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3章 異魔眼と瞬滅
第34話 連絡蝶と誓いの言葉
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「探知系魔法──《指定探知》」
その瞬間、1つの魔力反応が《指定探知》に引っかかった。
その魔力反応を、先日の謎の魔法使いの者だと私とミアスは判断した。
私は指定探知の情報をミアスに共有していた為、2人同時に察知できたのだ。
「居たわね。」
「ああ。」
「先ずは暗部に連絡を。」
「承知した。《連絡蝶》──ヴィライユ陛下に伝言を、『奴らは南の国境付近に居ます。暗部にお伝え下さい。』と。」
《連絡蝶》はその名の通り、相手に伝言などをしてくれる蝶の事だ。
蝶を受け取った側は、頭に直接、伝言が流れ込んでくる。
「これでよし、と。」
「普通なら、王女として護衛を連れているものなのでしょうけど、私より弱い騎士が付いていても、意味が無いのよねぇ…。」
「その為の俺じゃないか。もしもの時は、命に代えてでもお前を守るさ。」
「言ってくれるじゃない。ありがとう。でも私より先に死ぬ事は許さないわ。」
「ははは。守るべきものよりも先に死んでしまっては、守り通せないからな。」
「その通りよ。だから……絶対に私より先に死んではだめ。誓ってくれないかしら?」
「……分かったよ。──私は第三王女リアラ・フィールア殿下の執事兼護衛として、主人の命が尽きるまで仕える。全ては、主と共に。」
「ええ。今の宣誓、私は決して忘れない。これからも頼りにしているわ。」
「ああ。こっちこそ宜しく頼むよ。」
私達は更に信頼を高めたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
少し経つと、連絡蝶が飛んできた。
国王であり、父でもあるヴィライユからだ。
私は手で受け止めた。
『報告ご苦労。暗部に伝えておいたぞ。調査結果は明後日になるだろう。今暫し待つが良い。』
隣では、ミアスが黙って見ていた。
連絡蝶は受け取った本人にしか通じない。
私の魔法でミアスに共有する事も可能だが、少し面倒なのでそうしなかった。
「陛下は何と?」
「暗部に伝えてくれたみたいね。明後日に調査結果を報告してくれるとの事よ。」
「そうか。それで、次は何をするんだ?」
「決まっているじゃない、暗部に紛れて調査に向かうわよ。」
「そう言うと思ったよ。だが、無理だぞ。」
「何故かしら?」
「明日は何の日か、覚えてるか?」
「何の日って言われてもねぇ……。あっ、そう言えば。」
「御察しの通り。第二王女であるレイアネス様の、15歳の誕生日。成人式だ。」
この世界では、15歳で成人となる。
日本で言うところの、義務教育が終われば成人という感じだ。
早く感じるが慣れるしかないと、私は割り切っていた。
「レーネス姉様も、もう15歳なのね…。」
「御披露目パーティーもあるからな。」
「王家の者は、レヴィーア以外全員が出席しなければならない……ね。バジュスが何もしてこないと……」
「バジュスがこれを知っていたとしても、何もしかけて来ないさ。」
「えっ……。」
「ん?どうかしたか?」
「あっ…。いいえ、何も無いわ。そうだといいけれど。」
ミアスが盛大なフラグを立てた気がしたが、気にしないでおこう──
その瞬間、1つの魔力反応が《指定探知》に引っかかった。
その魔力反応を、先日の謎の魔法使いの者だと私とミアスは判断した。
私は指定探知の情報をミアスに共有していた為、2人同時に察知できたのだ。
「居たわね。」
「ああ。」
「先ずは暗部に連絡を。」
「承知した。《連絡蝶》──ヴィライユ陛下に伝言を、『奴らは南の国境付近に居ます。暗部にお伝え下さい。』と。」
《連絡蝶》はその名の通り、相手に伝言などをしてくれる蝶の事だ。
蝶を受け取った側は、頭に直接、伝言が流れ込んでくる。
「これでよし、と。」
「普通なら、王女として護衛を連れているものなのでしょうけど、私より弱い騎士が付いていても、意味が無いのよねぇ…。」
「その為の俺じゃないか。もしもの時は、命に代えてでもお前を守るさ。」
「言ってくれるじゃない。ありがとう。でも私より先に死ぬ事は許さないわ。」
「ははは。守るべきものよりも先に死んでしまっては、守り通せないからな。」
「その通りよ。だから……絶対に私より先に死んではだめ。誓ってくれないかしら?」
「……分かったよ。──私は第三王女リアラ・フィールア殿下の執事兼護衛として、主人の命が尽きるまで仕える。全ては、主と共に。」
「ええ。今の宣誓、私は決して忘れない。これからも頼りにしているわ。」
「ああ。こっちこそ宜しく頼むよ。」
私達は更に信頼を高めたのだった。
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少し経つと、連絡蝶が飛んできた。
国王であり、父でもあるヴィライユからだ。
私は手で受け止めた。
『報告ご苦労。暗部に伝えておいたぞ。調査結果は明後日になるだろう。今暫し待つが良い。』
隣では、ミアスが黙って見ていた。
連絡蝶は受け取った本人にしか通じない。
私の魔法でミアスに共有する事も可能だが、少し面倒なのでそうしなかった。
「陛下は何と?」
「暗部に伝えてくれたみたいね。明後日に調査結果を報告してくれるとの事よ。」
「そうか。それで、次は何をするんだ?」
「決まっているじゃない、暗部に紛れて調査に向かうわよ。」
「そう言うと思ったよ。だが、無理だぞ。」
「何故かしら?」
「明日は何の日か、覚えてるか?」
「何の日って言われてもねぇ……。あっ、そう言えば。」
「御察しの通り。第二王女であるレイアネス様の、15歳の誕生日。成人式だ。」
この世界では、15歳で成人となる。
日本で言うところの、義務教育が終われば成人という感じだ。
早く感じるが慣れるしかないと、私は割り切っていた。
「レーネス姉様も、もう15歳なのね…。」
「御披露目パーティーもあるからな。」
「王家の者は、レヴィーア以外全員が出席しなければならない……ね。バジュスが何もしてこないと……」
「バジュスがこれを知っていたとしても、何もしかけて来ないさ。」
「えっ……。」
「ん?どうかしたか?」
「あっ…。いいえ、何も無いわ。そうだといいけれど。」
ミアスが盛大なフラグを立てた気がしたが、気にしないでおこう──
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