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冬季休暇です!
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クリスマスパーティーの翌日。
学園では終業式をし、冬季休暇に入った。
そして私は今、馬車に揺られている。
「お嬢様。早くも冬季休暇ですね。」
「ええ。エイリジュに会えるわ…。」
「お嬢様は本当にエイリジュ様が大好きですね。」
「当たり前じゃない。私にとって、たった1人の姉弟なのよ?それに、あの子の可愛さといったら……ふふっ。」
「ですが、フルシーネア学園高等部、最高学年での冬季休暇は、卒業も近いということです。お嬢様との学園生活も、もうすぐ終わってしまいますね……。」
「そんな寂しい言い方しないで。これからもずっと一緒なのだから。」
「はいっ。勿論です。」
「あ、でも。イルナが一目惚れした人がいたら教えてほしいわよ?」
「えっ!?」
「何かを縛り付けるのは好きじゃないの。それが今までお世話になっている人なら尚更ね。」
「……ありがとうございます。ですが、私はお嬢様が好きなのです。お嬢様付きの侍女になれて、本当に良かったと思っています。」
「嬉しいことを言ってくれるわね…。私こそありがとう。いつも傍にいてくれて。」
「とんでもございません。今ここにいるだけでも、私は幸せなのですから。もうすぐですね。お嬢様、侯爵家に着きますよ。」
「ええ。」
私は馬車の窓から外を見る。
見慣れた侯爵家周辺の様子。
いつもと変わっていないようでなによりだ。
そして馬車の音が聞こえたのか、エイリジュが外へ出てきた。
侯爵家の中では--
「エイリジュ坊っちゃまっ!走っては危ないですよ!」
「リフィ姉さんが帰ってきた!馬車でこっちに向かってるんだ!」
「どうした?騒がしいようだが。」
「侯爵様!エイリジュ坊っちゃまがヴァリフィアお嬢様が帰ってこられたと、走って出て行ってしまって…。」
「全く、エーリもリフィが大好きだな。それにしても、私ですら気付けぬというのに……。魔力感知の広さが私に勝っているのだろうな。」
「と、とりあえずエイリジュ坊っちゃまを追いかけます!」
「ああ、そうしてくれ。私達の子は、魔法の天才ばかりなのか…?いや、リフィが異次元なだけか…。」
複雑な気持ちになりつつ、外へ出た。
エイリジュの言う通り、こちらに向かってくる馬車の中から手を振るヴァリフィアの姿があった。
飛び跳ねながら手を振り返すエイリジュの後ろ姿を見て、父ガルリジュは微笑ましくなったのだった。
学園では終業式をし、冬季休暇に入った。
そして私は今、馬車に揺られている。
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「ええ。エイリジュに会えるわ…。」
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「当たり前じゃない。私にとって、たった1人の姉弟なのよ?それに、あの子の可愛さといったら……ふふっ。」
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「ええ。」
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