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第46話 天下分け目の跡地
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もうすぐ中学2年生だ。
祐輝はナインズの練習が休みである数日の間に母の真美の運転で関ケ原に向かった。
東京から車で行くのはかなり遠かった。
しかし祐輝が行きたいと頼むと快く運転してくれた。
関ケ原にとは戦国時代の天下分け目の戦いが起きた場所だ。
祐輝は車から降りると静かな田園風景を肌で感じた。
そして目をつぶると当時の激戦の様子を感じていた。
広大な関ケ原を歩き始めた。
戦場で討ち死にした者の墓を見つけると手を合わせて目をつぶった。
小高い山を1人で登っていく。
当時の者達がそれどれの陣地とするために登った山だ。
頂上からは関ケ原が一望できた。
そこでまた目をつぶった。
周囲には人の気配すら感じる。
生まれつきの霊感の強さだろうか。
あれから400年。
当時の人間はどんな思いでこの関ケ原で戦ったのか?
勝った方も負けた方も。
この日本のために戦ったのか?
それとも私利私欲か。
当時の者に聞かなくてはわからない。
祐輝はしばらく頂上で関ケ原を見ていた。
「はあ・・・どんな気持ちだったのかな。」
周囲の草がガサガサ音を立てているのは動物か?
人が砂利道を歩くような音も聞こえる。
だが不思議なぐらい嫌な気配はない。
恐怖も。
祐輝は当時の人間に感謝の気持ちを抱えた。
「おかげで日本は今日も生きています。」
どの時代にも言える。
この国を守ってきた多くの者達に祐輝は感謝していた。
当たり前の様に3食食べて屋根の下で眠る。
そんな平和な日本に感謝していた。
しばらくすると祐輝は山を降り始めた。
「いい国ですね。」
「え!?」
誰かの声が聞こえた祐輝は周囲を見た。
しかし誰もいない。
きっと風のいたずらだと思った。
人の気配はずっとしている。
実際に幽霊の様なものを見た事もあったが声を聞いた事はなかった。
不思議な体験だったが恐怖はなかった。
落ち着いた表情で山を降りると真美が待つ車へ戻った。
「あんた遅かったねえ。」
「ごめん。 凄い良かった。」
「ただの田舎じゃないのー。 普通遊園地とかさー。」
「あんまり興味ないんだよ。」
「まあお金もかからないし良いけどねー。」
祐輝は関ケ原を散歩すると近くの旅館に泊まってから東京に帰った。
歴史に詳しい祐輝には関ケ原は素晴らしい地に感じたが真美にはただの田舎だった。
家に帰ると祐輝はまた歴史の本を読み始めた。
ここまで来ると才能だった。
貴重な冬休みはナインズの過酷な練習と歴史の勉強の毎日だった。
そして冬休みは終わる。
祐輝もいよいよ中学2年生。
クリスマスが終わり年越しだ。
真美が作った蕎麦を大量に食べながら祐輝はテレビを見ている。
これも当然バラエティ番組ではなく日本各地の寺を映す番組だ。
日本人なら誰でも知っているあの番組だ。
祐輝はそれを観ながら年を越した。
蕎麦を食べ終えると祐輝は近くの稲荷神社へと初詣へ向かった。
賽銭を入れて手を合わせると祐輝は心の中で祈った。
(蕎麦美味しかったです。 今年もよろしくお願いします。)
「祐輝君ー!」
(では失礼致します。)
「祐輝君明けましておめでとう!!」
「うんおめでとう。」
ミズキが走ってきてニコニコとしている。
祐輝は帰ろうとしているとミズキが腕を掴んで何か言おうとしている。
首をかしげると不満げな表情をしている。
「神様にお願いしようよー!」
「あのなあ。 稲荷神は作物の神であってなあ。 願いを何でも叶えてくれるわけじゃねえからな。」
「いいのいいのー!」
ミズキも賽銭を入れて何かを祈っている。
祐輝は一礼している。
そしてミズキが祈りを終えると嬉しそうにしていた。
「祐輝君が越田君に勝てます様にってお願いしたよー!」
「言わなくていいんだよ。 言うと叶わないぞ。」
「えーそうなのー?」
「それに稲荷神は願いを叶える神じゃないから。 大体人間の願いを叶えて稲荷神に何の得があるんだよって。」
祐輝は足早に神社を出るとミズキと2人で家に向かっている。
ミズキは2人でいられるだけで嬉しそうだ。
とても健気で可愛らしい。
そして何か言いたげに祐輝の顔を見ている。
「お雑煮食う?」
「いいのー!?」
「母ちゃんが作ってくれるよ。」
「やったああ!!」
ミズキと祐輝は嬉しそうに家に帰った。
祐輝はナインズの練習が休みである数日の間に母の真美の運転で関ケ原に向かった。
東京から車で行くのはかなり遠かった。
しかし祐輝が行きたいと頼むと快く運転してくれた。
関ケ原にとは戦国時代の天下分け目の戦いが起きた場所だ。
祐輝は車から降りると静かな田園風景を肌で感じた。
そして目をつぶると当時の激戦の様子を感じていた。
広大な関ケ原を歩き始めた。
戦場で討ち死にした者の墓を見つけると手を合わせて目をつぶった。
小高い山を1人で登っていく。
当時の者達がそれどれの陣地とするために登った山だ。
頂上からは関ケ原が一望できた。
そこでまた目をつぶった。
周囲には人の気配すら感じる。
生まれつきの霊感の強さだろうか。
あれから400年。
当時の人間はどんな思いでこの関ケ原で戦ったのか?
