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シーズン3 親友と唱える覇道
シーズン3最終話 世界
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ツンドラ帝国の皇女メルキータは三姉妹の長女で両親からの寵愛を受けていた。
中でも母からの寵愛は凄まじく大人になるに向けて民を大切にして統治するという事の重大さを教わっている。
民政家として信頼厚いメルキータの母は度々町や村に出ては臣民と触れ合い農作業を手伝うなどしていた。
母の教えを守り民を大切にしてきたメルキータの前に立つのは冷酷な兄上だ。
民政家として有名な母とは異なりメルキータとノバの父は戦場に出る事が多く、凶暴で知られていたがその父もまた民を思っての諸外国との戦いに明け暮れていた。
父がテッド戦役で戦死してからは長男のノバが実権を握る様になったが、ツンドラ帝国が狂ったのはそれからだ。
強引な領土拡大で同じくテッド戦役で王を失ったスタシア領土に食い込んでは人間を迫害する差別的な政治は諸外国からの反感を買っていた。
しかし大軍を有するツンドラは強力な同盟者を持っていた事から領土拡大事業は順調に進んだ。
手に入れた領土は彼の父の三倍にも当たる広大な領土をスタシアから奪い取り君臨していた。
そして今、その強引な統治にも限界が来たという事だ。
妹のメルキータを殺そうとしているノバの冷酷な命令に従うノバガードと交戦するスタシア王国軍の騎士達と彼らを引き連れてきた虎白や嬴政の存在によって暴政も終わろうとしている。
アルデン王とスタシア王国軍がノバガードと戦っている間に虎白と魔呂と鵜乱は冷徹な暴君を目指して進んだ。
しかし相手は狂った皇帝を守るために訓練された精強なノバガード。
スタシアの援護があるとはいえ簡単にノバの元へは辿り着けなかった。
「仕方ありませんわ。 行ってくださいな。」
そう言葉を溢したのは戦士長こと鵜乱だ。
死に物狂いで立ち向かうノバガードを前にスタシア王国軍も一進一退という状況で虎白ら三人が抜ける事は不可能と言えた。
鳥人族の戦士長鵜乱は羽をばさばさと鳴らすと空中へ浮き上がり、虎白と魔呂の着物の襟を掴むとノバガードの奥へと投げ飛ばしたのだ。
続いて皇女メルキータをお姫様抱っこしたかと思えば吹き飛んで尻もちをついている虎白の頭上目がけて放り投げた。
「後は頼みましたわ。 私はここに残りますわ。」
勇ましく気高い笑みを浮かべた鵜乱はアルデン王とスタシア王国軍と残って屈強なるノバガードと戦い続けた。
一方で倒れる虎白の上に馬乗りになっているメルキータは白くて美しい顔と密着する寸前の距離で両手を地面につけて目を見開いていた。
後頭部を強打して朦朧としている虎白が意識を正常に取り戻すと赤面しているメルキータ皇女を見て目を細めている。
「あ、あのごめんなさい!!」
「早く立て。 兄貴が逃げたぞ!!」
吹き飛ぶ三人を見たノバ皇帝はガードを残して逃げ去っていた。
すかさず魔呂が追いかけたが、大きな扉を閉ざして閉じ籠もってしまったのだ。
扉の前に立った魔呂と虎白は互いの顔を見合わせていた。
そして大きく息を吸うと目をゆっくりと閉じた。
『第六感・・・』
すると扉はいとも簡単に吹き飛んだではないか。
天上界に伝わる不思議な力を会得した虎白は落ち着いた表情で部屋へと入っていくと、そこにはノバ皇帝と二頭の半獣族が立っている。
一頭はまだ幼い子供でもう一頭は悲しげな眼差しを見せる美しい女である。
刀を抜いた虎白と魔呂が今にも斬りかかりそうな気配を出していると、メルキータ皇女は悲鳴にも聞こえるほどの雄叫びを砂煙立ち込める部屋に響かせた。
「兄上ー!!!! 母上とロキータを解放してください!!!!」
「それ以上近づけば母上の命はないぞ。」
狂気の皇帝ノバは実の母の喉元に剣を突きつけているのだ。
常軌を逸する行動を前に虎白と魔呂も構えた刀の刃先を地面へと向けた。
ここはメルキータが兄を説得する他ない。
そう目で訴える虎白に従ってゆらゆらと力のない足取りで兄上の元へと近づいていくメルキータは何度も母と末の妹の解放を懇願した。
虎白は僅かに足を動かして魔呂の小さな頭に顔をできる限り近づけると話しを始めたのだ。
「メルキータが気を引いている間に俺が母上を救出する。」
「じゃあ私が殺していいのー?」
