5 / 6
5 こんこんと美貴ちゃん
しおりを挟む
次の日の朝、起きたら、こんこんは雄介の布団の中で寝ていた。
こんこん用の寝る場所を作ってあげるという考えがなかったので、一緒に寝ることにしたのだけれど、こんこんの寝心地はどうだったのだろう。
雄介は動物を飼ったことがない。
雄介は元々違うところで生まれた。
お父さんの会社は日本のあちこちにあって、その仕事の都合で今いるところに幼稚園に入る直前に引っ越してきた。
今でもいつどこに引っ越しするかわからないから、ずっと借りた家に住むしかない。
そして、そういう家はだいたいがペット禁止なため、生き物を飼うことを許してもらえなかった。
もっともお父さんが猫が好きなので、たまに一緒に動画を見たりするのだけれど、そのお父さんは猫アレルギーだから、将来、動物を飼うことを許された家でも猫を飼うことはできないだろう。
雄介の部屋は東向きで、カーテンが細く開いた隙間から入ってきた朝日が、こんこんの毛皮を照らしている。白いこんこんの毛皮だけれど、そこだけきらきらと光って雪の降った日の朝のようだった。
「こんこん、おはよう!」
ぎゅむ、と抱きしめると、こんこんに嫌そうに前足で肩のあたりを叩かれてしまった。
そういえば、こんこんはトイレに行ってない気がする。ずっと部屋にいるみたいだ。
万が一、その辺におもらししてしまってもいいや、といちおう部屋中に新聞紙を敷いてはいるのだけれど。
「ゆうすけー、いいかげん起きなさい! 夏休みだからって不規則にしてると、夏休み終わってから戻すのしんどいわよ!」
「起きてるよぅ」
「!? なにこれ!? 片付けなさい!」
新聞紙を敷きつめているのを散らかしているのだとお母さんは思ったらしい。でも、お母さんの目の前で、まだぐうぐう寝ているこんこんに対しては何も言わない。
やはり、お母さんはこんこんが見えていないようだ。
(お母さんに見えてないなら、このまま、こっそりこんこんを飼っちゃおうかな……)
と、少し思ったのだけれど、そうしてしまうのは嘘をついているようでなぜか良心が痛んでしまう。
とりあえず、こんこんを園長先生に見てもらおうと、雄介は支度をすることに決めた。
教会と幼稚園は隣同士に建てられていて、園長先生の家は幼稚園の敷地内にある。
夏休みの間は幼稚園もお休みで、幼稚園の門も開いていない。
今日が日曜日だったら教会学校があるのだけれど、昨日が日曜日だったので今日は月曜日。教会で園長先生に会うとしても次の大人の礼拝のある水曜日だろう。ずいぶんと間があいてしまうことになる。
かといって、わざわざ先生のおうちにチャイムを鳴らしていくのも、気が引けるし。
「どうしようかなぁ……」
そう思いながら、こんこんを抱っこしたまま閉まっている門の外でうろうろしていたら、先生の自宅の扉が開いたのが見えた。
誰が出て来たんだろう、と思っていたら、相手が先に自分をわかってくれた。
白いセーラー服を着た彼女は手を振っている。
「ゆうくん、おはよー、どうしたの? ここでセミ採りでもしてるの?」
「あ、美貴ちゃん! おはよう」
知ってる人でほっとした。美貴ちゃんは園長先生の娘で、もう中学生だけれど雄介と同じ小学校に通っていた。
彼女が卒業して一年半くらいしか経ってないのに、随分とお姉さんになっているし、短かった髪も肩をすぎるくらい長くなっていて違う人みたいでびっくりしてしまった。
日曜学校に毎回顔を出す美貴ちゃんは、一時期、礼拝にも顔を出していた雄介のことを幼稚園の頃から知ってくれている。
もっとも雄介の通っていたこの幼稚園は子供の数が一学年20人程度と少ないし、この幼稚園から同じ小学校に行ったのは雄介と瑛太郎だけだから、美貴ちゃんも何かと雄介を気にかけてくれて、一度は忘れた縄跳びを借りたことだってあった。
あの時は本当に助かったなぁ、と三年前のことをなんとなく思いだしてしまった。
「……なんでそんな子を連れてんの?」
いつの間にか美貴ちゃんは雄介の腕の中をじっと見ている。
