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30話 ホコタテ勝負決着。そして……

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「はぁっ!」

 魔力を込めた左腕で、無数のファイアボールをはじき返す。でもって懐に潜り込んできたネロの剣は、返す刀で右腕で跳ね除ける。うん、いい感じじゃねぇの。

 全魔力を一点に集約して、相手の攻撃を撃ち返す技、ブロッカーだ。

 こいつはハイリスクハイリターンの技でな、魔力を一点に集中する性質上、それ以外の部位の防御力が格段に下がる。つまり防御部位以外を狙われれば終わり、スリリングだろ。

 だが全魔力を防御に費やしている。これは逆に言えば、相手の攻撃を確実に見切りさえできれば、難攻不落の盾になるんだ。

「せやっ!」
「やらせるかよ!」

 ディジェはネロの剣を懸命に防いでやがる。しかも、魔法を出来るだけ使わせないよう接近して、詠唱を妨害し続けながらな。

「しつ、こい! それに、どうして僕の太刀筋を見切れる!?」
「俺がどれだけ、お前を追い続けたと思っている……どんなに突き放されても俺は、お前から決して目を離した事はない! だから分かるんだ、お前が次にどう動くのか、全て!」

 くくっ、追われる者と追う者の違いだよ。あん? なんだ読者諸君。攻撃はどうしてるかって?
 そりゃ、あいつにゃぴょんぴょん飛び回るウサギがいんだろ。

「せりゃっ!」
「ちっ、うっとうしい!」

 スピードスターの機動性を活かして、レヴィが攻撃役に回っているのさ。んでレヴィに攻撃がむけられたら、すかさずディジェがブロックする。いい連携だぜ。

「けど、ネロも凄いな。二人を相手に押されるどころか、押し込んでいる」
「ま、確かにな」

 いくらディジェが詠唱を防いでいても、全て妨害できるわけじゃねぇ。時折思いだしたかのように魔法の速射砲が襲ってきやがる、あいつらはその度に、深いダメージを負っちまうんだ。

「確か、制限時間いっぱいだと判定になるよな。この調子だと」
「ダメージの具合からして、ネロの勝ちだろうな。あいつらの勝ち筋はたった一つ、一撃でネロを倒すしかない。でもってその一手は……ディジェが持っている。一発こっ切りだがな」
「……頑張れディジェ、お前、覚えたんだろ。俺の、必殺技……!」

 親父だねぇ。勝敗は成績に関係なくても、あいつらの間にはあるからな。
 それに、チャンスはある。ネロは力で二人を捻じ伏せるつもりだ。なら、直撃させる隙さえ作れば、逆転できる。

 ヨハンがかつて使っていた大技、タンク役のあいつだからこそ使えた、一撃必殺の技だ。

 ブロッカーで受けた衝撃に加え、ディジェが受けたダメージはどんどん蓄積されているんだ。そいつを解放させて当てる事さえできれば、どんな相手だろうと一撃で潰せる。

 更に言えば……相手の攻撃にカウンターで合わせさえすれば、魔王ですら倒せる攻撃が生まれる。奴らが勝つにはそれを狙うしかない。

「だが、厳しいか」

 ネロも当然それを分かっている、体勢を崩すのは簡単じゃねぇ。残り時間一分、どうする、チームガッツ。

「もうじき、試験も終わりだ……だけど僕は、完膚なきまでに倒さないと気が済まなくてね!」
「こっちも、同じだ……来いよネロ!」
「最後の、攻防たい!」

 ネロが速い、アルテマバーストを作って走り出した。避けきれねぇ至近距離でぶっ放すつもりか。爆破攻撃じゃブロッカーで防げねぇ。
 でもって自分はワープですぐに退避する気だな。ディジェさえ潰せば後は早いだけのレヴィのみ、ネロなら対応可能だ。

「しゃしぇまっしぇん!」

 と思ったら、レヴィの奴撃たれる前に、自分からアルテマバーストにぶつかっていきやがった!?
 当然意表を突かれたネロはすぐに離脱、だがレヴィに直撃したアルテマバーストは爆発、これじゃネロも当然余波に巻き込まれるわな。
 そうなれば、体勢は崩れる。最後にして唯一のチャンスだ。

「ネロぉっ!」
「ディジェっ!」

 剣と拳が交差する。焦るなディジェ、狙い済ませ! 渾身の一撃を、叩き込め!

「今だ……ジャストリベリオン!」

 蓄えた全衝撃を解放する技、それがヨハンの技、リベリオンだ。
 だが相手の攻撃にカウンターで合わせた瞬間、威力を二乗にして叩き込む大技、ジャストリベリオンに変貌する! お前の親父が使っていた必殺技だ!

