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魔石がなる理由
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「相変わらず綺麗だな。」
「そうだね。」
「綺麗ですね。」
巨大な魔石の木を3人で見上げる。
そこには、以前見た時と変わらぬ魔石のなる木があった。
「見とれている場合ではないぞ。ヴァリフィア、早速調べよう。」
「そうだったわね。」
私は魔力感知の精度を上げ、魔力の質を調べていく。
エフェンも同じことをしている様子。
「面白いわね……。種類が豊富。」
「そうだな…。中々に興味深いよ。」
「どうなっているんだ?」
1人だけ、意味が分かっていない方がいる様子。
無論、ディルジアなのだが。
私は詳しく説明した。
この木の周辺には、様々な属性を持った魔力が漂っている。
普通、魔力自体に属性はなく、無属性と言うのが常識だ。
そこから生物の体内に取り込まれる際に、術式などによって属性が変化する。
しかし、魔石の木の周辺に存在する魔力は、既に属性が決まっている魔力なのだ。
「設置型の術式がどこかにある……のか?」
「いえ、それはないでしょうね。意図的にこの木を生み出したのであれば、魔石を回収する者が現れるはずよ。でもこの場に何者かが足を踏み入れた形跡はない。勿論、許可を取っている方以外でね。」
「分かるのか?」
「以前来た時に、ちょっとした仕掛けをね。」
「確かに、防衛に関する部分では、ここはあまりにも手薄だからな。」
「ええ。」
「悪かったね。だが仕方ないじゃないか。国でも機密事項なんだからな。」
「分かってるさ、ディル。しかし、結局魔力の属性が決まっているこの現象は、何故なんだろうな。」
「そうね……。あら?」
「ん?」
私は木の根に違和感を感じた。
土などを透かし、違和感のある部分を可視化する魔法をかける。
するとそこに見えてきたのは……
「原因はこれね。」
「みたいだな……。初めて見たよ。」
「そうだな……。」
木の根が大きく張った地面の下。
根は虹色の魔石から伸びていき、魔石の木がなっている
「木は、上から根を下ろすものよね?」
「あ、ああ…。どんな植物でも、そのはずなんだが……。」
「魔石から木が生えていっているように見えるのだけれど。」
「私にもそう見えている…。」
「僕にもそう見えるけど…。」
虹色の魔石から半径3mの円状で、魔力の流れが他と異なっている。
この木の周辺が、円形に何も植物の生えない状況になっている理由がそれだった。
効果範囲内に入ると魔力が属性を持ってしまい、普通の植物には耐えられないのだろう。
さらに、この木は魔石の影響で属性を持つ魔力を集める様子。
だからこそ、3m以上は広がらないのだろう。
故に、このような神秘的な状態ができたようだ。
「にしても、虹色の魔石…ね。」
「……この手で調べたいな。」
「やめておいた方がいいわよ。」
「分かっている。魔石の木が無くなることは困るし、何より虹色の魔石がどのような影響を及ぼすか分からない。」
「謎のままにしておくのも、時には必要ということなのでしょうね。」
「……そうなのだろうな。」
「つまり、2人はこれ以上調べないのか?」
「勿論さ。ディル、今日知った事は他言無用だ。」
「私からもお願い致します。無論、例え相手が国王陛下であったとしても、言ってはなりません。」
「どうしてだい?」
「大変なことになるからです。この木の下に埋まっている魔石を掘り起こす事は、絶対にしてはいけません。」
「ヴァリフィアの言う通りだ。災禍になりかねない。未知とは、恐ろしいものだからな。」
「…分かった。言わないよ。」
「頼んだぞ。」「お願いします。」
私とエフェンは目を合わせ、頷き合う。
一応警戒しておこうと思ったからだ。
婚約者であり、好きな方を疑うなどしたくはなかったが、今回ばかりはそうも言っていられない……。
「そうだね。」
「綺麗ですね。」
巨大な魔石の木を3人で見上げる。
そこには、以前見た時と変わらぬ魔石のなる木があった。
「見とれている場合ではないぞ。ヴァリフィア、早速調べよう。」
「そうだったわね。」
私は魔力感知の精度を上げ、魔力の質を調べていく。
エフェンも同じことをしている様子。
「面白いわね……。種類が豊富。」
「そうだな…。中々に興味深いよ。」
「どうなっているんだ?」
1人だけ、意味が分かっていない方がいる様子。
無論、ディルジアなのだが。
私は詳しく説明した。
この木の周辺には、様々な属性を持った魔力が漂っている。
普通、魔力自体に属性はなく、無属性と言うのが常識だ。
そこから生物の体内に取り込まれる際に、術式などによって属性が変化する。
しかし、魔石の木の周辺に存在する魔力は、既に属性が決まっている魔力なのだ。
「設置型の術式がどこかにある……のか?」
「いえ、それはないでしょうね。意図的にこの木を生み出したのであれば、魔石を回収する者が現れるはずよ。でもこの場に何者かが足を踏み入れた形跡はない。勿論、許可を取っている方以外でね。」
「分かるのか?」
「以前来た時に、ちょっとした仕掛けをね。」
「確かに、防衛に関する部分では、ここはあまりにも手薄だからな。」
「ええ。」
「悪かったね。だが仕方ないじゃないか。国でも機密事項なんだからな。」
「分かってるさ、ディル。しかし、結局魔力の属性が決まっているこの現象は、何故なんだろうな。」
「そうね……。あら?」
「ん?」
私は木の根に違和感を感じた。
土などを透かし、違和感のある部分を可視化する魔法をかける。
するとそこに見えてきたのは……
「原因はこれね。」
「みたいだな……。初めて見たよ。」
「そうだな……。」
木の根が大きく張った地面の下。
根は虹色の魔石から伸びていき、魔石の木がなっている
「木は、上から根を下ろすものよね?」
「あ、ああ…。どんな植物でも、そのはずなんだが……。」
「魔石から木が生えていっているように見えるのだけれど。」
「私にもそう見えている…。」
「僕にもそう見えるけど…。」
虹色の魔石から半径3mの円状で、魔力の流れが他と異なっている。
この木の周辺が、円形に何も植物の生えない状況になっている理由がそれだった。
効果範囲内に入ると魔力が属性を持ってしまい、普通の植物には耐えられないのだろう。
さらに、この木は魔石の影響で属性を持つ魔力を集める様子。
だからこそ、3m以上は広がらないのだろう。
故に、このような神秘的な状態ができたようだ。
「にしても、虹色の魔石…ね。」
「……この手で調べたいな。」
「やめておいた方がいいわよ。」
「分かっている。魔石の木が無くなることは困るし、何より虹色の魔石がどのような影響を及ぼすか分からない。」
「謎のままにしておくのも、時には必要ということなのでしょうね。」
「……そうなのだろうな。」
「つまり、2人はこれ以上調べないのか?」
「勿論さ。ディル、今日知った事は他言無用だ。」
「私からもお願い致します。無論、例え相手が国王陛下であったとしても、言ってはなりません。」
「どうしてだい?」
「大変なことになるからです。この木の下に埋まっている魔石を掘り起こす事は、絶対にしてはいけません。」
「ヴァリフィアの言う通りだ。災禍になりかねない。未知とは、恐ろしいものだからな。」
「…分かった。言わないよ。」
「頼んだぞ。」「お願いします。」
私とエフェンは目を合わせ、頷き合う。
一応警戒しておこうと思ったからだ。
婚約者であり、好きな方を疑うなどしたくはなかったが、今回ばかりはそうも言っていられない……。
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