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第23話(王太子視点)

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「ヴィアルス様~!」


私が王城内の庭園にて紅茶を飲みながら静かな時間を楽しんでいた時、少し離れた場所から私の名を呼ぶ声が聞こえた。
振り返るとミフェラが愛らしく走って来ている。『令嬢なのに走るとは』と叱られてしまうところだろうが、可愛いので構わない。


「ミフェラか。急にどうしたんだ?」
「朗報ですわ!今日のお茶会で、良い噂を耳にしましたの。」
「良い噂……だと?」
「はいっ。レイシアの目撃情報があったのですわ!噂とはいえ、信憑性はあるかと。」
「なっ……それは確かに朗報だな…!」


ミフェラがお茶会で聞いたという噂について、詳しく話してもらった。
噂の出処は分からないが、あの女を見たという貴族がいたそうだ。場所はルーズフィルト公爵領のある街だった。あそこは隣国と接している為、これから国外に出るつもりなのだろう。
だがそうはさせない。必ず捕え、仕事をやらせる。それに奴は国の機密情報にも触れていた存在だ。


「まさかあいつは、隣国にこの国の機密情報を売るつもりなのか…!?」
「そ、そんな!絶対に阻止しなければなりませんわ!」
「ああ。まずは噂の真偽を確かる為に、ルーズフィルト公爵領にレイシアが居るのかを調べさせよう。」


──ヴィアルスの名で秘密裏にレイシアの調査が命じられた、その翌日──


「殿下!」
「…煩いぞ。もっと静かに出来ないのか?」
「元侯爵令嬢レイシアが、ルーズフィルト公爵領にて見つかったとの事です!」
「何だと?!場所は特定出来ているのか?」
「はっ、現在も監視させております!」
「ならば今すぐ向かおう。」


私はこの機を逃すまいと、すぐにミフェラと共に公爵領へと向かった。
あの女を見失えば大変なことになるだろう。隣国に情報を売られては、次期国王たる私のこの王国が滅んでしまいかねない。
ミフェラを連れてきたのは情に訴える為だ。実の妹が助力を願えば、必ず応じるはず。
無能でも使い道はあるのだ。褒めたくはないが、現にあの女は周囲の協力を得るのが上手い。私の仕事を任せておくには申し分ない存在だろう。


「私が命じれば、貴族ではなくなったレイシアは従わざるを得ないんだ──
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