「ぶち込めディジェ!」
「避けろネロ!」

 俺ら師弟の悲鳴と同時に、ディジェの手から赤い閃光が走った。
 直後に吹っ飛ぶネロ、ディジェまで反動ですっころぶ。衝撃が学園全体を揺らして、学舎に皹を走らせた。
 空気がたわみ、戻る力で空間が揺れる。俺様でさえ膝を突く程の余韻で、辺りが静まり返った。

「相変わらず、ふざけた威力だ……ため込みすぎだぜ、あの馬鹿」
「げほっ、確かにね……それより、ディジェは!?」

 もうもうと上がる煙の中から、ディジェがレヴィを担いで立ち上がった。でもってネロは……壁にぶつかって気絶してやがる。ついでに審判役の教員もな。

「ま、代わりに宣言してやるか。演習試験第一セット! Dクラスの勝利!」

 おいこら、ディジェとレヴィ。何ぼさっとしてやがる。お前ら勝ったんだぞ?
 ならよぉ、両腕突き上げろ。ほれ!

「……勝った、俺が、ネロに……! 勝った! 勝ったよレヴィ!」
「やった……やったとよ! ディジェくぅん!」

 へっ、たかが子供の喧嘩で大喜びか。おうこらヨハン、てめぇも生徒が見ている前で喜ぶな。てめぇ一応教師だろうが。
 Aクラスの反応は、まぁ当たり前か。愕然としてんな。でもってDクラスは、へっ、驚愕してやがらぁ。

「やったぞ、やったぞ皆ぁ!」

 あのなディジェ、嬉しいのは分かるがはしゃぎ過ぎだ。負けた側の事も考慮しとけ。

「ネロ、大丈夫か、ネロ!」

 視察されていた理事長様も、血相変えて飛び出したか。ま、一応俺も様子見に行くかね。
 保護魔法がかかっていたとはいえ、ダメージは相当みたいだな。お、目を開けた。

「父上、先生……? 僕は、一体……」
「ネロ……よく、頑張った。お前は、よくやったよ」

 父親らしく頭をなでなで、ってか。ま、ネロがいかに反抗期と言え、これは拒否できねぇだろ。

「……負けた? 僕が、ディジェに……あんな、あんな格下に、僕が!?」

 ま、でかい挫折だろうな。俺の時とは違って、ジャイアントキリング決められたんだ。そりゃ、ショックも受けるさ。
 ちゃんとメンタルケアしとかんとダメだな、試験終わったらちょっと顔出しとくか。

「……っ、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ! 嘘だっ!」
「ね、ネロ!? 待ってくれ、おい!」

 血相変えて走り出しやがった。なんだ、なんか様子が変だな。

「追うぞ、負けたのはショックだろうが、それにしては様子がおかしい」
「ええ、急ぎましょう」

  ◇◇◇

 おーい、どこ行きやがったあの野郎。まだ授業中だっつーの。
 試験中に抜け出すたぁいい度胸だぜ、学生なら学生らしく真面目に授業受けろっての。……あ? 何ブーメラン発言してんだって? うるせぇばーか。

「どこ行ったんだろう、ネロ……師匠、サーチできますか」
「たかがガキ一人探すのにんなもん使う必要あんのか? まぁ手っ取り早いしいいけどよ」

 こちとら暇じゃねぇんだ、ガキの癇癪にいつまでも付きあってられるかよ。

「……ん? あり?」
「どうしました?」
「いや、なんだこれ? 探れねぇ……」

 ネロの気配を、探知できねぇ、だと?
 ……いや、確かに妙な感じはあったんだ。あいつが、変に大物みてぇな空気を漂わせ始めてから。
 あいつが出てくる度、俺はいつも気付くのが、後手後手だった。あいつが何かしら発言してから、ようやくネロの存在に気付いていたんだ。
 気配に敏感のはずの俺様が、どうしてあの小僧風情の気配に気づかなかった?

「師匠? ……あ、居た。ネロ!」

 顔を上げりゃ、確かにいた。廊下の片隅に、立ち尽くしてるネロが。
 何でもない光景のはずなのに、どうしてこんな、右腕が疼いてきやがるんだ。

「ネロ、その……お前はよくやったよ。マギスレイヤーをあそこまで使いこなしたんだ、父親としてお前を、誇りに思う。凄いじゃないか」
「……馬鹿に、しているんですか?」

 振り向いたネロの目は、凄みに満ちていやがった。
 プライドが傷つけられた、それは分かる。だがそれ以上に、異常な憎しみが湧き立っているのが、見て取れた。

「貴方は、いつもそうだ。僕の事を見ていないくせに、まるで全てを見知ったかのように話してくる。それがいつも、いつもいつも……気に食わないんですよ」
「それは、その……仕事にかまけてネロを放っていたのは、すまないと思っているが」

