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14話 力で勝てなきゃ頭で勝つ

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 いよいよ僕達は、異世界の中でもトップクラスの猛者、いわばレベルもスキルも最高潮に達した転生者を狙う事にした。
 ここまでくると、裏技によるチート付与でも勝率は五分五分だ。圧倒的な力でねじ伏せられる恐れがあるんだよ。
 じゃあどうするのか、真正面から戦わなければいいんだ。
 転生者の周りを固める人物も、僕のグルだ。戦いは数だと偉い人もわかっていらっしゃいますので、存分に利用させていただきますよっと。

 僕は酒場のマスターに扮し、転生者を待ち伏せていた。案の定、何にも知らないターゲットが入ってくる。
 と、ヒロイン役の子が目配せした。僕は頷き、彼にとっておきの酒を提供した。
 ここで僕が付け加えたルールは、「僕の触れた物はスキルが無効になる」だ。あの転生者にはあらゆる毒物が通じないけど、このルールのおかげで毒が効くようになっているんだ。
 とはいえ、即死するだけの毒物は用意できなかった。毒を治す魔法は使えるわけだから、これでは意味がない。じゃあどうすりゃいいのかと言うと。

「うげっ……き、気分が悪くなってきた……」

 催吐性の毒を仕込むんだ。
 案の定、転生者は気分が悪くなってトイレへ向かった。げーげー吐いている間は隙だらけで、実に無防備じゃないか。

 それじゃ、さいならっと。

 背後から急所をナイフで一突き! スキル無効の効果が付与されたナイフだから、当然転生者は昇天だっ。
 どんなに素晴らしいスキルを持っていようが、暗殺すれば万事解決だい。

「はーい! アルテミスの殺し屋チャンネルいかがでしたかー神様達ー? それでは次回も楽しい楽しいショーをお待ちあれー!」

 悠々と異世界から脱出した僕は、早速アテナの様子を伺った。
 予想通り、凄まじい咆哮を上げて地団駄を踏んでいる。ざまぁみらせ、お前の敗因はな、僕を心の底から怒らせた事だ。
 僕を怒らせたらどうなるのか、その身をもってよーく思い知る事だな。
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