21 / 46
第20話
しおりを挟む
「ああ、それはこっちで良いよ。」
「分かったわ。」
「レーアが居ると仕事が捗るし、丁寧だからやりやすいなぁ。」
「ヘクト義兄さんこそ、書類の間違いがほとんどないのは凄いわ。私も仕事が楽よ。」
「それは良かったよ。」
『公爵令嬢レイシア・ルーズフィルト』となってから早くも1週間が過ぎた。
公爵家での暮らしにも慣れ、お義父様やヘクト義兄さんのような家族だけではなく使用人達とも良い関係を築けていた。メアも侯爵家の時より働きやすいと言っている。
仕事は大体昼過ぎには片付くので、空いた時間はヘクト義兄さんやリランとお茶をしたり、彼らと公爵家を見て回ったりするようにしているのだが、侯爵家より何倍も広いと再確認させられる。
最近気になっているのは、お義父様の機嫌が何故かとても良いことだ。ずっと笑顔で、不気味でしかない…。
だがその理由は今日知ることになった。
「レイシア様。」
「メア。どうかしたの?」
私が自室にて読書をしていると、メアが入って来た。
「公爵様がお呼びです。今すぐ書斎に来て欲しいとの事です。」
「分かったわ。」
夕暮れ時、丁度お義父様は王城から帰ってきたばかりだろう。公爵家へと入ってすぐに私を呼んだのだと考えられる。
書斎に向かう途中、お義母様に会った。何やら忙しなく行動している。
「お義母様。」
「わわっ!誰かと思えばレーアじゃない。」
「何をしているのですか……?」
「もう、また敬語よ?公の場や仕事中以外では不要だと、ゼムにも言われたしょう?ここは公爵家。つまりは私達の家なのだから、もっと気楽に行かないとっ。」
「はい…。お義母様とお義父様はどうしても慣れなくて……。」
養子となって3日経った頃に、敬語不要だと2人から言われた。ヘクト義兄さんの言っていた通りだ…。だが慣れないものは慣れない。
仕事や周囲の目がある場所と、家などの私的な場との態度の切り替えという意味では、良い勉強になる。これを義兄さんやリランは難なく行っているのだから、お義父様達の教育方法は素晴らしいものだ。
「それで、何をしていたの…?」
「今帰ってきたばかりなのだけれど、ゼムが今後についてレーアと話をするから、私にも書斎に来て欲しいって言われてね。使用人達に、今日会った貴族から頂いた物の扱いについて指示をして、急いで書斎の方に来たの。」
「なるほど…。」
「丁度良いから、一緒に行きましょうか。」
「ええ。」
そうして、私はお義母様と共にお義父様の書斎へと向かった。
「分かったわ。」
「レーアが居ると仕事が捗るし、丁寧だからやりやすいなぁ。」
「ヘクト義兄さんこそ、書類の間違いがほとんどないのは凄いわ。私も仕事が楽よ。」
「それは良かったよ。」
『公爵令嬢レイシア・ルーズフィルト』となってから早くも1週間が過ぎた。
公爵家での暮らしにも慣れ、お義父様やヘクト義兄さんのような家族だけではなく使用人達とも良い関係を築けていた。メアも侯爵家の時より働きやすいと言っている。
仕事は大体昼過ぎには片付くので、空いた時間はヘクト義兄さんやリランとお茶をしたり、彼らと公爵家を見て回ったりするようにしているのだが、侯爵家より何倍も広いと再確認させられる。
最近気になっているのは、お義父様の機嫌が何故かとても良いことだ。ずっと笑顔で、不気味でしかない…。
だがその理由は今日知ることになった。
「レイシア様。」
「メア。どうかしたの?」
私が自室にて読書をしていると、メアが入って来た。
「公爵様がお呼びです。今すぐ書斎に来て欲しいとの事です。」
「分かったわ。」
夕暮れ時、丁度お義父様は王城から帰ってきたばかりだろう。公爵家へと入ってすぐに私を呼んだのだと考えられる。
書斎に向かう途中、お義母様に会った。何やら忙しなく行動している。
「お義母様。」
「わわっ!誰かと思えばレーアじゃない。」
「何をしているのですか……?」
「もう、また敬語よ?公の場や仕事中以外では不要だと、ゼムにも言われたしょう?ここは公爵家。つまりは私達の家なのだから、もっと気楽に行かないとっ。」
「はい…。お義母様とお義父様はどうしても慣れなくて……。」
養子となって3日経った頃に、敬語不要だと2人から言われた。ヘクト義兄さんの言っていた通りだ…。だが慣れないものは慣れない。
仕事や周囲の目がある場所と、家などの私的な場との態度の切り替えという意味では、良い勉強になる。これを義兄さんやリランは難なく行っているのだから、お義父様達の教育方法は素晴らしいものだ。
「それで、何をしていたの…?」
「今帰ってきたばかりなのだけれど、ゼムが今後についてレーアと話をするから、私にも書斎に来て欲しいって言われてね。使用人達に、今日会った貴族から頂いた物の扱いについて指示をして、急いで書斎の方に来たの。」
「なるほど…。」
「丁度良いから、一緒に行きましょうか。」
「ええ。」
そうして、私はお義母様と共にお義父様の書斎へと向かった。
233
お気に入りに追加
3,940
あなたにおすすめの小説
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。
木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。
彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。
スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。
婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。
父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。
そういうとこだぞ
あとさん♪
恋愛
「そういえば、なぜオフィーリアが出迎えない? オフィーリアはどうした?」
ウィリアムが宮廷で宰相たちと激論を交わし、心身ともに疲れ果ててシャーウッド公爵家に帰ったとき。
いつもなら出迎えるはずの妻がいない。
「公爵閣下。奥さまはご不在です。ここ一週間ほど」
「――は?」
ウィリアムは元老院議員だ。彼が王宮で忙しく働いている間、公爵家を守るのは公爵夫人たるオフィーリアの役目である。主人のウィリアムに断りもなく出かけるとはいかがなものか。それも、息子を連れてなど……。
これは、どこにでもいる普通の貴族夫婦のお話。
彼らの選んだ未来。
※設定はゆるんゆるん。
※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください。
※この話は小説家になろうにも掲載しています。
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい
水空 葵
恋愛
一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。
それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。
リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。
そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。
でも、次に目を覚ました時。
どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。
二度目の人生。
今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。
一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。
そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか?
※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。
7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる