


頭の中で否定する。
そして再度支度を済ませ馬車に乗り込もうとしたのだが、馬車は用意されていなかった。
もしやと思い、父を見ると……。


「リフィ、1つ頼みがある。」

「瞬間移動で王城まで転移すれば良いのですね。」

「分かっていたのか?」

「はい。馬車では盗賊に遭遇することもありますから、急を要する際は安全かつ早い方が良いと私も考えておりました。それに、馬車が用意されていませんから。」

「そうだな。というわけで、頼めるか?」

「勿論です。では行きましょうか。」

「ああ。行ってくる、フィリア。」

「ええ。帰りを待っていますわ。」


そうして私は瞬間移動を発動し、王城前まで父と転移したのだった。
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