「美貴ちゃんはこの子が見えるの?」
「うん、見える。見えちゃいけない子が見えてる」
見えちゃいけない子って……。
そんな言い方しなくても、と思ったけれど、世の中には見えていい子と見えてはいけない子がいるのか、と知らない常識を知ってしまった。
「この子、お母さんには見えなかったんだ。だから園長先生ならわかるかなって」
そう美貴ちゃんに言うと、露骨に嫌そうな顔をされた。
「うちのお父さんには、その子は見せない方がいいと思うんだけどなぁ」
「どうして?」
「あの人、頭が固いから?」
自分の父親に対して随分とクールな言い方だ。
美貴ちゃんは園長先生のことが嫌いなのだろうか。
やはり自分の父親ともなると、また違うものなのだろうか。
「この子ね。行く場所がないみたいなんだよ。僕がこの子のおうち壊しちゃって。連れて行ってっていうから連れて帰ったんだけれど、うち、飼えないし……」
「それなら、月島のおじさんに相談する方がいいよ」
「それって誰?」
「駅前の不動産屋さんのことだよ。今泉不動産の社長さん」
その人なら知っている。お店は入口が狭くてぼろぼろで怪しく見えるけれど、この地域の主のような存在で年末商店街の福引コーナーで子供達に風船を配ってくれるおじさんだ。
「それって、おうち探しって意味で?」
雄介がそう尋ねたら、美貴ちゃんは違う違うと手を振った。
「そうじゃないよー。あそこのおじさんそういうの詳しいんだよ。うちのお父さんとは違った形でね。やっぱり不動産といったら事故物件とかあるから、そういうのに詳しくなっちゃったのかもね」
じこぶっけん?
じこぶっけんとはなんだろう。
雄介が言われた言葉の意味がよくわかっていないのに気づかないまま、美貴ちゃんは「じゃ、私、もう行くね」と手を振って行ってしまった。
夏休みだというのに学校があるのだろうか。
中学生は大変だなぁと、雄介は去っていく美貴ちゃんの後ろ姿を手を振って見送った。
(でも、美貴ちゃん、こんこんのこと嫌いなのかな。それとも動物が嫌いになっちゃったのかな)
ちらっとこんこんを見ただけで、可愛いとか、触りたいとか、そういうそぶりを美貴ちゃんは見せなかった。
雄介の記憶にある美貴ちゃんは動物が大好きな子だった。
小学校の時にはずっと飼育委員だったし、幼稚園で飼われていたウサギの面倒もよく見ていた。近所の公園で誰かが犬を連れてた時は、一緒に遊んでいた姿も見たことがある。
中学生になって大人っぽくなった彼女は、動物への興味がなくなってしまったのだろうか。
そう思うと少し寂しくなってしまった。
こんこん用の寝る場所を作ってあげるという考えがなかったので、一緒に寝ることにしたのだけれど、こんこんの寝心地はどうだったのだろう。
雄介は動物を飼ったことがない。
雄介は元々違うところで生まれた。
お父さんの会社は日本のあちこちにあって、その仕事の都合で今いるところに幼稚園に入る直前に引っ越してきた。
今でもいつどこに引っ越しするかわからないから、ずっと借りた家に住むしかない。
そして、そういう家はだいたいがペット禁止なため、生き物を飼うことを許してもらえなかった。
もっともお父さんが猫が好きなので、たまに一緒に動画を見たりするのだけれど、そのお父さんは猫アレルギーだから、将来、動物を飼うことを許された家でも猫を飼うことはできないだろう。
雄介の部屋は東向きで、カーテンが細く開いた隙間から入ってきた朝日が、こんこんの毛皮を照らしている。白いこんこんの毛皮だけれど、そこだけきらきらと光って雪の降った日の朝のようだった。
「こんこん、おはよう!」
ぎゅむ、と抱きしめると、こんこんに嫌そうに前足で肩のあたりを叩かれてしまった。
そういえば、こんこんはトイレに行ってない気がする。ずっと部屋にいるみたいだ。
万が一、その辺におもらししてしまってもいいや、といちおう部屋中に新聞紙を敷いてはいるのだけれど。
「ゆうすけー、いいかげん起きなさい! 夏休みだからって不規則にしてると、夏休み終わってから戻すのしんどいわよ!」