「だから、嬉しかったんですよ。貴方が僕に手ほどきをしてくれたのが。今まで全く僕を見なかった貴方がようやく僕を見てくれたのだと。だからどうしても勝ちたかったんです、圧倒的な力を見せつけた勝利をもって、貴方に僕を、認めてほしかったんですよ」

「ネロ? どうしたんだ、一体……!」

「なのに僕は負けた、ディジェとレヴィ如きに負けた! 一体僕がどれだけ悔しく、屈辱的な想いをしたのかわかってないだろう! なのになんだ、僕の事を知った様な物言いは! よくやった? 誇りに思う? 敗者である僕を見下して誇りに思うですって? ふざけるのもいい加減にしろ! そんなに僕を見下して楽しいか? ええ!?」

「……言動が支離滅裂だぞてめぇ」

「ハワード先生、貴方もだ! 貴方が僕を見ないで、あんなゴミ屑ばかり見ていたからこの有様だ! やっぱり、信用できない……大人なんか、信用できる物か! やっぱり、僕に必要なのは、力、力、力! 誰であろうとひれ伏させる、圧倒的な力が、必要だったんだ」

 途端に感じる、冷たいガッツ。俺がずっと嫌っていた、あの青いガッツ……。
 ……まずい、見誤った!

「どけカイン! 危ねぇ!」
「無駄ですよ、先生」

 俺より早く、ネロが動いた。右腕を掴むなり、俺から大量の魔力を奪い取りやがった!
 ひるんだ隙に、カインを掴んで同じく魔力を抜き取る。完全な不意打ちだ、しくったぜ。

「ははは……ようやく奪い取れた。ずっと狙っていたんですよ、この時を。貴方方の視線が、僕から離れきる瞬間を。魔具が魔王復活の道具? そんなのブラフですよ、そう仕向ければ、貴方達二人の目は否応にもそちらへ向く。僕を視界から、勝手に外してくれますからね」
「ぐ……俺とした事が、まさかこんな簡単なトリックにひっかかるとはな……一本取られたぜ、UA!」
「なっ……!?」

「正解、です。僕がUA、Unknown Actor。ミスディレクションに引っかかりましたね、稀代のマジシャン様」

 思えば、UAが不自然に出てきた時。ネロは俺達のすぐそばにいた。ディジェとレヴィ、二人と一緒に戦っていた。そのせいで、ネロから完全に意識を切らしちまったんだ。

 おまけに、魔具を揃えた時点で魔王戦に意識が向いちまっていた。UAはドッペルゲンガーを使えるんだ、影武者を立てる位朝飯前じゃねぇか!

 完全に思考を誘導させられていやがった! 家族想いなのに感じた、ちぐはぐな青いガッツ、感じられなかったネロの気配。ちょっとでも疑問を向ければ、気づけたっつーのによぉ!

「はなっから、俺達の魔力が狙いかよ……!」

「ええ勿論、伝説の英雄から直接魔力を奪った方が手っ取り早いので。貴方方の油断を誘うのに、とても苦労しましたよ。ですがその甲斐あって……今僕は、力を手にした。僕に力をくれた、あの方への供物を!」

 ネロが両腕を広げるなり、奴の背後に人影が浮かび上がった。銀髪の、見覚えある黒タイツヤローの姿が。
 ……やっぱりか、やっぱり、てめぇだったのか!

「な、何があったの!?」
「おいカイン、ハワードさん!?」

 ヨハン、ブレイズちゃん! 来るんじゃねぇ!

「さぁ! 魔王様を復活させましょう! そして僕に力を、圧倒的な力を! あは、あは! あははははは!」
『ネロ!』

 カインと共に手を伸ばすが、遅かった。
 ネロは転移の魔法でどっかに消えちまった。追いかけたくても、魔力を抜かれた直後じゃ、思うように動けねぇ。

「ネロ、どうして……! どうして……!?」
「ショックなのは分かるがな、打ちひしがれてる場合じゃねぇぞ」

 俺達から莫大な魔力を奪った以上、次に奴がやるのは唯一つ。魔王の復活だ。俺の良く知る、あの魔王を。
 そしたらタイミングよく、地鳴りが聞こえてきやがった。全く、面白い演出、仕掛けてくるもんだぜ。

「な、何? なんでネロ君が? 一体、何が始まるの?」
「詳しくは後で話すぜ、随分懐かしい、魔王様との再会が控えてるんでな」

 殺したと思っていたが、仕留めそこなっていたとはな。俺の右腕の、本来の持ち主。

「魔王ルシフェル様の、御来光だ」
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