勝った方も負けた方も。
この日本のために戦ったのか?
それとも私利私欲か。
当時の者に聞かなくてはわからない。
祐輝はしばらく頂上で関ケ原を見ていた。
「はあ・・・どんな気持ちだったのかな。」
周囲の草がガサガサ音を立てているのは動物か?
人が砂利道を歩くような音も聞こえる。
だが不思議なぐらい嫌な気配はない。
恐怖も。
祐輝は当時の人間に感謝の気持ちを抱えた。
「おかげで日本は今日も生きています。」
どの時代にも言える。
この国を守ってきた多くの者達に祐輝は感謝していた。
当たり前の様に3食食べて屋根の下で眠る。
そんな平和な日本に感謝していた。
しばらくすると祐輝は山を降り始めた。
「いい国ですね。」
「え!?」
誰かの声が聞こえた祐輝は周囲を見た。
しかし誰もいない。
きっと風のいたずらだと思った。
人の気配はずっとしている。
実際に幽霊の様なものを見た事もあったが声を聞いた事はなかった。
不思議な体験だったが恐怖はなかった。
落ち着いた表情で山を降りると真美が待つ車へ戻った。
「あんた遅かったねえ。」
「ごめん。 凄い良かった。」
「ただの田舎じゃないのー。 普通遊園地とかさー。」
「あんまり興味ないんだよ。」
「まあお金もかからないし良いけどねー。」
祐輝は関ケ原を散歩すると近くの旅館に泊まってから東京に帰った。
歴史に詳しい祐輝には関ケ原は素晴らしい地に感じたが真美にはただの田舎だった。
家に帰ると祐輝はまた歴史の本を読み始めた。
ここまで来ると才能だった。
貴重な冬休みはナインズの過酷な練習と歴史の勉強の毎日だった。
そして冬休みは終わる。
祐輝もいよいよ中学2年生。
クリスマスが終わり年越しだ。
真美が作った蕎麦を大量に食べながら祐輝はテレビを見ている。
これも当然バラエティ番組ではなく日本各地の寺を映す番組だ。
日本人なら誰でも知っているあの番組だ。
祐輝はそれを観ながら年を越した。
蕎麦を食べ終えると祐輝は近くの稲荷神社へと初詣へ向かった。
賽銭を入れて手を合わせると祐輝は心の中で祈った。
(蕎麦美味しかったです。 今年もよろしくお願いします。)
「祐輝君ー!」
(では失礼致します。)
「祐輝君明けましておめでとう!!」
「うんおめでとう。」
ミズキが走ってきてニコニコとしている。
祐輝は帰ろうとしているとミズキが腕を掴んで何か言おうとしている。
首をかしげると不満げな表情をしている。
「神様にお願いしようよー!」
「あのなあ。 稲荷神は作物の神であってなあ。 願いを何でも叶えてくれるわけじゃねえからな。」
「いいのいいのー!」
ミズキも賽銭を入れて何かを祈っている。
祐輝は一礼している。
そしてミズキが祈りを終えると嬉しそうにしていた。
「祐輝君が越田君に勝てます様にってお願いしたよー!」
「言わなくていいんだよ。 言うと叶わないぞ。」
「えーそうなのー?」
「それに稲荷神は願いを叶える神じゃないから。 大体人間の願いを叶えて稲荷神に何の得があるんだよって。」
祐輝は足早に神社を出るとミズキと2人で家に向かっている。
ミズキは2人でいられるだけで嬉しそうだ。
とても健気で可愛らしい。
そして何か言いたげに祐輝の顔を見ている。
「お雑煮食う?」
「いいのー!?」
「母ちゃんが作ってくれるよ。」
「やったああ!!」
ミズキと祐輝は嬉しそうに家に帰った。
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