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誤魔化し…きれない……?
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「わ、私ですか?……た、ただの令嬢…ですよ?」
そうは言ったものの、全員から疑いの眼差しが向けられる。
無詠唱魔法を使っている時点で、ただ者では無い事が分かるからだ。
すると担任教師のスフレが、何かを思いついたように的に近付いて行った。
生徒達は気になってその様子を目で追う。
「ふむ……故障していたようだ。上手く的の保護魔法が機能出来ていなかったらしい。ヴァリフィア令嬢。すまないが、違う的にもう一度同じ魔法を打ち込んくれ。」
「わ、分かりました。」
(なるべく弱く……弱く…。)
そう思いながら、『風弾』を発動する。
すると今度は的に当たって弾け、消えた。
(良かった……本当に故障していたんだ。これで誤魔化せられる…。)
しかし、そう上手い話は無く……。
全員の実技が終わった後、スフレが近寄って来た。
何か言いたげな表情をしていたので、私も近寄って行く。
「スフレ先生、何かご用でしょうか。」
「ああ。クラスルームへ戻れば、明日の筆記査定についての説明を行う。それで今日のところは終わりだ。その後、私の元まで来てくれ。」
「……分かりました。」
「言っておくが、故障は嘘だぞ?ああでも言わないと、皆の目があったからな。」
「ご配慮、感謝致します。」
「今年の新入生は強者揃いのようだな。殿下が霞んでしまうほど、君は……ふっ。色々と大変になるかもな。」
「???」
最後の一言だけ、聞き取ることが出来なかったが、私が力を隠している事をスフレは勘づいているかもしれない。
と言うよりは、ほぼ確実に分かっているだろう。
(とりあえず、先生ナイスッ!機転が利く方で助かったぁ~。)
と、まだまだ事の大きさを理解していない、呑気なヴァリフィアであった。
そうは言ったものの、全員から疑いの眼差しが向けられる。
無詠唱魔法を使っている時点で、ただ者では無い事が分かるからだ。
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生徒達は気になってその様子を目で追う。
「ふむ……故障していたようだ。上手く的の保護魔法が機能出来ていなかったらしい。ヴァリフィア令嬢。すまないが、違う的にもう一度同じ魔法を打ち込んくれ。」
「わ、分かりました。」
(なるべく弱く……弱く…。)
そう思いながら、『風弾』を発動する。
すると今度は的に当たって弾け、消えた。
(良かった……本当に故障していたんだ。これで誤魔化せられる…。)
しかし、そう上手い話は無く……。
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「???」
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と言うよりは、ほぼ確実に分かっているだろう。
(とりあえず、先生ナイスッ!機転が利く方で助かったぁ~。)
と、まだまだ事の大きさを理解していない、呑気なヴァリフィアであった。
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