【完結】私ですか？ただの令嬢です。

先ず1つ目の回避、です！

「お父様、お母様。おはようございます。｣

「ああ、おはよう。」

「おはようリフィ。」


朝食を摂る為に1階へと降りた私は、用意されている席へと座る。
先に居たのは両親だ。
父の名はガルリジュ・ラーノンス。
ラーノンス侯爵家の当主だ。
母はフェリアという。
2人とも美形であり、つい見惚れてしまう。


「何か付いているかい？私の顔をじっと見つめて。」

「い、いいえ！何でもありません。」

「そうか。……リフィ、伝えなければならない事がある。」

「何でしょうか？」

「これから私とフェリアは隣領へと視察に向かう。帰ってくるのは明日の夕方だ。それまで、待っていてくれるかい？」

「勿論です。教師の先生と、ここで勉強を頑張りますわ。私の事は気にせず、お仕事頑張ってください、お父様、お母様。」

「ふふっ。いい子ね。」


だが思い出した事があった。
悪役令嬢ヴァリフィアは、幼い頃に両親を事故で無くす。
その後から彼女は変わってしまい、ヒロインに数々の嫌がらせをするようになっていったという事を。


(前世でずっと私は、悪役令嬢ヴァリフィアが可哀想で仕方がなかった。両親が死ななければこんな結末にはならなかったはず……と。正直、設定資料集見た後からは、悪役令嬢好きだったんだよね。)


そして、両親を救う為(本音は自分の為)に1つ提案をすることにした。


「お父様！その……」

「どうしたんだい？」

「えっと……隣領へと向かう道を、変更して欲しいのです。」

「今決めている道が一番近い。」

「ですが嫌な予感がするのです……。お父様達が通る予定の道は、いつ落石に巻き込まれるか分かりません。隣領へ着く前に、命を失っては元も子もないでしょう？」

「ふむ、確かにな。急がば回れ……か。」

「その通りです。遠回りになりますが、整備された道をお通り願います。」

「分かった。リフィの言う事だ。道の再確認を行おう。」

「ありがとうございます。」


こうして、父達は道を変更し隣領へと向かった。
その日の内に、最初に通る予定だった道で巨大な落石があったらしい。
勿論、死者や怪我人はいなかった。
それを聞いたヴァリフィアは、


(よし、先ず1つ目の回避が出来た！未来は変えられる！でも一番の問題は、ヒロインと攻略対象への対応よね…。出来るだけ会いたくはないのだけれど。)


しかし、ヴァリフィアの思いとは裏腹に、ヒロインや攻略対象達と会う日は近いのだった。