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第16話

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私とお義父様は、朝食を取りながら今後について話し合った。そして、次のことが決まった。

1.しばらくは公爵家から出ないこと。
これは私の存在・居場所を知られないようにする為だ。

2.長男であるヘクト・ルーズフィルトを手伝うこと。
彼は20歳で私の義兄になる人だ。今は公爵の仕事を任されているらしい。お義父様は宰相としての仕事を、ヘクト様は公爵としての仕事をといったところだ。
お義父様が任せているほど、信頼しているということなのだろう。

2つだけだが、計画が続いている以上はこれが最善だ。
それにしても話の中で驚いたのは、ヘクト様も私の義弟になる1つ下のリラン様も、愛称で呼ばれていないということだ。それならば何故私だけ?と思うが、直感的に聞かない方が良い気がした…。


「ヘクトの書斎はメアに教えています。私はもう王城に向かわなければならないので、こちらのことは頼みましたよ。」
「はい。お気をつけて。」


再度身支度を済ませてから、私はヘクト様の書斎へと向かった。
許可を得て中に入ると、忙しそうに書類と対面している男性が居た。ヘクト様だ。


「よく来てくれたね。昨日の内に会っておこうと思ったんだけど、母上に止められてしまって…。改めて、ヘクト・ルーズフィルトだ。よろしく。」
「レイシアです。こちらこそ、よろしくお願いします。」
「堅苦しいのは無しで良いよ。勿論名前も、ね?」


笑顔の圧を感じる…。流石は親子だ、色んな意味で似ている……。


「えぇと……何とお呼びすれば…?」
「そうだなぁ。リランからはヘクト兄さんって呼ばれてるから、そんな感じで。」
「で、ではヘクト義兄様と……。」
「『様』もなしで。」
「ヘクト義兄さん…?」
「それでいいかな。あ、公式の場以外は敬語は要らないよ。家族だからね。父上は元々あんな感じだけど、慣れてきたら敬語不要って言われると思う。母上も今は我慢してるだろうしね。」


あのお義父様が、敬語不要などと言うことがあるのだろうか…。人は見かけによらないと、改めて確認させられた瞬間だった。
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