「ああ、仕方ねえ。 やるしかねえからな。」
そう話すと刀を鞘に収めて悲しき兄妹の口論を見守っている。
だがノバに聞く耳はまるでなくメルキータの必死な頼みも無駄に終わろうとしていた。
刃先が母上の細くて美しい喉に徐々に刺さり始め、赤い血液が冷徹な刃を染め始めた。
「お願いだからやめて!!!!」
「メルキータ・・・ノバ、最後に話だけさせてちょうだい・・・」
「余計な事を話せば直ぐに斬り捨てるぞ母上。」
狂った男は剣をすっと下に降ろすと世界で唯一無二の母親を今にも殺そうかと恐ろしい視線を浴びせていた。
今虎白が動けば間違いなく冷たい剣が細い背中を貫くだろう。
険しい表情で千載一遇の好機を待つ虎白と魔呂は永遠にも感じるほど緊迫した空気の中で殺気を押し殺している。
崩れ落ちるほど弱っている母はメルキータの腕の中に倒れ込むと衰弱しきった者とは思えないほど優しい笑みを浮かべて愛する長女の綺麗な頬を触った。
「メルキータ・・・忘れないでね・・・民を愛し、寄り添うの。 そして家族と仲間を愛しなさい。 私があなたを愛した様に次はあなたが皆を愛して・・・そして幸せになってね・・・」
衰弱している母の目元には大きなくまがあり、頬もやつれているのが見て取れる。
ノバの監視が厳しかったのかろくに休めていない様子の母はそれでも愛する娘に優しい笑顔を見せている。
そんな優しい母の顔を濡らし続けている皇女の手はがくがくと震えていた。
「私の大切な娘だからきっと大丈夫・・・ノバは間違えてしまったけどあなたならツンドラを守れるわ・・・」
泣き続ける娘の頬に優しく口付けをするとふらふらと立ち上がった気高き母は衰弱しているとは思えないほど力強い眼差しを狂気の長男へ向けている。
すかさず斬りかかろうとした虎白へ手のひらを向けると近づく事を拒んだ。
気高きツンドラの皇妃は愛する民へ遺言が届く様に手紙を胸元にしまっていた。
そしてそれを愛する娘に手渡すと清々しいまでの笑顔を見せて「愛しているわ」と最後に声を発した。
「ノバ!! ツンドラはあなたには背負えなかったの。 でも私はあなたの母よ。 せめて到達点まで一緒に行く事が間違った息子を育ててしまった親の責任!!」
すかさず馬鹿息子は気高き母の細い体を剣で貫いた。
同時に魔呂と虎白に引き離されると両者からの鋭い攻撃を受けて吐血すると、女の様に細い肩を掴むと顔を近づけている。
メルキータの絶叫が響き渡る虚しき部屋の中でノバ皇帝は虎白に顔を近づけると口に溜まった血液を吐きかけた。
「お前は何もわかっていない・・・人間のため? 俺が民を傷つけているだと? 皇帝でもないお前に何がわかる・・・暴力で押さえつけた方が民のためでもあるんだ・・・俺の呪縛からは逃れられないぞ鞍馬・・・・・・」
そう言い捨てると絶命した。
狂った皇帝の亡骸を無表情で見下ろす虎白がふと目をやるとメルキータの腕の中で静かに目を閉じている母の姿があった。
ここまで常軌を逸したノバ皇帝であっても我が子として運命を共にした母の覚悟とはどれほどなのか。
この世の終わりとも言えるほど泣き叫んでいるメルキータを立ち上がらせると母とノバを埋葬するために運んだ。
そして何よりも全ての惨劇を見てしまった末の妹のロキータは顔に母の飛び血を浴びながら表情を変える事すら忘れて小刻みに震えている。
虎白はロキータを抱きかかえると惨劇の場を後にした。
そしてここにツンドラ侵攻は秦軍の勝利となったのだ。
城門の外から聞こえてくる大歓声を聞きながら顔面を蒼白させる一同を嬴政が迎えたが始皇帝もまた、笑ってはいなかった。
「え、嬴政・・・」
「言うな。 帰るぞ虎白。」
ツンドラは事実上滅亡した。
空いた領土にはスタシアが入り、一躍超大国へと返り咲いたのだが赤き王アルデンに降りかかる問題は始まりにすぎなかった。
そしてツンドラの将兵、臣民達は虎白に保護される形となり建国される国の住人として暮らす事となったのだ。
果たして今回の侵攻が正解だったのかと心中で葛藤する虎白は帰りの道中で一言も声を発する事はなかった。
やがて国へ帰ると竹子達が出迎えたが、彼女らの表情もまた暗かった。
そこにはミカエル兵団のジャンヌ・ダルクと天使達が弓を構えていたからだ。
「鞍馬、天上法違反の疑いで再び逮捕する。 秦国の嬴政も並びに。」
こうしてまたしても逮捕される形となったのだが、彼らの表情に動揺はなくゼウスに解放してもらう日をただ待つだけだ。