「起きてるよぅ」
「!? なにこれ!? 片付けなさい!」
新聞紙を敷きつめているのを散らかしているのだとお母さんは思ったらしい。でも、お母さんの目の前で、まだぐうぐう寝ているこんこんに対しては何も言わない。
やはり、お母さんはこんこんが見えていないようだ。
(お母さんに見えてないなら、このまま、こっそりこんこんを飼っちゃおうかな……)
と、少し思ったのだけれど、そうしてしまうのは嘘をついているようでなぜか良心が痛んでしまう。
とりあえず、こんこんを園長先生に見てもらおうと、雄介は支度をすることに決めた。
教会と幼稚園は隣同士に建てられていて、園長先生の家は幼稚園の敷地内にある。
夏休みの間は幼稚園もお休みで、幼稚園の門も開いていない。
今日が日曜日だったら教会学校があるのだけれど、昨日が日曜日だったので今日は月曜日。教会で園長先生に会うとしても次の大人の礼拝のある水曜日だろう。ずいぶんと間があいてしまうことになる。
かといって、わざわざ先生のおうちにチャイムを鳴らしていくのも、気が引けるし。
「どうしようかなぁ……」
そう思いながら、こんこんを抱っこしたまま閉まっている門の外でうろうろしていたら、先生の自宅の扉が開いたのが見えた。
誰が出て来たんだろう、と思っていたら、相手が先に自分をわかってくれた。
白いセーラー服を着た彼女は手を振っている。
「ゆうくん、おはよー、どうしたの? ここでセミ採りでもしてるの?」
「あ、美貴ちゃん! おはよう」
知ってる人でほっとした。美貴ちゃんは園長先生の娘で、もう中学生だけれど雄介と同じ小学校に通っていた。
彼女が卒業して一年半くらいしか経ってないのに、随分とお姉さんになっているし、短かった髪も肩をすぎるくらい長くなっていて違う人みたいでびっくりしてしまった。
日曜学校に毎回顔を出す美貴ちゃんは、一時期、礼拝にも顔を出していた雄介のことを幼稚園の頃から知ってくれている。
もっとも雄介の通っていたこの幼稚園は子供の数が一学年20人程度と少ないし、この幼稚園から同じ小学校に行ったのは雄介と瑛太郎だけだから、美貴ちゃんも何かと雄介を気にかけてくれて、一度は忘れた縄跳びを借りたことだってあった。
あの時は本当に助かったなぁ、と三年前のことをなんとなく思いだしてしまった。
「……なんでそんな子を連れてんの?」
いつの間にか美貴ちゃんは雄介の腕の中をじっと見ている。
「美貴ちゃんはこの子が見えるの?」
「うん、見える。見えちゃいけない子が見えてる」
見えちゃいけない子って……。
そんな言い方しなくても、と思ったけれど、世の中には見えていい子と見えてはいけない子がいるのか、と知らない常識を知ってしまった。
「この子、お母さんには見えなかったんだ。だから園長先生ならわかるかなって」
そう美貴ちゃんに言うと、露骨に嫌そうな顔をされた。
「うちのお父さんには、その子は見せない方がいいと思うんだけどなぁ」
「どうして?」
「あの人、頭が固いから?」
自分の父親に対して随分とクールな言い方だ。
美貴ちゃんは園長先生のことが嫌いなのだろうか。
やはり自分の父親ともなると、また違うものなのだろうか。
「この子ね。行く場所がないみたいなんだよ。僕がこの子のおうち壊しちゃって。連れて行ってっていうから連れて帰ったんだけれど、うち、飼えないし……」
「それなら、月島のおじさんに相談する方がいいよ」
「それって誰?」
「駅前の不動産屋さんのことだよ。今泉不動産の社長さん」
その人なら知っている。お店は入口が狭くてぼろぼろで怪しく見えるけれど、この地域の主のような存在で年末商店街の福引コーナーで子供達に風船を配ってくれるおじさんだ。
「それって、おうち探しって意味で?」
雄介がそう尋ねたら、美貴ちゃんは違う違うと手を振った。
「そうじゃないよー。あそこのおじさんそういうの詳しいんだよ。うちのお父さんとは違った形でね。やっぱり不動産といったら事故物件とかあるから、そういうのに詳しくなっちゃったのかもね」
じこぶっけん?
