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11話 なぜ神に抗えるのか

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「うん、美味しい!」
「良かった、久しぶりに淹れたから、ちゃんとできたか不安だったの」

 エスペランサはほっとしたように笑顔を見せた。彼女はカフェをやるのが夢だと言っていて、コーヒーや紅茶を淹れるのが得意なんだ。
 お茶菓子も美味しいし、久々にほっとするな。

「エスペランサがカフェを始めたら、きっと流行るよ」
「ありがとう。ユウタに言ってもらえると嬉しいわ」

 エスペランサは照れ笑いを浮かべた。
 僕らは談笑しながらコーヒーブレイクを堪能した。コーヒーのおかわりを貰うと、エスペランサはふと、

「ねぇユウタ、貴方はどうしてこんなにも勇敢に立ち向かえるの? 神が相手なんて、普通なら戦おうなんて思わないはずだけど」
「ずっと両親から、筋を通して生きろって教わってきたからね。アテナ達のやっている事は筋が全く通らない、そんなのを見過ごすなんて出来ないよ。それに僕自身、虐めにあった経験もあるしね……」

 中学の頃、いじめが酷くて不登校になった時期がある。そのせいか、弱い者いじめをしている奴らが、絶対に許せないんだ。

「神だろうが、弱い者いじめをするのなら容赦はしない。奴らの思惑をぶっ潰すまで、徹底的に戦い抜かなきゃならないんだ」
「そう……少しだけ、貴方の強さが分かった気がする」
「僕一人じゃなんも出来ないよ、皆が手伝ってくれるから、神を相手にできるんだ。皆が力を貸してくれる以上、僕も半端は出来ない。命を賭けてでも、革命を成功させないといけないんだ」
「気持ちは、とても嬉しいし、頼りになるわ。でも、あまりにも先走りすぎて、ちょっと不安になる」

 エスペランサは僕の手を握った。

「次の異世界狩りは、私も連れて行って。両腕も戻って、力も使えるようになった。必ず貴方の役に立ってみせるから、お願い」
「う、うん。でも、無理しちゃだめだよ」

 エスペランサとのやり取りにドキドキしてしまう。何しろ彼女はかなりの美人だ、健全な男子高校生にはあまりに刺激が強すぎる。
 いや違うんだ、僕はあくまでも虐げられている人たちのために戦うのであって、彼女に個人的な感情を持って動いてはいけない。リーダーたる者、常に平等の精神を持って行動せねばならないわけでこの程度の事でうろたえてはならないのだ決してうん。

「い、いい休憩になったかな! それじゃそろそろ僕行くよ、次の異世界狩りの準備をしないといけないからね」
「じゃあ片付けて合流するわね」

 一旦エスペランサと離れ、心を落ち着ける。いやぁ、なんだろうかこの気持ち。
 シズナと合流すると、彼はしたり顔で迎えた。

「少しはリフレッシュできたか?」
「出来た出来た、充分出来たよ。何さその顔は」
「別に、まぁいくらリーダーと言っても、十代後半の子供だものな。美女相手に勃っちゃうお年頃だもんなぁ」
「何を言ってるんだ君は、つーか勃つとか言うな!」
「もしかして、下ネタに耐性ないタイプ? 初心だねぇ」
「ほっとけ!」

 シズナも遠慮なくなってきたなぁ……ま、ともかく気を取り直して。
 次の異世界狩りの計画を立てるとしようか、エスペランサも交えてね。
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