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第3話

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──3日後──


「いよいよね。」
「はい。ですがレイシア様、エスコート役は…?」
「いないわ。いても可哀想なだけよ。」
「それはそうかもしれませんが…。」


私は凛とした様子に見えるよう、前をしっかりと見据えて会場へと入っていく。普通ならばこの場は婚約者、つまりはヴィアルスが私をエスコートしている場面だ。しかし彼が私を連れるはずもなく、1人で入って来た私を周囲の貴族達は「またか」と話しながら見ている。
そう、なのだ。数ヶ月前からは、パーティーが開かれる毎に私は1人で会場入りしていた。そしてヴィアルスの隣には……


「皆の者、よく来てくれた。今宵は食事や会話を楽しんでくれ。…さぁ行こうか。」
「はいっ、ヴィアルス様。」


ぴったりとヴィアルスに引っ付き、私に見せつけるようにして立っているのは、他でもないミフェラだった。これもいつもの事で、嫌味ったらしく私を見ている。
ミフェラの行動を見ていても面白いが、私も貴族の方々と話をしなければ。


「レイシアさん。」
「ルーズフィルト公爵様。」
「計画は上手くいっているようですね。」
「ルーズフィルト公爵様のおかげです。それに皆さんも、ご協力感謝しております。」


公爵様の傘下の貴族も、私に協力してくれていた。私は彼らと数分だけ話をし、ヴィアルスに目をつけられない内に離れた。この会話を目撃した者がいたならば、察しが良ければ全て仕組まれていると気付くことが出来たのかもしれない。
パーティーが始まってから1時間が経った頃、近付いてくる2人の人影があった。


「……殿下にミフェラ…。どうなさったのですか?」


普通に問いかけたつもりだが、分かる人にはわざとらしく見えただろう。そんなことはどうでもいいと思うほど、目の前の事が重要だ。
思う存分、私を貶すといいだろう。


「皆の者よく聞いてくれ!」


その言葉に貴族達は振り返り、私とヴィアルス、ミフェラの3人のやり取りを見る。会場はざわつき始めた。


「楽しい雰囲気に水を差すようで悪いが、私は今ここで宣言しよう。レイシア・ユシェナート、お前との婚約を破棄するッ!」
「……。」
「我が国の未来に、無能な王妃は不要だ!」


完璧だ。もしこれがヴィアルスの演技ならば、賞をあげたいくらいに。
ではこちらも計画通りに動くとしましょうか──
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