そんな事よりも虚しき戦いを思い浮かべて自身らの行動が全て正しかったのかひたすら暗い牢屋で考えるのだった。
母を失ったメルキータは南側領土に移住して新たな土地で愛する民を導く事になった。
全ては亡き母の教えのため。
シーズン3完
中でも母からの寵愛は凄まじく大人になるに向けて民を大切にして統治するという事の重大さを教わっている。
民政家として信頼厚いメルキータの母は度々町や村に出ては臣民と触れ合い農作業を手伝うなどしていた。
母の教えを守り民を大切にしてきたメルキータの前に立つのは冷酷な兄上だ。
民政家として有名な母とは異なりメルキータとノバの父は戦場に出る事が多く、凶暴で知られていたがその父もまた民を思っての諸外国との戦いに明け暮れていた。
父がテッド戦役で戦死してからは長男のノバが実権を握る様になったが、ツンドラ帝国が狂ったのはそれからだ。
強引な領土拡大で同じくテッド戦役で王を失ったスタシア領土に食い込んでは人間を迫害する差別的な政治は諸外国からの反感を買っていた。
しかし大軍を有するツンドラは強力な同盟者を持っていた事から領土拡大事業は順調に進んだ。
手に入れた領土は彼の父の三倍にも当たる広大な領土をスタシアから奪い取り君臨していた。
そして今、その強引な統治にも限界が来たという事だ。
妹のメルキータを殺そうとしているノバの冷酷な命令に従うノバガードと交戦するスタシア王国軍の騎士達と彼らを引き連れてきた虎白や嬴政の存在によって暴政も終わろうとしている。
アルデン王とスタシア王国軍がノバガードと戦っている間に虎白と魔呂と鵜乱は冷徹な暴君を目指して進んだ。
しかし相手は狂った皇帝を守るために訓練された精強なノバガード。
スタシアの援護があるとはいえ簡単にノバの元へは辿り着けなかった。
「仕方ありませんわ。 行ってくださいな。」
そう言葉を溢したのは戦士長こと鵜乱だ。
死に物狂いで立ち向かうノバガードを前にスタシア王国軍も一進一退という状況で虎白ら三人が抜ける事は不可能と言えた。
鳥人族の戦士長鵜乱は羽をばさばさと鳴らすと空中へ浮き上がり、虎白と魔呂の着物の襟を掴むとノバガードの奥へと投げ飛ばしたのだ。
続いて皇女メルキータをお姫様抱っこしたかと思えば吹き飛んで尻もちをついている虎白の頭上目がけて放り投げた。
「後は頼みましたわ。 私はここに残りますわ。」
勇ましく気高い笑みを浮かべた鵜乱はアルデン王とスタシア王国軍と残って屈強なるノバガードと戦い続けた。
一方で倒れる虎白の上に馬乗りになっているメルキータは白くて美しい顔と密着する寸前の距離で両手を地面につけて目を見開いていた。
後頭部を強打して朦朧としている虎白が意識を正常に取り戻すと赤面しているメルキータ皇女を見て目を細めている。
「あ、あのごめんなさい!!」
「早く立て。 兄貴が逃げたぞ!!」
吹き飛ぶ三人を見たノバ皇帝はガードを残して逃げ去っていた。
すかさず魔呂が追いかけたが、大きな扉を閉ざして閉じ籠もってしまったのだ。
扉の前に立った魔呂と虎白は互いの顔を見合わせていた。
そして大きく息を吸うと目をゆっくりと閉じた。
『第六感・・・』
すると扉はいとも簡単に吹き飛んだではないか。
天上界に伝わる不思議な力を会得した虎白は落ち着いた表情で部屋へと入っていくと、そこにはノバ皇帝と二頭の半獣族が立っている。
一頭はまだ幼い子供でもう一頭は悲しげな眼差しを見せる美しい女である。
刀を抜いた虎白と魔呂が今にも斬りかかりそうな気配を出していると、メルキータ皇女は悲鳴にも聞こえるほどの雄叫びを砂煙立ち込める部屋に響かせた。
「兄上ー!!!! 母上とロキータを解放してください!!!!」
「それ以上近づけば母上の命はないぞ。」
狂気の皇帝ノバは実の母の喉元に剣を突きつけているのだ。
常軌を逸する行動を前に虎白と魔呂も構えた刀の刃先を地面へと向けた。
ここはメルキータが兄を説得する他ない。
そう目で訴える虎白に従ってゆらゆらと力のない足取りで兄上の元へと近づいていくメルキータは何度も母と末の妹の解放を懇願した。
虎白は僅かに足を動かして魔呂の小さな頭に顔をできる限り近づけると話しを始めたのだ。
「メルキータが気を引いている間に俺が母上を救出する。」
「じゃあ私が殺していいのー?」
「ああ、仕方ねえ。 やるしかねえからな。」
そう話すと刀を鞘に収めて悲しき兄妹の口論を見守っている。