じこぶっけんとはなんだろう。
雄介が言われた言葉の意味がよくわかっていないのに気づかないまま、美貴ちゃんは「じゃ、私、もう行くね」と手を振って行ってしまった。
夏休みだというのに学校があるのだろうか。
中学生は大変だなぁと、雄介は去っていく美貴ちゃんの後ろ姿を手を振って見送った。
(でも、美貴ちゃん、こんこんのこと嫌いなのかな。それとも動物が嫌いになっちゃったのかな)
ちらっとこんこんを見ただけで、可愛いとか、触りたいとか、そういうそぶりを美貴ちゃんは見せなかった。
雄介の記憶にある美貴ちゃんは動物が大好きな子だった。
小学校の時にはずっと飼育委員だったし、幼稚園で飼われていたウサギの面倒もよく見ていた。近所の公園で誰かが犬を連れてた時は、一緒に遊んでいた姿も見たことがある。
中学生になって大人っぽくなった彼女は、動物への興味がなくなってしまったのだろうか。
そう思うと少し寂しくなってしまった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
コボンとニャンコ
魔界の風リーテ
児童書・童話
吸血コウモリのコボンは、リンゴの森で暮らしていた。
その日常は、木枯らしの秋に倒壊し、冬が厳粛に咲き誇る。
放浪の最中、箱入りニャンコと出会ったのだ。
「お前は、バン。オレが…気まぐれに決めた」
三日月の霞が晴れるとき、黒き羽衣に火が灯る。
そばにはいつも、夜空と暦十二神。
『コボンの愛称以外のなにかを探して……』
眠りの先には、イルカのエクアルが待っていた。
残酷で美しい自然を描いた、物悲しくも心温まる物語。
※縦書き推奨
アルファポリス、ノベルデイズにて掲載
【文章が長く、読みにくいので、修正します】(2/23)
【話を分割。文字数、表現などを整えました】(2/24)
【規定数を超えたので、長編に変更。20話前後で完結予定】(2/25)
【描写を追加、変更。整えました】(2/26)
筆者の体調を破壊()3/
瑠璃の姫君と鉄黒の騎士
石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。
そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。
突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。
大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。
記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。
そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。
桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。
それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。
でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。
そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。
魔王の飼い方説明書
ASOBIVA
児童書・童話
恋愛小説を書く予定でしたが
魔界では魔王様と恐れられていたが
ひょんな事から地球に異世界転生して女子高生に拾われてしまうお話を書いています。
短めのクスッと笑えるドタバタこめでぃ。
実際にあるサービスをもじった名称や、魔法なども滑り倒す覚悟でふざけていますがお許しを。
是非空き時間にどうぞ(*^_^*)
あなたも魔王を飼ってみませんか?
魔王様と女子高生の365日後もお楽しみに。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。

こちら第二編集部!
月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、
いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。
生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。
そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。
第一編集部が発行している「パンダ通信」
第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」
片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、
主に女生徒たちから絶大な支持をえている。
片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには
熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。
編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。
この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。
それは――
廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。
これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、
取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。
【完結】だるま村へ
長透汐生
児童書・童話
月の光に命を与えられた小さなだるま。 目覚めたのは、町外れのゴミ袋の中だった。
だるまの村が西にあるらしいと知って、だるまは犬のマルタと一緒に村探しの旅に出る。旅が進むにつれ、だるま村の秘密が明らかになっていくが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる