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3章 異魔眼と瞬滅
第28話 禁忌魔法
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──『黒魔法の儀式者』
それは世界中で恐れられる存在だ。
世界でたった5人程しか居ないと言われているが、その者達が使う黒魔法は人々に最悪な被害をもたらす。
天災となりうる力だった。
(黒魔法はかなり厄介ね…。それを使う者達を雇っている黒幕がいるはず。まぁ既に見当はついているのだけれど。)
私は1人の人物を思い浮かべる。
国王の座を狙っている者を。
黒魔法の儀式者とは、禁忌の魔法を使う者のことを指す。
黒魔法が禁忌の魔法とされており、その力は危険だった。
魔物召喚・魔物化・狂乱化
以上の3つが禁忌とされる魔法であり、黒魔法と呼ばれていた。
儀式者と呼ぶのは、この3つの魔法を使用する際、生贄や魔法をかけたい生き物を魔法陣の上に乗せ、呪文を唱えて犠牲にするからだ。
魔物召喚は人を犠牲にして魔物を召喚する。
その人数が多ければ多いほど、強い魔物が出現するのだ。
人が黒魔法を使えるようになるには、条件があった。
『人を殺す』ことだ。
しかし、適性がなければ使う事が出来ない。
その為、黒魔法を使える者はほぼ生まれないのだ。
黒魔法を使う者が恐れられるのは、人殺しだからだ。
もちろん、これらの魔法は自身にも使う事が出来る。
(人間に魔物化をかければ、理性の無い魔人となるか、死に至る。でも適性があれば理性を保った魔人と化す…。)
かつて、処刑が決まった者を牢屋で捕らえていたが、自身に魔物化の黒魔法をかけ、完全に理性を保った魔人と化した。
魔人は牢屋を破り、国に甚大な被害をもたらした後、賢者と呼ばれていた者によって殺された。
魔人は魔物と判断される為、人を殺した事にはならない。
後に『禁忌厄災日』と呼ばれるこの厄災をきっかけに、黒魔法の儀式者はすぐさま処刑するのが決まりとなったのだった。
「ミアス、その噂が立っている場所には、あまり近づかないで欲しいわ。危険だと思うから。」
「何故だ?確かに危険かもしれないが、たかが噂だぞ?」
「そうね。でも時に噂は、本物となりうる……。」
「…何か知っているのか?」
「いえ、何でもないわ。」
『何か隠している。』そうミアスには感じた。
(あの場所に行っても、俺には何も感じないんだよな。確かに、室内なのに風が吹くような気がするが…。)
ミアスは考えてみたが、何が危険なのか分からなかった。
とはいえ心当たりはあった。
もしかしてとも思ったが、それはないと考え直す。
しかし、ミアスがした最悪な予想は的中していたのだった。
放たれたリアラの言葉に、ミアスは絶句することになる。
「ミアス、私は貴方を失いたくないの……。」
「いきなりどうしたんだ…?」
「姿形が見えなくても、奴らの正体に気付いているでしょう?貴方はこの私の側近なのだから。」
「……黒魔法の…儀式者。」
「ええ……。貴方は強いけれど、3人以上で襲いかかられたら、抵抗する手段はない。
何より、魔力量が多く将来有望な貴方を生贄にすれば、奴らにとっては得しかないのよ。」
魔力量の多いミアスを生贄にすれば、より強い魔物を召喚出来る。
さらに、頭の回る者を生かしておけば、今後自身に危害が及ぶと奴は考えるだろう。
だからこそ、今のうちに殺せば生贄にもなり一石二鳥というわけだ。
「だから……」
「分かった。俺だってまだ死にたくないさ。お前の傍に、これからも居続けたいからな。」
「ミアス…ありがとう。」
(きっと、近いうちに奴らと戦う事になる……。もっと強くなっておかないといけないわね。
はぁぁ……。私の平穏な生活は、いつ訪れるのかしら…?)