だがノバに聞く耳はまるでなくメルキータの必死な頼みも無駄に終わろうとしていた。
刃先が母上の細くて美しい喉に徐々に刺さり始め、赤い血液が冷徹な刃を染め始めた。
「お願いだからやめて!!!!」
「メルキータ・・・ノバ、最後に話だけさせてちょうだい・・・」
「余計な事を話せば直ぐに斬り捨てるぞ母上。」
狂った男は剣をすっと下に降ろすと世界で唯一無二の母親を今にも殺そうかと恐ろしい視線を浴びせていた。
今虎白が動けば間違いなく冷たい剣が細い背中を貫くだろう。
険しい表情で千載一遇の好機を待つ虎白と魔呂は永遠にも感じるほど緊迫した空気の中で殺気を押し殺している。
崩れ落ちるほど弱っている母はメルキータの腕の中に倒れ込むと衰弱しきった者とは思えないほど優しい笑みを浮かべて愛する長女の綺麗な頬を触った。
「メルキータ・・・忘れないでね・・・民を愛し、寄り添うの。 そして家族と仲間を愛しなさい。 私があなたを愛した様に次はあなたが皆を愛して・・・そして幸せになってね・・・」
衰弱している母の目元には大きなくまがあり、頬もやつれているのが見て取れる。
ノバの監視が厳しかったのかろくに休めていない様子の母はそれでも愛する娘に優しい笑顔を見せている。
そんな優しい母の顔を濡らし続けている皇女の手はがくがくと震えていた。
「私の大切な娘だからきっと大丈夫・・・ノバは間違えてしまったけどあなたならツンドラを守れるわ・・・」
泣き続ける娘の頬に優しく口付けをするとふらふらと立ち上がった気高き母は衰弱しているとは思えないほど力強い眼差しを狂気の長男へ向けている。
すかさず斬りかかろうとした虎白へ手のひらを向けると近づく事を拒んだ。
気高きツンドラの皇妃は愛する民へ遺言が届く様に手紙を胸元にしまっていた。
そしてそれを愛する娘に手渡すと清々しいまでの笑顔を見せて「愛しているわ」と最後に声を発した。
「ノバ!! ツンドラはあなたには背負えなかったの。 でも私はあなたの母よ。 せめて到達点まで一緒に行く事が間違った息子を育ててしまった親の責任!!」
すかさず馬鹿息子は気高き母の細い体を剣で貫いた。
同時に魔呂と虎白に引き離されると両者からの鋭い攻撃を受けて吐血すると、女の様に細い肩を掴むと顔を近づけている。
メルキータの絶叫が響き渡る虚しき部屋の中でノバ皇帝は虎白に顔を近づけると口に溜まった血液を吐きかけた。
「お前は何もわかっていない・・・人間のため? 俺が民を傷つけているだと? 皇帝でもないお前に何がわかる・・・暴力で押さえつけた方が民のためでもあるんだ・・・俺の呪縛からは逃れられないぞ鞍馬・・・・・・」
そう言い捨てると絶命した。
狂った皇帝の亡骸を無表情で見下ろす虎白がふと目をやるとメルキータの腕の中で静かに目を閉じている母の姿があった。
ここまで常軌を逸したノバ皇帝であっても我が子として運命を共にした母の覚悟とはどれほどなのか。
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城門の外から聞こえてくる大歓声を聞きながら顔面を蒼白させる一同を嬴政が迎えたが始皇帝もまた、笑ってはいなかった。
「え、嬴政・・・」
「言うな。 帰るぞ虎白。」
ツンドラは事実上滅亡した。
空いた領土にはスタシアが入り、一躍超大国へと返り咲いたのだが赤き王アルデンに降りかかる問題は始まりにすぎなかった。
そしてツンドラの将兵、臣民達は虎白に保護される形となり建国される国の住人として暮らす事となったのだ。
果たして今回の侵攻が正解だったのかと心中で葛藤する虎白は帰りの道中で一言も声を発する事はなかった。
やがて国へ帰ると竹子達が出迎えたが、彼女らの表情もまた暗かった。
そこにはミカエル兵団のジャンヌ・ダルクと天使達が弓を構えていたからだ。
「鞍馬、天上法違反の疑いで再び逮捕する。 秦国の嬴政も並びに。」
こうしてまたしても逮捕される形となったのだが、彼らの表情に動揺はなくゼウスに解放してもらう日をただ待つだけだ。
そんな事よりも虚しき戦いを思い浮かべて自身らの行動が全て正しかったのかひたすら暗い牢屋で考えるのだった。
母を失ったメルキータは南側領土に移住して新たな土地で愛する民を導く事になった。
全ては亡き母の教えのため。
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