そう思うリアラであった。
それは世界中で恐れられる存在だ。
世界でたった5人程しか居ないと言われているが、その者達が使う黒魔法は人々に最悪な被害をもたらす。
天災となりうる力だった。
(黒魔法はかなり厄介ね…。それを使う者達を雇っている黒幕がいるはず。まぁ既に見当はついているのだけれど。)
私は1人の人物を思い浮かべる。
国王の座を狙っている者を。
黒魔法の儀式者とは、禁忌の魔法を使う者のことを指す。
黒魔法が禁忌の魔法とされており、その力は危険だった。
魔物召喚・魔物化・狂乱化
以上の3つが禁忌とされる魔法であり、黒魔法と呼ばれていた。
儀式者と呼ぶのは、この3つの魔法を使用する際、生贄や魔法をかけたい生き物を魔法陣の上に乗せ、呪文を唱えて犠牲にするからだ。
魔物召喚は人を犠牲にして魔物を召喚する。
その人数が多ければ多いほど、強い魔物が出現するのだ。
人が黒魔法を使えるようになるには、条件があった。
『人を殺す』ことだ。
しかし、適性がなければ使う事が出来ない。
その為、黒魔法を使える者はほぼ生まれないのだ。
黒魔法を使う者が恐れられるのは、人殺しだからだ。
もちろん、これらの魔法は自身にも使う事が出来る。
(人間に魔物化をかければ、理性の無い魔人となるか、死に至る。でも適性があれば理性を保った魔人と化す…。)
かつて、処刑が決まった者を牢屋で捕らえていたが、自身に魔物化の黒魔法をかけ、完全に理性を保った魔人と化した。
魔人は牢屋を破り、国に甚大な被害をもたらした後、賢者と呼ばれていた者によって殺された。
魔人は魔物と判断される為、人を殺した事にはならない。
後に『禁忌厄災日』と呼ばれるこの厄災をきっかけに、黒魔法の儀式者はすぐさま処刑するのが決まりとなったのだった。
「ミアス、その噂が立っている場所には、あまり近づかないで欲しいわ。危険だと思うから。」
「何故だ?確かに危険かもしれないが、たかが噂だぞ?」
「そうね。でも時に噂は、本物となりうる……。」
「…何か知っているのか?」
「いえ、何でもないわ。」
『何か隠している。』そうミアスには感じた。
(あの場所に行っても、俺には何も感じないんだよな。確かに、室内なのに風が吹くような気がするが…。)
ミアスは考えてみたが、何が危険なのか分からなかった。
とはいえ心当たりはあった。
もしかしてとも思ったが、それはないと考え直す。
しかし、ミアスがした最悪な予想は的中していたのだった。
放たれたリアラの言葉に、ミアスは絶句することになる。
「ミアス、私は貴方を失いたくないの……。」
「いきなりどうしたんだ…?」
「姿形が見えなくても、奴らの正体に気付いているでしょう?貴方はこの私の側近なのだから。」
「……黒魔法の…儀式者。」
「ええ……。貴方は強いけれど、3人以上で襲いかかられたら、抵抗する手段はない。
何より、魔力量が多く将来有望な貴方を生贄にすれば、奴らにとっては得しかないのよ。」
魔力量の多いミアスを生贄にすれば、より強い魔物を召喚出来る。
さらに、頭の回る者を生かしておけば、今後自身に危害が及ぶと奴は考えるだろう。
だからこそ、今のうちに殺せば生贄にもなり一石二鳥というわけだ。
「だから……」
「分かった。俺だってまだ死にたくないさ。お前の傍に、これからも居続けたいからな。」
「ミアス…ありがとう。」
(きっと、近いうちに奴らと戦う事になる……。もっと強くなっておかないといけないわね。
はぁぁ……。私の平穏な生活は、いつ訪れるのかしら…?)
そう思うリアラであった。
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